あやかしスキーツアー｜リアクション

あやかしスキーツアー

☆あやかしスキー場へ

　綾辻綾花はドキドキしていました。
　駅に着くとすぐに早川珪先生がやってきました。
「珪先生と一緒にスキーできるなんて楽しみです」
「あやかしスキーツアーだなんて、怖くないの？」
　珪先生はそう言いますが。
　夜中に霊界へ行くなんて、そりゃあ一人なら怖いかもしれません。
　けれど綾花はニコニコして答えます。
「普通のスキーツアーとは違うんでしょうか？　珪先生が一緒なら、怖いことなんて何もありません」
　特別にスキーが好き、というわけではありませんが、珪先生とお泊りなのです。
　参加しないという手はありませんでした。

　八十八旗信彦は、あやかしスキーツアーの話を聞いて迷わず参加を決めました。
「受験勉強ばかりじゃあウンザリしちゃうから、息抜きも大事だよね！
今ぐらいの時期に嫌というほど滑っておけば、大学受験では滑らないってものだよ」
　と爽やかスマイルを浮かべます。
「じゅけんってすべるものなの？　じゃあたくさんれんしゅうしないとね」
　わかっていない様子の餅々きなこの言葉にも、華麗に答えます。　
「えっ？　かえって滑り癖がつくんじゃないかって心配してくれてるのかな？　大丈夫！　勉強はシッカリしてるし、今はリフレッシュしたい気分なのさ」
「それじゃ、たのしもう！」
　

　八神修は、いい機会だと七夜あおいを誘いました。
「霊界に一緒に行ってみようって、言ってたろう？　スイーツと、おまけにスキーも楽しもう」
「いいね！　行こう」
　あおいの元気な返事に安心した修ですが。
（とはいえ、夜の霊界だ。怖い思いさせぬよう、楽しい話題で盛り上げたいな）
　しっかり気配りも忘れていません。
「用具はレンタルできるらしい。身一つで行けるよ」
「霊界もそんなに変わらないんだね」
　あおいは全く不安を感じさせない笑顔で頷くのでした。

「スキー？」
「うん、あやかしスキー場っていうんだって。聞いたことないけど無料だっていうから、何かの企画番組なんじゃないかな。一緒に行こうよ」
　稲積柚春は、ウォルター・B先生に言いました。
「夜から？　……わかったよ、時間を空けておこう」
　かつてウォルター先生とともに霊界運動会にも参加したことがある柚春ですが、あやかしたちを本物だと思っていません。
　だから怖くなどなく、知っている人のいないところでウォルターさんと楽しめるチャンスだ、とわくわくしていました。
（両思いだってわかったんだもの、格好良いウォルターさんをしっかり眺めたいよ）
　夜に備えて寝ておこうと思いましたが、楽しみすぎてあまり眠れませんでした。

　寝子島アニメーション学院声優科2年生の落合まゆらも、なぜか霊界スキーツアーに声をかけられました。
「スキー……とりあえずタダで参加できるのね、それなら」
　実はまゆらはスキーの経験がありません。
（でも声優としては、ありとあらゆる経験を糧として演技に生かしたいわね）
　そう考えて、フットワーク軽く、霊界へ向かいます。

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