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雨よ、どうか
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帆布の鞄を投げ出して、
榛名 九
は雨粒の間を縫うように踊っている。
寝子島にはちょうど、今日着いたばかり。うだるような暑さを沈めてくれる恵みの雨、この空までもが九を歓迎しているようだ。
「ああ、気持ちいい!」
新しい土地、新しい日々、新しい自分。この島で自分を待っているものへの期待にふるえ、九のつまさきは軽やかにアスファルトを蹴る。肌に当たる雨粒の勢いは強まる一方だが、それすらも九は心底愉快そうに笑っていた。
ミュージカル映画のワンシーンのように、古いうたを口ずさみながら。もう役に立たない雨傘も開いたままくるりと回せばすてきな小道具、まるで雨の手を取って踊るように。アスファルトに落ちてはじける雨粒のリズムに合わせて自然と脚が浮かれたステップを踏む。
「わぁ、すごいダンス。こんな雨なのに元気ねぇ」
踊る九にほうと感嘆のため息を付いて見守る
桧垣 万里
、彼女はバイトの帰り。家を出るときにはまさか雨が降るなんて思いもしなかったからもちろん傘は持っていない。そして残念なことに、財布も忘れてしまっているせいで傘を買って帰ることも出来ない。幸福をお金で買うことは出来ないがたいがいの不幸はお金で回避出来る……まさに今の状況であった。
「あ、クッキー湿気っちゃう……! しばらく止みそうにないし、今食べちゃお」
バイト先の皆で食べようと焼いてきたクッキーの余りを引いてきたのを思い出し、万里はあわてて鞄を開ける。ジッパー付きの袋に入れていればよかったのだろうが、どうせすぐだからとビニールの袋をテープでとめただけのそれを今放っておいたら湿気で残念なことになってしまう。万里がぱり……と袋を開ければ、バターたっぷりの甘く香ばしい匂いが軒先にふわり広がる。さっくりと軽い歯ざわりでほろほろと口の中でほどける、はちみつ入りの優しく甘いクッキー。それは万里にとって……いや、千里にとって特別な意味を持つ。
「ふう。雨かー……どうしようかな?」
まるで他人事のように雨についてを呟いたのは、万里ではなくろっこんによって万里の身体を借りた兄の千里……の霊。ほんのりと変わった瞳の色がそれを示している。あまり見たことのない、亜熱帯のような雨にすこし驚きつつ、千里は万里と同じようにこれからどうするかをぼんやりと考える。
「(走って帰ってもいいんだけど、いつ止むかわかんないし……万里の身体が濡れて風邪を引かせるのもイヤだし)」
超がつくほどのシスコンを自覚している千里は、薄くなる気配のない雨雲を見上げてうんうんと大きく頷いてみせる。兄だという割に幼く見えるその挙動は、どこで時が止まっているのだろう。
一方、変わらず雨に打たれくるくると楽しげに踊っていた九はふと足を止め、ばちばちと頬を打つ雨にその身を任せていた。
「(……本当は)」
寂しいのだろうなと、九は声にならない声でそっと呟く。仲違いして疎遠になった妹のことがそれでも心配で、追いかけてきてしまったけれど、知らないことだらけのこの島で、もう一度妹と前のようにやっていける日は来るのだろうか。そんな疑問が九の心の何処かを重たく濡らす。
心の隅っこに、帰らぬ主人を待って震える仔犬のような自分がいる。妹は自分の意志で家族を離れていった、僕は置いて行かれたんだと。降りしきる雨は自分の小ささを思い知らせながら、それでも優しく音を溶かし言葉にならないひとりごとを聞いてくれた。
「……はっ、あ、怪しい者ではございません! ええ決して! ただの高校生ですとも!」
「あはは、誰も怪しんでないよー。こっちおいでよ、風邪引いちゃうよ」
九が気を取り直してまたくるりとターンを決めてみせると、視界の端に映ったのは不思議そうに九のダンスを見守る万里……千里の姿。慌てて取り繕うも、この雨の中楽しげに傘を振り回してくるくると踊る少女のような少年を見て怪しまない者がいたらそれはそれですごいような気もするが、千里は怪しむというより物珍しい……好奇心いっぱいの眼差しでにこにこと九に手招きをしている。ひとの視線など気になる九ではなかったが、そうはっきりと誘われては断る理由もない。早速新しい出会いが僕を待っていてくれた! と肩の力を抜いて笑い、九は鞄を拾って千里がいる軒先に駆け込んだ。
「呼び止めちゃってごめんね、楽しそうだったから」
「いえ、お気になさらず。怪しくなどないとご理解いただけて何よりです」
ひとりで雨宿りをしていて暇だったんだと笑う千里の隣で、九は軽くかぶりを振って髪の水滴を飛ばす。身軽そうに見えた九が意外と大荷物でやってきたことに千里は驚き、万里の身体を借りていることも忘れ質問攻めだ。
「すごい荷物だねぇ、旅行? 引っ越してきたの? あ、それとも帰省?」
「は、二学期から寝子島高校に通うことになりました、榛名九と申します。君は……?」
「僕は千里、あ、えっと……木天蓼大学の学生なんだ」
どこかで再び会うこともあろうと、ふだんの万里を尊重してぎこちなく自己紹介する千里だったが、肝心の名前を間違えて……いや間違っていないのだが……。
「ああ、広義では先輩なのですね。どこかでお会いしましたらよろしくお願いいたします」
「うん、よろしくね。あ、クッキー食べる? 湿気っちゃう前に食べきりたいんだよねー」
万里が手に持ったままだったクッキーの袋を思い出し、千里ははちみつバニラクッキーを九に差し出す。まだ香ばしさを保ったそれの甘い香りに目を細め、いただきますと九も手を合わせる。
「あ、美味しいですね。お手製ですか?」
「そうなんだよー、万里の手作り! あ、万里ってふたごの妹なんだけどすんごい可愛くってね、何でも出来ちゃう自慢の子なんだよねー」
突然始まった千里の妹自慢に九も苦笑い、クッキーの甘さと足して二で割ってちょうどよさそうな。だが誰かと笑えるのなら……雨もきっと、冷たくない。
ここはきっといい島だ。そう思って二枚目のクッキーをかじった九が見たのは、雲から覗く晴れ間。眩しさに目を細め、なんとかなるさとひとり呟く。新しい土地、新しい学校、新しい日々。新しい友人……なら、ほら。ひとり出来た。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
瀬島
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年05月10日
参加申し込みの期限
2014年05月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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