テスト勉強はスイーツと共に？｜リアクション

テスト勉強はスイーツと共に？

「俺に教えるのは大変か？」
　休憩がてらお菓子を取りに行きながら、刀は千歳に問う。
（確かにせっかく刀君がやる気をだしてテスト勉強しようとしていたのに……少し言葉が過ぎたかも）
　刀はただ普通に気になったので聞いてみただけなのだが、千歳としては悪い事をしたかもしれない、と考える。彼女は少し考えて答えようとした。
「刀君、さっき……ああ言ったのは……」
「あ、にゃーくんじゃないか」
　その時、何気なく足元に寄ってきたにゃーくんに刀は気づき、しゃがんでもふもふしていると、後ろから来た千歳に小突かれる。
「いたっ？！」
「人が真剣に悩んでいるというのに……何にゃーくんと遊んでいるの？　ホントは私だって遊びたい……じゃなくて……！」
　思わず漏れた本音に真っ赤になっている千歳。刀はそれに気づかず円に声をかけようとした。が、その前にののこが２人に気づき、手を振った。
「ねぇ、刀くんと千歳ちゃんも一緒にテスト勉強をやろうよ～っ！　修君となぎさ君が色々教えてくれるから、楽しいよ！！」
「えっ？」
　ののこの呼びかけに刀が僅かに戸惑う。その横で千歳はぽん、と手を打って
「これはこれで面白そうね！　合流しない？」
　といつもより明るい声で言ったものの、刀は「悪い、ちょっとトイレに行くトコだったんだ」と首を振って歩き出す。千歳は首をかしげ、「ここで待ってる」と言って少しの間だけ合流することにした。同時ににゃーくんが彼女の肩に飛び乗り、喉を鳴らしてすりすり。
（か、かわいい……）
「休憩時間になったら、一緒ににゃーくんと遊ぼうね、みんな！」
　円の言葉に千歳と蓮、ののこが楽しげに頷いた。

　そんなこんなが続き、ついに２人が立ち上がる。
「それじゃあ、まず理数系は俺が、文系は音海が指導を行おう」
「瓜山先生、ホワイトボードか黒板ありますか？　こっちに持ってきていただきたんです」
　修が集まってきたメンバーにそういい、なぎさがメイに問いかければ、あやめと一緒にホワイトボードを持ってきてくれる。その上、テンションが上がった貴子も加わってノリよく生徒たちの注目を集める。
「今日のこの機会に、苦手な問題を潰しましょう。やる気があるなら、一緒に勉強を！」
「やる！　やりたいですっ！！」
　解理が手を上げれば、他の生徒たちも集まってくる。とまぁ、こんな具合にこの２人を講師役、貴子を助手役として多くの生徒たちが彼らによって勉強を教えてもらった。中間テスト前の一夜漬け勉強会の際、なぎさは星が丘寮で、修は桜花寮にて似たような事をやっていたが、今回もこうなったようだ。
　再び（神魂の所為とはいえ）伝説は生まれた。後に『八神＆音海ゼミナール』と称されたこの現象により、参加者たちの理解は格段に進んだ。その上蓮がさりげないフォローをすれば、疲れをさほど感じる事なく勉強も進む。
　トイレから戻った刀はその様子を離れた所で見つつ内心「神魂半端ないな……」と呟いた。
　因みに我に返ったなぎさは「またやってしまった……」と暫くの間頭を抱えていた。そして、解理もまた「いいんちょに醜態を晒してしまった」と同じように頭を抱えていたし、護も「なんであんな事いっちゃったんだろ」と顔を赤くして俯いた。
　ちなみに、円とののこがいた場所は、うまい具合に神魂の影響を受けない程の距離にあった。また、ののこは中間試験前に行われた一夜漬け勉強会の雰囲気を覚えていたので
「円ちゃん、やっぱりみんなとお勉強すると賑やかで楽しいね～」
　とキラキラした笑顔で言うのだった。