人生模擬演習遊戯『一生ゲーム』｜リアクション

人生模擬演習遊戯『一生ゲーム』

●１７年目

６月
　戌井創と鬼崎のばらの間に第二子が生まれる。
　今度は父親の創似で可愛らしい女の子。
　やはり誕生花にちなんで、名前は茉莉花。

　1歳になった姉の撫子は「まーちゃん」と呼んで可愛がっている。

●１８年目

２月
　総合プロデューサーとして腕を振るう本条小萩。
　なんとライフワークだった魔法少女まんが「スーパーレジェンド伝説ko-ha-gy」の出版が決まる。
　同時にアニメ化、舞台化等の展開も決定した。

４月
『スーパーレジェンド伝説ko-ha-gy』
　春の新アニメとして始まったスーパーレジェンド伝説ko-ha-gy。
　第1話にはゲストとして作者の本条小萩も出演を果たす。

　主役の本条小萩役はベテラン声優白浜渚が務めている。

【入学式】
『成長』
　矢萩咲は桜色のスーツを着こみ、久しくしていなかった化粧をする。
　なぜなら今日は、息子・誠の高校入学の日だったから。
（結局私は入らなかった高校に息子が入学するのは……感慨深いな）
　今までの人生、けして楽な道のりではなかった。
　家族に支えてもらっていなければ――きっと途中で挫折していただろう。
　家族がいてもそう思ったのだから、そのもしもは遠い向こうの話ではない。
「母さん、そろそろ」
「ああ、そうだな」
　×　×　×
　入学式が始まる。
「えー……保護者の皆様、ここまでお子さんを育てるというのは並大抵の努力ではできないことです」
　校長先生のありがたい話に涙ぐむ羽目になるとは思わなかった。
（本当に、そうだ。……よく元気に真っ直ぐに立派に育ってくれたな）
　歳を重ねれば重ねるほど、誠はあの男に似てきた。
　時折見間違え、叫びそうになるくらいだ。
　――けれど咲にとって、何よりも大切な愛しい息子であることに変わりはない。
「これからは、私達が――」
　退屈なのか、誠は校長先生の話を聞きながらあくびをしている。
　クスクスと話に花を咲かせる女の子たちの姿も見えた。
　その姿を見ていると、息子が高校生になったのだなということを強く深く実感する。
（……おめでとう、誠）
　×　×　×
　校門の前で、2人で記念写真を撮ることにした。
「そんなもん……嫌だよ」
　年頃の誠は照れて恥ずかしがっている。
「1回だけでいいから、な？」
　そんな交渉をしながら――咲は不意に泣きそうになった。
　眼の奥が熱い。鼻がツンと痛む。
「母さん？」
　不思議そうに、心配そうに顔を覗きこんでくる誠を思い切り抱きしめた。
「おいっ母さんやめろよ、こんなとこで……俺、恥ずかしいから……」
　不安だった。こんな駄目な母親の元に生まれて息子は幸せだったのか。
　産んだことで、かえって息子を不幸にしてしまったのではないか。
　常に葛藤を繰り返し、答えはいつまで経っても出ることはなかった。
「……あとで、よしよししてやるから。だから今は……な？」
　誠は、とてつもなく優しい男に育った。
　あの男とは似ても似つかない、心からの優しい言葉をかけられる息子に育った。
　それが、ひとつの答えだと思ってもいいだろうか？
　咲が間違ってなかったと思っても――
「母さん？」
「ありがとう……誠」
「お、おう」
　これから、ますます彼は成長していくのだろう。
　それこそあっという間に咲を追い越してしまうかもしれない。
　けれど今はそれが何よりも楽しみだった。それが、咲とって1番の楽しみだった。

１０月
　戌井創と鬼崎のばらの間に第三、四子が生まれる。
　そう、まさかの双子だ。
　二卵性で顔はあまり似ていないが……
　のばら似で少し癖のある髪の毛の男の子が継（つぐみ）、創似の色素の薄い髪の男の子が繋（かける）と名付けられた。

　2人の姉と一緒に、バスケットボールで遊ぶ（じゃれる？）のが好きらしい。

　ただし連続の出産でのばらの身体に負担がかかっているため、次の子どもは少し間を開けるように医者から注意を受ける。

●１９年目

７月
　北条冬華の常夏写真集！　好評発売中！

９月