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Melt Sinner
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仕事が急にキャンセルになり、
刻人・F・ミセリア
はポッカリと空いた時間を持て余していた。仕事をしていない夜は、暇で暇で暇で仕方がない。けれど他にする事もなく、刻人は夜の街をただフラフラと歩いていた。
月光に照らされた裏路地は仄暗く、等間隔にポツポツと並んだ街灯はオレンジ色で、羽虫が飛んできては空中を旋回している。枯葉色の羽をした蛾が描く飛行線を目で追っていたとき、ふと視界の端に教会が映った。御伽話の中から抜け出してきたような、レトロで可愛らしい外観をした建物の上には、控え目な大きさの十字架が満月の光を受けてキラリと輝いていた。それほど大きくない教会の周りを歩き、薄く開いた窓に目を向ける。いくら日本が他の国よりも数倍安全だと言っても、無人の建物に施錠をしないのはあまり賢いとは言えない。教会という神聖な場所だからと言っても、教会だからこそのお宝があるのではないかと考える不埒な輩はどこにでもいる。
刻人は周囲に素早く目を配ると、誰もいないのを確認してから窓を大きく開けて身軽に中に滑り込んだ。たまには羽目を外した大学生らしい行動でもしてみようと、気まぐれに思いついただけだった。勿論、教会の中を物色して何かを盗もうなんて馬鹿なことは微塵も考えていない。そんな罰当たりなことはしない……と言うよりは、こんな狭い島で意味のない盗みなんてしたところで、刻人にとって良い事は一つもない。
整然と並んだ木の長椅子に、柔らかく月光を受けるステンドグラス、十字架に祭壇。流石に、日本だからと言って特別に変わったものは何もない。刻人は赤い絨毯の上を真っ直ぐに歩き祭壇の前まで来ると、左手に見える木の扉に目を向けた。口の端をキュっと上げ、扉の前に立つ。刻人は鼻歌交じりに扉を開けると、中に入った。
狭い告解室の中をじっくりと眺めた後で、跪く。誰も聞く者はいないと知っていながら、刻人は胸の前で手を組むと目を閉じた。どこからか、か細い歌声が聞こえてくる。何を言っているのか自体は分からなかったが、心に染み入るような旋律だった。もしも天使なんてものがこの世にいるなら、こんな声なんだろうと思うほどに透き通った声だった。
「僕は、人より早く言葉を喋った。人より早く、字が読めた。幼稚園の頃には、高校生の教科書が読めた」
漢字も読めるの? 感心したようにそう言われるたびに、刻人は不思議で仕方がなかった。こんなものが読めた程度で、神童だと手放しで褒め立てる大人達が奇妙なものに思えた。刻人にとって、一度見た物を理解するという事は、当たり前のように出来ているものであり、自分が出来るのだから他人も出来るのだと信じていた。
「だから、宿題が出来ないとべそをかいていた彼女に、どうしてそんなのも出来ないの? って声をかけてしまいました」
刻人の才能が、誰もが持つ一般的なものではないと知ったのは、そう遠いことではなかった。自分に出来る当たり前が、他人にとっては努力をしなければ出来ない、否、努力をしても手に入れる事が出来ないものだと、他の人は自分よりも劣っているのだと、刻人は小学校に上がる頃には理解していた。
「自分の力に溺れ、他人を見下す。隣人を愛せなかったのが、僕の罪」
そっと呟き、目を開ける。あのか細い歌声は既に聞こえなくなっていた。刻人は小さく息を吐くと、真っ直ぐに天井を見上げた。
「でも、彼女は怒りませんでした。僕が特別である事を知り、愛してくれましたから」
もしも神様がこの世に存在するならば、それは彼女のように優しい人なのだろう。否、彼女こそが、神様に他ならない。少なくとも、刻人にとっては……。
そう、だから他の神様なんて必要ない。彼女だけが刻人の唯一神であり、自分のただ一人の味方であり、自分を受け入れ、包み込んでくれる存在。
彼女以外にする懺悔に、微塵の意味もないだろう。けれど今夜は見事な満月で、ほんの少しの好奇心から入ったのは教会で、天使のような歌声が聞こえてきていて、たまにはセンチメンタルなことをしてみたくなった。そう、意味なんてない。これはただの、暇つぶし。
刻人は入ってきたときと同じ身軽さで外に出ると、きちんと窓を閉めた。施錠していないので意味はないと分かっていたが、薄く開いた窓よりは閉まった窓の方が安全だろう。暇つぶしに付き合ってもらった、せめてものお礼だった。
無数の星が散りばめられた空を見上げ、ふとモーゼの十戒を思い出す。
あなたの父母を敬え、姦淫してはならない、隣人の財産を欲してはならない。
刻人は既に、三つも破っている。いや、もっと破っている。……でも、いくら破ろうとも、きっと彼女なら許してくれるだろう。刻人が彼女を好きなように、彼女も刻人を好いてくれているのだから。刻人は小さく微笑むと、軽やかに夜の街に溶けて行った……。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月13日
参加申し込みの期限
2014年02月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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