変態の軍隊 Reloaded｜リアクション

変態の軍隊 Reloaded

【濡れ衣少年と鳥好き少女、そして被害者たち】

　PECたちの情報とともに、濡れ衣を着せられた海原茂の情報も紛れてきている様子。

『海原会長が星ヶ丘寮に侵入し、芽森菜々緒のパンツを盗んで逃走している』

　寝子高の現生徒会長のスキャンダル（というより、むしろ「やっぱりいつかやると思ってました！」という声が大多数な事実）に、御巫時子は目を丸くして驚いた。
「こうしてはいられません……！」
　御巫は海原の濡れ衣を晴らすべく、日本家屋の内装の星ヶ丘寮の自室を飛び出した。
　先日、ランジェリーショップで勧められた七色のパンティーを握り締めながら。
　木陰に止まっているムクドリたちを見付けると、彼女はろっこん『鳥の囀り』で語り掛けた。
「すみません、事情があって、急いで人を探さねばならないのです……」
　ムクドリたちは一斉に御巫へくちばしを向けた。
　だが、人間が鳥の人相を把握できないように、彼らにも人間の人相の見分けが困難らしい。
「では、こんな人を見付けて下さい……。ちょっと待ってて下さいね……」
　御巫は寮室からペンとメモ帳を持ってくると、海原の似顔絵を描きだした。
　特徴をよく捉えたそれは、ムクドリたちでも『メガネ！　メガネ！　ヒョロメガネ！』と理解しやすい内容だった。
　ムクドリたちは散開すると、島中へ瞬く間に飛んでいく。
　御巫自身も海原が行きそうな場所を中心に捜索を開始する。
　すると路地の角から全裸の少女が衣服と下着を抱えて飛び出してきた！
　御巫を見るやいなや、少女は涙目で懇願してきた。
「匿ってー！」
　御巫は唖然としてしまう。
　だが、後方から追ってくるピンクスーツ２人組の姿に、一刻の猶予もない事を悟る彼女。
「お願いします……！」
　近くの電線に止まっていた鳩数羽にろっこんで懇願すると、彼らはすぐさま行動を開始。
『嬢ちゃんにはいつも飯をご馳走してもらってるからな、加勢するぜ！　野郎ども、気張れよ！』
『ポーゥ!!』
　親分鳩の後ろを子分鳩が一斉に滑空。
「裸のヴィーナスちゃん！　俺たちにもっと見せてください触らせてください！」
　横嶋下心隊長が爽やかに迫る！
「おっぱい！　是非とも我らたちに生おっぱいを！」
　おっぱいのことで頭がいっぱいな初島優（紙袋さん）も鼻息を荒くしている！
　そこへ星ヶ丘ハトレンジャーが推して参る！
『これでも喰らえ！　総員、ぶっぱなせ！』
『ポーゥッ！』
　ハトレンジャーの特攻が２人を襲う！
　天空から弾丸めいた速度で鳩たちが変態たちに体当たりだ！
「うわぁ！？　いててて！　これじゃ前に進めない！」
「ぬ、ぬわー！　なんてブレイブなバードたちなのだ！　女神が目の前にいるのに、無念なり！」
　やむなく大ダメージを負った２人は一時撤退を余儀なくする。
「た、たすかったよ～。鳩さんたちと仲がいいんだね！」
　着替えを終えた少女は御巫にお辞儀をした。
「私、雪原真白だよ。私のろっこん、発動しちゃうと服が脱げちゃうんだもん。お陰で変態たちを追い掛けるつもりが追われる羽目に……」
　しゅん、としょげる雪原の手を取る御巫。
「お役に立てて良かったです……。あの、ところで、茂さん――海原茂さんを何処かで見掛けませんでしたか……？」
　御巫の問いに、そういえばーと雪原は首を捻る。
「変態たちに遭遇する前に路地から飛び出してきてぶつかったよ。そうだ、私、まだ謝ってもらってない、もーっ！」
　彼女の話によれば、海原は狼狽えるばかりで謝らないどころか、「レインボーパンツは盗んでいない！」と言って走り去っていってしまったのだとか。
「そのあと変態たちにおっぱい揉ませろーとせがまれて言われて、石投げて追っ払ったんだけど、風紀委員の人が変態捕まえてーっていうから一緒に追いかけてたら、気が付いたらろっこん発動しちゃって……」
　彼女のろっこん『テレポーテーション』は、見詰めた先に瞬間移動できるのだが、衣服の類は何故か転送されないのだ。
　気が付けば変態の真横に全裸で併走する雪原。
「それで全裸で逃げていたのですね……」
　ようやく腑に落ちた御巫。
「でも、レインボーパンツってなんだろうね？　誰がそんなパンツを穿くんだろう？」
　雪原の言葉に、御巫の顔が一瞬曇る。
「あの、もしよろしければ、茂さんを一緒に探しませんか？　少し、心当たりがありますし。私、御巫時子と申します」
「私も行くよ！　よろしくね、時子さん！」
　彼女たちは二手に分かれて海原捜索へ向けて行動範囲を拡大していく。

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変態の軍隊 Reloaded

シナリオ

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