【ネコミケ】行かねば。フツウに大変なネコミケ＠１日目！｜リアクション

【ネコミケ】行かねば。フツウに大変なネコミケ＠１日目！

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サークル『ピーチ＆ピーチ』のブース。
「ふふふ、空ちゃんったらこんなにお友達ができたのねぇ」
桃原文子は、娘の空ちゃん――桃原空音が捕まえてきた友人達を見やり、楽しそうに微笑んだ。
（昔は幼馴染みのあの子ぐらいしかお友達いなかったのに……）
なんてことを思うのは、親心というものだろうか。

値札やサンプルの配置も終えて意気揚々。
空音は友人達――邪衣士と直風満帆の方へと向き直る。
「士くん、満帆ちゃん、今日はお手伝いよろしくね！」
「あまり無茶ぶりはするなよ。……そういえば、直風と直接話すのは初めてか。よろしくな。」
「うちの方こそよろしくなあ。……ところで、あ……あの、空音ちゃん？」
満帆が顔を赤くしながら、おずおずと小さく手を挙げた。
「ほんまにこんな格好で出なあかんの……？」
そんな事を言いたくなるのも、仕方のないことだ。
なにせ、ボディライン丸わかりのぴっちりスーツを着せられているのだから。
空音お手製、『フニャンゲリオン』のライのパイロットスーツである。
「めっちゃ恥ずいんやけど……」
胸の前で手を合わせ、もじもじとする満帆。
そんな彼女を見て、空音はこのうえないゲス顔で手をわきわきさせている。
「ふひひ、原作はクールキャラだけど、照れてるのもかわいいかも！」
ダメだこいつ。
「も、もー……。ていうか、空音ちゃん何でうちのサイズ知ってるん……？」
どういうわけか、ウエストとかのサイズはぴったり。悲しいかな、胸はパッド山盛りなのだが。
「それは秘密だよっ！　写真撮らせて撮らせて！」
二人のやりとりを見ながら、士はため息を吐く。
「……明らかに場違いだよな、俺」
すると文子が、「そんなことないわよぉ」と笑う。
文子からすれば――士は体格がいいし、くせ毛がかわいいし、妄想が広がることこのうえない。
そんな子が場違いなんてこと、あろうものか！
（受けにしたら美味しそうね……）
――ぞくぅ。
士の背中を走る、寒気というかなんというか。
（な、なんだ今のは……？）
ま、まあ……それはそれとして。
「これから俺は何をすれば？」
男手の必要な力仕事は、ひとまず終わったし。
「とりあえず、会計とかその辺の計算は任せてもらって大丈夫ですが」
自治会長の仕事で、その手のことには慣れている。
「あら頼もしいわねぇ。なら売り子のお手伝いをしてもらえるといいかしら」
満帆の写真をパシャパシャ撮りまくっていた空音が、くるっと振り返る。
「士くん売り子するならコ」
「コスプレはいらんだろ！」
言わせねえよ！　とばかりのツッコミ速度。
「えー、士くんもコスプレ衣装着ようよー!」
残念そうな、不服そうな、目の前にご馳走があるのに食べるなと言われたような顔で唇を尖らせる空音。
士の視線が、ちらりと直風を見やる。
「直風は似合ってるから良いかもしれんが、俺はやらんぞ」
似合っていると言われ、満帆が顔をさらに赤くする。
「恥ずいからあんま言わんといて……」
肩を抱いて、恥ずかしそうに身体を縮めた。
それから、「ところで」と平積みした新刊のうちの一つに視線を向ける。
「士ちゃん、この本のキャラに似とらへん？」
そんな、ふとこぼれた呟きを、
「気のせいだ！！！」
士は熊殺しの気魄もかくやな勢いで否定した。

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