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パカっと駆けてウマくいく!新春初夢☆福笑い満開フェア 鷹編
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目を開けた
京極 花音
は、まず膝を伸ばそうとして、すぐに諦めた。
頭上にも背後にも硬い板が迫り、肩をわずかに動かすだけで、箱全体がみしりと鳴る。薄暗い隙間には、赤と金の内張りが見える。大層めでたい箱らしいが、花音の長身を収めるには狭すぎた。
そして何より、狭いのは花音ひとりのせいではない。
「京極さん……?」
胸元から聞こえた声に、花音の背筋が跳ねた。
暁月 静
が、彼の胸板へ身を預けるような格好で収まっている。小柄な彼女でさえ足場を得られず、片膝は花音の腿に乗り、肩は腕の内側へすっぽり入り込んでいた。
「す、すみません。動こうとしたら、余計に狭くなってしまって」
「いえ! 暁月さんは悪くねえですから!」
勢いよく答えた声が箱の中で反響した。
静が驚いて身じろぎし、その額が花音の顎へ触れかける。避けようにも後ろは壁だ。花音は息を止め、両手を自分の肩口まで持ち上げたまま固まった。
触れまいとするほど、不自然な姿勢になる。それでも夢だからと、静へ無礼を働いていい理由にはならない。
夢なら、現状にも説明がつく。目覚めるまで耐えればよい。耐えれば――。
「京極さん、苦しくないですか?」
静が心配そうに顔を上げる。近い。睫毛の本数まで数えられそうな近さだった。
「だ、大丈夫です。俺は頑丈なんで」
「でも、お顔が赤いですよ」
「箱ん中が暑いんじゃねえですかね!」
板の隙間から染み込む冬の冷気には、ひとまず目を瞑った。
逃げ場を求めて視線を落とした先で、小さなものが白く瞬いた。
箱の底に、猫の足跡がある。
淡い光を帯びた肉球の跡は、静の裾の脇から花音の膝を越え、側面へ続いていた。散らばっているようでいて、目で辿れば文字に見える。
『みぎ』
「……右?」
「何かありましたか?」
「暁月さん、この足跡、見えます?」
静は足元を見回したあと、不思議そうに首を傾げた。
「足跡ですか?」
見えていないらしい。
花音は足跡の示す右側へ手を伸ばした。だが身体を捻れば静を押してしまう。声をかけ、できるだけゆっくり腕を回すと、彼女も身を縮めて道を空けようとする。そのたび肩や膝が触れ、花音の頭の中では警鐘が鳴りっぱなしだった。
「この辺に、何か……」
肉球が途切れた場所を指先で探る。板の継ぎ目に爪をかけると、かちりと小さな感触が返った。
次の瞬間、箱の蓋がわずかに浮く。
「開きました!」
差し込んだ白い光に、静の顔がぱっと綻んだ。
その笑顔を間近で浴び、花音は蓋より先に自分の心臓が飛び出さないか心配になった。
「俺が支えます。暁月さんから先に」
片手で蓋を押し上げ、もう片方の腕で足場を作る。静は礼を言い、慎重に箱の外へ這い出した。重みと温もりが離れると、安堵と名残惜しさが同時に湧き、花音は内心で頭を抱えた。
続いて外へ出ると、そこは雪の積もる神社の境内だった。
音は雪へ吸い込まれ、石灯籠の明かりだけが淡く並ぶ。背後には、赤い水引をかけた巨大な福箱。経緯はまるで分からない。
「あ、猫さん」
静が雪面を指した。
白い参道に、猫の足跡が続いている。今度は静にも足跡そのものは見えるらしい。ただし、花音の目には、その並びが別の形を結んでいた。
『すすむ』
「行ってみますか?」
静は歩き出した。
花音も追おうとして、左右を見た。一本道なのに進む方角へ自信が持てない。足跡がなければ、境内でさえ迷いかねない。
ひとつ先の肉球を踏まぬよう、花音は静の後ろを歩いた。
雪を踏む小さな足音。少し先を行く静の背中。その足元へ猫の跡が重なり、まるで彼女自身が道の続きを描いているように見える。
やがて足跡は大きく弧を描き、参道いっぱいに文字を作った。
【足跡を辿れば、愛しき人の背中に届く】
花音は立ち止まった。
「京極さん?」
静には読めていない。彼女は少し先で振り返り、いつもの穏やかな顔で手を差し伸べていた。
「こちらですよ」
道なら、もう見えている。
箱を出るための留め具も、雪の上の行き先も、ずっと足跡が示していた。けれど最後の一歩だけは、誰かに運んでもらうものではない。
花音は手を伸ばした。
静の指先へ触れる、その直前。
朝の光が、容赦なく瞼を射した。
花音は布団で目を覚まし、天井を睨んだ。
夢だった。分かっていた。それでも、差し伸べられた手の白さだけは妙に鮮明に残っている。
枕元のスマートフォンを取り、静とのやり取りを開く。文章を打っては消し、また打つ。初詣でも、デートでもない。ただの茶だ。そう言い聞かせても、送信の指は重かった。
『暁月さん、今日よかったら、バイトのあとにお茶でもどうですか』
見直せば、そっけないほど普通の誘いだ。
花音は深く息を吸い、目を閉じて送信した。
結果はまだ分からない。
それでも一歩ぶん、彼女の背中へ近づいた。
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ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年01月02日
参加申し込みの期限
2026年01月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年01月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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