モテモテ呪いを解け！　キャッキャウフフな悪夢の一日｜リアクション

モテモテ呪いを解け！　キャッキャウフフな悪夢の一日

ダブル壁ドンフリイラ

【その後のそれぞれ】

　……。
　刀は正気に戻った後は、二人にひたすら謝っていた。
「うをーっ！？　俺は……何を！」
『うみってよばれるのも、かいてるのみられるのも、だきしめられるのも、ぜんぶ、イヤじゃない　きにして、ないよ？』
　そんな刀ににこりと海は笑顔を浮かべ。
「……次は、ちゃんと素面でその言葉……聞かせてほしい……ちゃんと、ね」
　千歳は、千歳で何か思うところがあったようだ。
　だが、刀はこの曖昧な状況のままでよいのだろうか？
　いずれ、答えをだすときが来るだろうが……この状況は、まるで膨らみ続ける風船のようだ。
　雑誌の有用性をいつか理解するときが来ないことを……。

　……。
「いろいろと申し訳ありませんでした！」
　立樹は、次の日エルデストで氷華に謝っていた。
「コーヒー……」
「えっ？」
「おいしい、コーヒーを」
「かしこまりました！」
（氷華さんが寛容な人で良かった……）
　立樹は、ほっとした様子で氷華を見た。
　お詫びに、ビターチョコを添えてだした。
　ほんのり、苦い味がした。

　……。
　あの日、咲はついに二人に追い詰められた。
「責任取れんのはだいぶ先っすけど、予約しても、いいですか……咲さん？」
　咲から見て左側に壁に手を突いて咲が逃げられないように亨が迫る。
「……責任。重い言葉です。だけど、貴方のためなら、幾億幾千の重さも耐えきれます。俺は、貴方の為に生きたい。そう、思ったから……いいですよね？」
　咲から見て右側には極夜が壁に手を突いて逃げられないようにしている。
　まさかのダブル壁ドンである。
「……おい、何をする気だ！」
　咲の叫びは、もはや聞こえているのだろうか？　聞こえていてそうしているのだろう。
　そして、亨と極夜は互いにライバルとお互いを認識したようだ。
　今は、公平に。想い、伝えた。
「……唇は、俺の咲先輩になってくれたらしましょう」
「……咲さん、唇は後日で」
　そう言って、二人がそれぞれの頬に口づけをする。
「～～っ！　馬鹿もの！」
　されてから、何かが限界突破したのか、瞬く間に二人を気絶させる。
「……っ！　意識……してしまう」
　二つ分の熱さを感じながら、咲はその場を去って行った。
　その後、正気に戻った二人は、お互いをばちばちと見つめ合っていた。
「……これから、お互いライバルですね」
「……負けねぇぞ」
　どうか、二人には後悔のないようにやってほしいものである。
　好きだ。どうしてこんな台詞かあっさり言えなかったのだろう。
　だが、今なら堂々と言える。
　そう、堂々と。

　　　　　……おわり

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