【星幽塔】第三階層　あなたと一緒に収穫祭！｜リアクション

【星幽塔】第三階層　あなたと一緒に収穫祭！

＞収穫の時間だよ、集まれ～！

　星幽塔・第三階層：リア・トトの農場。
「やぁ、よく来てくれたね！」
　リアがそういって冒険者たちを出迎える。彼の後ろには、様々な作物が沢山実っているのを見、冒険者たちはそれぞれ驚いたり歓声を上げたりしている。
　その中で初めて星幽塔を訪れた朝鳥さゆるは、寝子島では見たことがない作物や、絵本に出てくるような妖精が存在している事に若干驚いているように見えた。
「わぁ～っ！　まるでアニメみたいじゃない！！　これは楽しむしかないでしょ！」
　傍らで歓声をあげるのは恋人の姫木じゅん。アニオタであるじゅんからしてみればこの異世界的なあれこれが興味をそそるのだろう。
（楽しそうだし、いいかしら）
　さゆるは恋人の楽しそうな姿に表情をほんのり緩ませた。
　その少し後ろでは、寝子島へ行っていたはずのほしびとのティオレ・ユリウェイスが僅かに緊張した表情になっていた。というのも、一緒にお出かけしていた若杉勇人も一緒に移転してしまったからだ。
（また急に……。彼は大丈夫かしら？　パニックになっていたら……）
「いやぁ、びっくりしたなぁ！　なんだろ、ここ……。面白そうだな」
　ティオレは思わず脱力した。勇人はパニックになるどころか、わくわくした様子で畑を見ている。
「ティオレさん、見てよ！　あんな大きなサツマイモの葉っぱなのかな？　とにかく見たことないって！！」
「そうね……。確かにあまり見た事ないかも」
　ティオレは少し考え、「珍しい農場での収穫体験に来た」事にして話す。と、勇人は「噂に聞いた実験農場みたいなもの？」と興味をそそられていた。
（こういうのを極楽蜻蛉というのかしら？　まぁ、都合がよかったわ）
　ティオレは内心ほっ、としながらも楽しな勇人の様子になんだか心がくすぐったかった。
「まさに豊作にゃー！　リアさん、誘ってくれてありがとうございますにゃ！」
　ミーツェ・Ｍ・フェリスがリアへお礼を言えば、彼は「むしろ、お礼を言うのはこっちだよ」と微笑み、どんな野菜が特に豊作なのかを教えてくれた。
　神野美野梨は生き生きと茂作物に幻視の光を使い、思わずと言った様子で感動に身を震わせる。
（この力、作物を育てた人たちの想いが伝わってきて、興味深いわね）
　眼鏡を正し、猫鳴館のみんなにも食べてもらいたいなと考えているとミーツェが不思議そうな顔で見上げていた。
　思わず自分のろっこん『友との語らい』を使い猫語で話しかけそうになったが、ミーツェはほしびとである。普通に会話できる事を思い出した。
「そういえば、寝子島に持って帰る事ができるのかしら？」
「なんとなくだけどそのまま星幽塔からは持ち出せない気がしますにゃー」
　美野梨が首を傾げて問うと、ミーツェはリアから聞いた注意点を教えてくれる。美野梨は少々難しい顔つきとなった。
「寝子島にこのまま持ち込めないなんて、どんな仕組みなのかしら。調理って火を通すことが条件なの？」
　彼女は「ブドウは皮をむいただけじゃダメかしら？　痛むしダメよね……」など色々と考える。調理自体はそれなりに出来るようになっては来たが……。
　ミーツェはちょうど誰もペアが居ないらしい。美野梨もちょうどペアが居なかったので２人で一緒に行動することにした。

「好きに収穫していいよ。調理場も貸すから、お腹がすいたら何か作って食べてほしい。よかったら味見させてくれると嬉しいな」
　リアはそう言うと「何か困ったことがあったら呼ぶように」と言って畑へと入っていった。彼もまた、収穫に勤しむのだろう。

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