【ホームルーム】委員決定っ！　体育科篇｜リアクション

【ホームルーム】委員決定っ！　体育科篇

　気が付けば、教室に見知らぬ生徒が１人、立っている。
「…………えっ？」
　まじまじと穴のあくほど先生に見つめられ、ハッと我に返る猫島寝太郎。あわてて、自分の身体をぺたぺたと両手で触ってみる。
「わわっ、布団から元に戻ってる！　いつの間に！？」
　あっけにとられている浅井先生を尻目に、山神封と仁木猪子の２人がサッと立ち上がった。
「やいコラお前、他のクラスの生徒か？　どっから入ってきた、びっくりさせやがって！」
「授業中です。速やかにお帰りください」
「あっ、えっ、は、はいぃ……」
　風紀委員に就任したばかりの２人にたちまち取り押さえられ、ぽいっと教室の外につまみ出される猫島。
　ガラガラガラ……ぴしゃん、と無情な音を立て、彼の目の前でドアが閉まった。

　しばらく呆然と廊下に座り込んでいた猫島だったが、ようやく気を取り直して、伸びをする。
　ずっと窓に干されっぱなしだったせいで、身体が固いようなフカフカなような、じつにヘンな感じだ。長々とした疲労感に、漏れ出るあくびがひとつ。
「さて、じゃあ自分の教室に戻らなきゃ」
　まだまだ、先は長いのだ。
　うん、こんな所でのんびりはしていられないよね。
「それにしても体育科っていろいろ……恐ろしかったなぁ」
　でも、もうちょっとだけあの窓辺から、このクラスの様子を見ていたかった気もする。
　名残惜しげに振り向く猫島の前で、
　教室のドアがちょびっとだけ開き、またすぐに閉まった。
「…………？」
　隙間から転がり出た、その小さな飴玉を手に取る猫島。
　包み紙を開いてみると、そこに可愛らしい走り書きが並んでいた。

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　　ゴメンね；；　もしかして
　　うちのせい？（アウアウ）
　　ぶじに４組まで　たどり着けたら
　　お話　こんど　聞かせてねっっ
　　　　　　　　　　　　　　　　七音侑
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　猫島は包み紙のシワをていねいに伸ばし、胸のポケットにしまう。
　そしてひとつ深呼吸をして、廊下のはるか先を見やる。
「さて、それじゃあいっちょ、行きますかぁ〜」

　口に放り込んだアメは、さわやかなミントの味がした。

『【ホームルーム】委員決定っ！　体育科篇』　おしまい

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