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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
雨よ、どうか
夏の風が運ぶのは、雨の匂い。いつもはぬるいドライヤーの温風のようなそれが、わずかに湿気を含んで重くなった気配。呼応する畑の土が独特の匂いを発し、それが椿 美咲紀の鼻をすんとくすぐる。
「夕方の水やり前に降ってくれるのはとってもありがたいのです」
ペチュニアやガザレア、トレニアの花。咲き終わったそれが実をつける前に摘んで剪定しておくことで、長く美しく花を楽しむことが出来る。しぼんだ花や茎を放っておけばカビや病気の原因にもなるから、水やり前にこまめな手入れが必要だ。葉が育ちすぎてまんべんなく日光が当たらなくなったところも丁寧に間引きし、土をならして。最近はうだるような暑さが続いたせいで、花たちも野菜たちも少しお疲れ気味の様子だから、時々こうして強く短い雨が降るのはいいことだ。
「日差しも要るけど、雨も同じくらい大切なのですねー……っと、降ってきた降ってきた」
ぽつっ、と大きな雨の粒がひとつ、空を見上げる美咲紀の額に落ちる。慌てて縁側から部屋に駆け込み、美咲紀はしばらく雨の庭を楽しんだ。
すっかり乾いた洗濯物を畳みながら、窓越しに空の恵みを眺める。地面にたたきつけるような雨粒たちの音は、うるさいようでいてとても厳かだ。夜行性のマサキとアキ……美咲紀が飼っているハムスターたちも、聞き慣れない音になんだなんだと巣箱から出てきている。
「君たちはお部屋の中だから珍しいよねぇ、今お花さんたちが涼んでるんだよ」
畳み終えた洗濯物をそれぞれ運び、ハンガーたちも元に戻して、ついでにと起きてきたマサキとアキにひまわりの種をひとつぶずつあげて。そうしているうちに、雨は少しずつ小降りになっていった。
「わー、お庭も畑も気分一新なのです！ 雨が気持ちいいねぇ、みんな」
ざあざあごうごうと殴るような雨から、しとしとと優しい雨に変わる頃。傘を差して庭の様子を見回る美咲紀はにこにこと幸せそう。たっぷりと水を吸って生き返った土の匂い、ぴんと張った花の葉と茎。花たちに話しかける様子はまるで美咲紀も雨を心待ちにしていた花のようだ。
「うんうん、畑のほうもちゃーんとお水もらってます。恵みの雨ですねえ」
きゅうりに茄子、夏の野菜は太陽を浴びて美しい見た目になり、たっぷりの水を浴びてぎゅっと瑞々しい中身が育つ。美味しく育ってねとまた話しかけ、傘に当たる水音が静かになったなと思いふと顔を上げると。
「あ、虹！」
夕方の太陽は虹を大きく見せる。
九夜山の緑にまたいでかかる虹と、再び顔を出した太陽と、青い空と。
止まない雨はない。
それぞれの暑い夏がまた、動き出す。
「夕方の水やり前に降ってくれるのはとってもありがたいのです」
ペチュニアやガザレア、トレニアの花。咲き終わったそれが実をつける前に摘んで剪定しておくことで、長く美しく花を楽しむことが出来る。しぼんだ花や茎を放っておけばカビや病気の原因にもなるから、水やり前にこまめな手入れが必要だ。葉が育ちすぎてまんべんなく日光が当たらなくなったところも丁寧に間引きし、土をならして。最近はうだるような暑さが続いたせいで、花たちも野菜たちも少しお疲れ気味の様子だから、時々こうして強く短い雨が降るのはいいことだ。
「日差しも要るけど、雨も同じくらい大切なのですねー……っと、降ってきた降ってきた」
ぽつっ、と大きな雨の粒がひとつ、空を見上げる美咲紀の額に落ちる。慌てて縁側から部屋に駆け込み、美咲紀はしばらく雨の庭を楽しんだ。
すっかり乾いた洗濯物を畳みながら、窓越しに空の恵みを眺める。地面にたたきつけるような雨粒たちの音は、うるさいようでいてとても厳かだ。夜行性のマサキとアキ……美咲紀が飼っているハムスターたちも、聞き慣れない音になんだなんだと巣箱から出てきている。
「君たちはお部屋の中だから珍しいよねぇ、今お花さんたちが涼んでるんだよ」
畳み終えた洗濯物をそれぞれ運び、ハンガーたちも元に戻して、ついでにと起きてきたマサキとアキにひまわりの種をひとつぶずつあげて。そうしているうちに、雨は少しずつ小降りになっていった。
「わー、お庭も畑も気分一新なのです！ 雨が気持ちいいねぇ、みんな」
ざあざあごうごうと殴るような雨から、しとしとと優しい雨に変わる頃。傘を差して庭の様子を見回る美咲紀はにこにこと幸せそう。たっぷりと水を吸って生き返った土の匂い、ぴんと張った花の葉と茎。花たちに話しかける様子はまるで美咲紀も雨を心待ちにしていた花のようだ。
「うんうん、畑のほうもちゃーんとお水もらってます。恵みの雨ですねえ」
きゅうりに茄子、夏の野菜は太陽を浴びて美しい見た目になり、たっぷりの水を浴びてぎゅっと瑞々しい中身が育つ。美味しく育ってねとまた話しかけ、傘に当たる水音が静かになったなと思いふと顔を上げると。
「あ、虹！」
夕方の太陽は虹を大きく見せる。
九夜山の緑にまたいでかかる虹と、再び顔を出した太陽と、青い空と。
止まない雨はない。
それぞれの暑い夏がまた、動き出す。
あとがき
担当マスター：
瀬島
ファンレターはマスターページから！
お待たせいたしました、ブロンズシナリオ『雨よ、どうか』お届けいたします。
この度は、ご参加まことにありがとうございました！
急な雨にふれて湧き上がる思い、咄嗟の行動……さまざまな方向からのアプローチがありました。
楽しくアクションを拝見し、全力でリアクションを書かせていただきました。
皆様の心理や心の奥底の思いにぐぐっと迫れましたでしょうか、そうだったらいいなぁと願っております。
お楽しみいただければ幸いです。
らっかみ！デビューシナリオにもかかわらず、たくさんの方にお集まりいただき本当に光栄です。
また近いうちにシナリオでお会いしたいなと思います、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
この度は、ご参加まことにありがとうございました！
急な雨にふれて湧き上がる思い、咄嗟の行動……さまざまな方向からのアプローチがありました。
楽しくアクションを拝見し、全力でリアクションを書かせていただきました。
皆様の心理や心の奥底の思いにぐぐっと迫れましたでしょうか、そうだったらいいなぁと願っております。
お楽しみいただければ幸いです。
らっかみ！デビューシナリオにもかかわらず、たくさんの方にお集まりいただき本当に光栄です。
また近いうちにシナリオでお会いしたいなと思います、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年05月10日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年05月17日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年05月17日 11時00分
