モテモテ呪いを解け！　キャッキャウフフな悪夢の一日｜リアクション

モテモテ呪いを解け！　キャッキャウフフな悪夢の一日

【さすが、原因は格が違った】

「空音が危ない……変な男達に泣かされている……狂獣は駆除せねば……空音には触れさせない……、これも、愛だ」
「イ゛ヤ゛ァ゛ァ゛ァ゛！！！　知り合いもそうでもない人も怖いよ怖いよ目が怖いよーッ！！！」
　前者は、グーパンで殴られた邪衣士。
　後者は、今回の騒動の原因の桃原空音である。
（あたしは恐怖した。必ず、貞操を守りぬかねばならぬと決意した。あたしには色恋がわからぬ。あたしは、腐女子である。アニメを見て、薄い本を作り暮して来た。けれども異性という概念に対しては、人一倍に苦手であった……こうなったら全力で逃げるしかない！）
　必死で走る空音。
　だがしかし、行く手を遮るかのように次々男たちがやってくる。
　前門の男、後門には士がいるであろうから、速度を緩めれない。
「そう、この危機を乗り越えたらあたし薄い本をいっぱい買うんだ！」
　……あれ、いつものことのような。
　そして、空音の進路を遮るように、冴木竜司が現れる。
「竜司くんはいつもどお……」
「大丈夫か！桃原、いや空音ちゃん！　俺で良ければ何でも協力するぜ！ ……その前に、麗しくも可愛らしい御嬢さん、どうです、この俺の渾身の出来のレインボーパンツを履いてくれませんか？」
　いつも通り？　俄然竜司も影響を受けている。
　いつかもらったパンツを掲げ、今日も彼は彼の道を行く。
「やっぱ違うこっち来ないでー！」
「大丈夫！　YESロリータNOタッチだぜ！」
「それ、ある意味不安だから！　今あたし恐怖してるから、今！　ナウ！！」
　そう言って、別方向へと逃げる空音。
　恐怖で涙がちょっとにじんでいる。
　しかし、その様子も相手を助長しただけだった。
「待てよ……！　今、正直、愛しい気持ちが半端ない……こんなに可愛らしい天使が居たなんて……その天使が泣いてるなら助けるのが漢ってもんだ！」
　どどどどどっと走りながら迫る竜司。
「こんなの絶対おかしいよ！わあぁぁん！　誰か助けて！　怖いよ怖いよ本当に怖いんだよ！」
　しかし、ついには竜司に捕まってしまう。
「……ふふふ、つ・か・ま・え・た」
「どうせあたしにひどいことするんでしょ！　そう、エロ同人みたいに！　エロ同人みたいに！」
「そうか、それがご所望とあれば致し方ない！　紳士の聖域を破るとき来たれりだ！」
「余計なこといったぁぁぁぁぁ！」
　なんというか、言葉がおかしい。
　むしろ、言霊が暴走している状態である。
　じりじりと空音と距離を縮めていく竜司、さて、どうなってしまうのか。
「へぶあっ！」
　突如、竜司が妙な声を上げて横に倒れる。
「た、たすかった？」
（ふふふ、彼女に近づく男はすべて、敵……俺が守ってあげるからね。愛しい愛しい空音……）
　実は、空音に分からないように隠れている士の仕業なのだが、空音は気づかない。
　士もなぜか、ヤンデレモードというか、一本どころか数本ねじを飛ばしている。
　見守るその様子は、確かに愛ではあるが、ストーカー愛に近いものへと変質している。
「いたぞーこっちだね！」
「さっきのおねえさんより、こっちのおねーさんが魅力的ぃぃぃぃ！」
　しかし、そんな空音に次は空音側へと移動していた下心と広樹が襲いかかろうとする。
「ぎゃぁぁぁぁぁ！　二次元に嫁が居るんだもん！　純潔は彼に捧げなくちゃ！」
　そう言って、振り切って走る。
　まだまだ、始まったばかりである。