寝子高七不思議シリーズ：骨格標本さんが転んだ？｜リアクション

寝子高七不思議シリーズ：骨格標本さんが転んだ？

　生物部では、骨格標本が動くという話を聞いて大騒ぎになっていた。
　事件現場はまさに生物部の活動場所である生物室。
「骨っち、動くんなら見たいよね」
　部員の新井すばるはそう言って隣の女子部員に話を向ける。
「記念写真を一緒に撮った生物部一期生仲間として、放っておけないわね」
　生物部の会計係を務める神野美野梨は神妙な表情で答えた。
「一期生仲間？」
「あ、冗談よ？　マスコットくらいには思っているけど……」
「冗談か……。神野さんの冗談って初めて聞いたかも」
　ぎょっとした表情で美野梨を見つめるすばる。
「うん、悪くないよ」
　とつぶやいて、さてどうするかと考える。
　生物部にある骨格標本は、普段から部長たちが青いアフロをつけたりパーティーグッズのたすきをかけたり遊んでいた。
　もしかして、骨っちはそれを快く思わなくて仕返しをするために動いたのか……？
「あは、ないか？」
　独り言を言いつつ、ポッケからルーペを取り出し、骨格標本を観察し始める。
　なにか欠けているパーツはないか、あるいは増えているパーツはないか。
　動く、という噂が本当かどうかわからないけど、なにかしら理由があるのかもしれない。
　そんな気持ちで見てみたものの、特にパーツの増減は見当たらなかった。
「見張っていても撮影しても動かないのね……」
　どうやってそれを確認するか。ろっこんで猫たちに聞いてみてもいいかと思った。
　その時。
　がらっと生物室の扉が開けられた。
「……っと、そうか、ここは生物部の活動場所か」
　扉を開けた修がつぶやく。
　その後ろにいたのは飛鳥、天野、レイ、利平だ。
　レイはリュックを背負っている。
「あなたたちは？」
　そう尋ねる美野梨に飛鳥が応える。
「骨格標本が動くって噂を聞いたからね、現場検証さ」
「僕も！　これっていい小説になりそうだからね！」
　元気な笑顔を見せるレイ、この中では飛鳥とならんで２年生だが、言動から年下に見える。
「まずは本人を拝んでおかねえとな」
「みんな考えることは同じだ。いっしょに行動しても構わないだろう？」
　天野はそう言ってすばると美野梨を見つめる。
「ああ、方法は違っても目的は同じなら仲間だ」
　すばるはにかっと笑って仲間を迎えた。
　合流した仲間は骨格標本の観察を始めた。

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