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モルディブ聖地巡礼
海に面した開放的な窓からは、海と、空と、濃い緑の島々が織りなす絶景が見渡せる。
目覚めたばかりの
朝鳥 さゆる
と
姫木 じゅん
は、キングサイズのベッドのなかからその絶景を眺めている。真っ白なシーツは昨夜の情事ですっかり拠れているが、そんな些事は気にならないくらいの素晴らしい朝。日本との時差が4時間あるので、ゆっくり起きたつもりでもまだ7時前である。
ここは「インド洋の宝石箱」とも呼ばれるモルディブ。約千二百の島々からなる美しい島国でハネムーン先やリゾート地として世界中から人気がある場所だ。一島一リゾートという究極のプライベート空間を売りにしているホテルも多く、そんな高級水上ヴィラホテルのひとつを懸賞で引き当てたじゅんのおかげで、ふたりは絶賛モルディブ滞在中であった。
「幸せすぎる。ヤバいわ」
そう言って、じゅんはにやけ顔でさゆるの肩にもたれかかる。一枚のシーツにふたりでくるまっているだけなので、素肌同士がすぐに触れ合う。じゅんは、白磁のようなさゆるの肩にそっとキスを落とした。
「あたしコレで一生分の運を使い果たしちゃったと思う」
さゆるは片膝を立てて顎をのせると、じゅんの方を見た。
「そうかもね」
「ちょ、さゆる! そこは否定してよ」
「ふふっ。じゃあ、お望みどおりに。……あたしたち、お互い人生の前半が大変だったんだもの、このくらいのご褒美があったからって慌てることないわよ。むしろこれから幸先よくなるんじゃないの?」
『むしろこれから幸先よくなる』――。
言霊というのだろうか。口に出してみると、自分の言葉を信じられる気がしてくる。
さゆるは起きだして、窓際に干してあった水着に手を伸ばした。
「泳ぎにいくわ」
「ちょ、待ってよ。朝食は?」
「ひと泳ぎしたあとで頂くわ。じゅんはどうする?」
「あん、もう! 行くわよ! こんな素敵な朝なんだもの。あたしだって満喫するんだから!」
人目がないのをいいことに、じゅんも裸のままのしのしと室内を歩いて、自分の水着をひっつかんだ。
数分後――。
「準備できたわよ」
泳ぎに行く、と言ってもなんのことはない。水着を着てほんの数歩、ヴィラから出ただけだ。
さゆるたちの泊まる水上ヴィラは本当に海の上に建っていて、まるで異世界に紛れ込んだかのような気分になれるホテルなのだ。床の一部がガラス張りになっていて、そこからネオンブルーの海が見えるのも非日常的である。
「去年の異世界転生ものの夏アニメでさ、モルディブをモデルにしたリゾート地で主人公たちが水着で大騒ぎ大はしゃぎするエピソードがあってね」
じゅんは延々とそのアニメで、なんとかという主人公が、なんとかというヒロインや仲間たちと、いかにリゾート地でのプチトラブルを乗り切ったかを話し続けている。
「まさにこういうプライベートビーチで、主人公たちが最後にはリフレッシュするって話で。これって、聖地巡礼になるよね」
さゆるもじゅんに付きあってそのアニメは見ていたので、なんとなく言っていることはわかる。だがそこまでのめり込んで見ていたわけでもなかったので、聖地巡礼と言われてもピンとはこない。こないものの……。
「あーっ、ほんと! 異世界転生スローライフ最高~!」
モルディブの異世界感をすっかり気に入ったらしいじゅんを見ているのは、やぶさかではない。
さゆるとじゅんはしばらく透き通った海に浸って楽しみ、そのあとはプライベートビーチに備え付けのビーチチェアに寝そべっての日光浴を楽しんだ。
「日本での日々を忘れるわね」
「そうなんだけど、こう何もないとちょっと飽きてもきちゃうな」
「絶景があるわ」
「美人は三日で飽きるともいうじゃない?」
そんなことを言うじゅんは、はやくも日本から持参した積読漫画を開いている。
「さゆるは飽きないの?」
「ここでは何もしないのが一番の休暇。……でしょ?」
さゆるは目を瞑り、うとうとする。
(――こんなふうに過ごせるのは、なかなかないもの――)
耳朶を打つのは、優しい波音。
隣ではじゅんが身じろぎする気配がする。
さゆるは目を瞑ったまま、夢とうつつを行ったりきたり。
ああ、なんて幸せな時間。もうしばらくは、何も考えずゆっくりと……。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年07月20日
参加申し込みの期限
2026年07月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年07月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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