闇曜日の旧市街｜リアクション

闇曜日の旧市街

「ビールもってこいビール！」
「バカ野郎、てめえでもってこい！」
「つまみが足りねえぞ、ばあさん腰悪いんだから買ってこい！」
　数日後、まだ改修中の『たぬきねこ』の狭い店内で、傷だらけの猛者が酒を浴びていた。
　打ち上げ、のようなものだろう。
　あのあと、闇鴉会は寝子島から出て行ったらしい。
　菅原は遠くの暇そうな交番勤務に左遷させられ、警察の上の方であれもこれももみ消してしまった。残念ながら、よくあることのようだ。
　幸いにもこの一件で死人が出ることはなく、ヤクザ同士の抗争ということで社会的に話題になることもなく闇に葬られた。関係者以外に知る者はない。
　不思議なことに、神魂の影響でこの夜のうちに怪我した傷も随分回復していったようだ。
　松崎はしっぽりと酒を呑んでいた。
「今夜はうめぇ酒になりそうだ」
「間違いねえ！」
　花梨は生ビールを片手に豪快に飲み食いしている。
　その隣で皐月は既に泥酔していた。
「文貴、これ……どういうことぉ～？」
　バンバンと神無月の背中を叩く。
「なんだなんだ、もう酔ってんのか」
「あのさあ～女の勘だけどさあ～、背中の観音様さあ～……（瞬間的に酔いが覚めて冷酷に）モデルがいるんじゃねえだろうな？」
「……」
　愛川相手にもびびることのなかった神無月だが、冷や汗が止まらない。そう、これは前妻がモデルなのだ。
　と、そのとき店頭の若い連中が騒ぎ出す。
「て、てめえは……！」
「なんだコラ！」
　若いのを無視して店内に顔を出したのは、ブンさんだった。
「おーーちょうどいいところにきた。俺だ俺だ。俺が呼んだんだ」
　神無月は必死で手招きして、ブンさんを呼び入れた。
「高倉の旦那、まあ一杯呑んでってくれや」
「騙された……」
　ブンさんは情報屋に呼び出されて、捜査のために顔を出したのだった。
　花梨はすかさず近づくと、ブンさんの肩に手を回した。
「あんた、菅原の件もみ消したんだって？」
「俺は知らん、上に聞け」
「幾ら儲かったんだ？　ん？　俺にも少しわけろよ」
「アホか！」
　ブンさんは手を払うと、すぐにまた店を出て行った。
「帰る。お前らいいか、今度会うときはブタ箱行きだからな」
「んだとコラァ！」
　花梨は叫ぶだけ叫ぶと飲み食いしはじめる。
　未成年の常闇月は、店の隅っこで、そんな騒いでる様子をぽかんと見ていた。
「なんか凄い……」
　混ざっていられるだけで、月も十分凄い。
　そして同じく未成年の日暮ねむるは、お茶を飲んでまどろんでいた。
「ねむい……」
　冴来はこっそりビールに手を伸ばす。
「私もお酒、飲みたい……」
「十年早いだろォ」
　そのビールを取り上げたのは、鹿黒。
「駄目なの……？　意地悪」
　鹿黒はそのあとも冴来に訥々と説教をしていた。
「冴来、銃には二度と触るんじゃねェぞ」
「お小言なんて聞きたくない……私、みんなの役に、立とうとしただけ、だもん……」
「ったくもう……あ、そういや金堂の旦那はどうした？　旦那がいねえと始まらねえぞォ」
　もう始まってるから大丈夫だ。

　金堂は闇鴉会がアジトに使っていたという近所の廃ビルに来ていた。
「手掛かりが残ってればと思ったんだがのう……」
「植木屋には関係ないんじゃないか？」
　ブンさんがひょっこり顔を出した。
　金堂は床に転がる腐ったりんごを拾った。
　ブンさんは、カラフルな髪の抜け毛を見て、神妙な顔で唸っていた。
「奴だ。きっと奴が絡んでるに違いないんだ……」

　その頃、平和を取り戻した寝子島のどこかで、愚駱馬羅須田果子はただ黙々と歩いていた……。

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あとがき

担当マスター：漂流サーカスランド
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リアクションの公開が遅くなってしまいまして、申し訳ありませんでした。
特殊なシナリオですし、他のマスター様にご迷惑をかけたくない一心で、無理を言って最後まで担当させていただきました。
プレイヤー様は勿論のこと、運営様、マスター様にもご迷惑ご心配をおかけしてばかりなので、今後の活動についてはよく考えてみます。

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警察との接触、情報の受け渡し等のアクション、連携の取れていない絡みのアクションが非常に多かったため、アクションの一部は描写できず、別の一部を膨らませる等の対応をさせていただいております。
また、状況が刻一刻と変わることもあり、接触する相手や情報の内容等もアクションと異なっていることがあります。
敵側のＮＰＣが一人増えてるのも、同じ理由です。
いずれにしても接触する趣旨、アクションの趣旨等は変更せず、表面的な部分での変更で対応していますので、ご容赦いただければと思います。

必要が生じたので、神無組にも青木というNPCを作らせていただきました。
使いっ走りだったり、やられ役だったり、少々損な役回りでして、そのようなPCさんが見当たらなかったので用意しました。
リアクションのあと、足を洗って故郷へ帰ったかもしれません。

裏社会、あるいは格好いいタイプの社会人PC様にお願いです。
シナリオの展開次第では煙草を吸っていただいたり、酒を呑んでいただいたりしたくなることがあります。
特に今回のシナリオでは、煙草を吸ったら収まりがよいシーン、格好よく決まるシーン等も多く、迷いました。
今後はプロフィールやアクションに記載していただけると、描写の幅も広がってプレイヤー様もより満足できるかと思います。

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最後に、読んでいただいているとは思えませんが、参加していない方へのお願いです。

本作では裏社会の動きを描いておりますが、あくまでも裏であって表にそのまま出ることはないと思うのでご安心ください。
現実世界で裏社会の存在を忌み嫌うのは、私も、裏社会PCを扱うPL様も、同じ気持ちだと思いますので、線を引いてご理解いただければ幸いです。
裏社会を舞台、テーマ、主人公としたテレビドラマ等も地上波で放送されているようですが、そういうものとして楽しんでいただければと思います。
らっかみも寝子島も、完全に裏社会がなくなってしまうと、それはそれでフツウとは言えないと思いますので、表も裏もお互いに認め合いながら楽しんでいけることを願っています。

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シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧