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- 00月00日生 00歳
- AAA000000
LIQUID -Star Chronicle- 仲夏の英雄譚
【サイドクエスト『パナーシェでのひととき』（４）】
波間をモチーフとした回廊が白砂の上へと寝そべっていた。壁には色とりどり、パステルカラーの花たちが飾られ、その合間にコミカルな画風の踊る魚たちやタコやイカ、サメにクジラがにこやかに、仲良く遊んでいる。回廊は放射状にいくつか伸びており、その中央には窓のついた青いドームがあった。高級リゾートの中で、どうやら子どもたちのためにもうけられたスペースであるようだが、アヤカ（プレイヤー：綾辻 綾花）はこの空間をいたく気に入った。
「ふふ、可愛いですね。あっ、見てくださいケイさん！ ここに浮き輪で泳ぐにゃんこもいますよ！」
「本当だ。はは、可愛いね」
ケイ（プレイヤー：早川 珪）は微笑み、アヤカの真横でそれをのぞき込む。素肌の肩と肩がぴたりとくっついて、アヤカは小さく跳ねた。恋人となってしばらく経とうというのに、いまだに慣れず、いつまでも新鮮な恋心が胸の内を揺らした。
いつもリキッド大陸で会う時には甲冑やローブを着込み、剣に杖に魔法書と装備を整え冒険へ出かけるものだが、
今日のところは武具のたぐいとはお別れ。水着に着替え、常夏の楽園パナーシェのバカンスをめいっぱいに満喫するのだ。
「砂浜のほうも歩いてみようか。珊瑚礁がすぐそばにあって綺麗だそうだよ」
「はい、いってみましょう」
浮き輪にゃんこに手を振って、白砂の上を歩む。まばゆい日の光を浴びてきらめくビーチは美しく、そして幻想的だ。じんわりと多様な青がにじみ合う空と、深いブルーの海はたがいに溶け合うかのようで、まるで巨大なキャンバス。浅瀬に見える珊瑚礁がきらきらと瞬かせる光は、神さまが気まぐれに塗り散らしたラメ入り絵具のよう。
「…………」
思わず言葉を飲んだ。黙したまま自然と、たがいの手と手が求め合い、絡み合う。舞い散る光の中でしばし、波間に揺らぐ虹を見つめた。
「ダイビングもできるそうだよ。やってみるかい」
アヤカのふたつ返事で、参加してみることにした。ちょうど出航するところだった船へ飛び乗り、沖合へ。
短時間の呼吸効果を付与してくれるという泡の魔法をスタッフにかけてもらい、ケイと手をつないだまま一面の青へ飛び込む。
（わああ……！）
目を見開く。間近に見るパナーシェの珊瑚礁はあたかも、夜空に浮かぶ星空のようだ。よくよく見れば珊瑚の合間をすいすいと泳ぐ魚たちの鱗にも光が灯っており、ＳＦ映画で宇宙船がステーションをゆきかうさまなど連想してしまう。それくらいのきらびやかで賑やかな海だった。
つんつん、と肩を突かれて振り向くと、ケイがこぽこぽ泡を吐き出しながらに指を差していた。
（あれは……？）
不思議な生き物が、優雅にブルーを泳いでいる。体長は１メートルくらいだろうか。アシカかトドのような頭部に、ぱちくりとつぶらな瞳。身体はなんだか丸っこくでっぷりとしている。アヤカたちを見つけると、小さな胸ビレを手のようにたたいて、出会いを喜んでいるように見えた。
（可愛いですね、ケイさん！）
アヤカの意図が伝わったか、彼はこくこくとうなずいて親指を立てた。
沿岸に暮らす＜パナーシェラッコ＞という種だという。身体に青や赤の燐光をまとわせながら、ゆったりと緩慢に海をゆく姿は神秘的でありながら、同時になんとも穏やかで牧歌的だ。きゅうきゅうと鳴き声は赤子のようで、歌っているようでもある。
（遊んで、って言ってるのかな？）
くるりくるり、アヤカたちの周囲をめぐるパナーシェラッコと、泡の魔法が切れるまで追いかけっこをして楽しんだ。隣には少年のようなケイの笑顔。まるで夢のようなひと時だった。
夜はディナーショウがあるというので、夕食がてら見学することにした。テーブルに並ぶ豪勢なフルコースはフレンチかイタリアンをイメージしているようで、すさまじいボリュームの肉盛り合わせやら巨大魚の姿焼きやら、とにかく大迫力だ。
周囲には客たちが同じく卓についており、ステージの始まりを待ちわびている。
「どんなショーなんでしょうか」
「さて。楽しみだね……おっと、始まるみたいだよ」
歌にダンス、漫才やコントなど『LIQUID』をネタとしたお笑いに、飛び入り参加アーティストの初々しい演奏。どれも熱い夏のリゾートを盛り上げてくれたが、ことにアヤカの目を引きつけたのは、
「……！ こ、これはっ」
ネコミミ型カチューシャをつけた子どもたちの、愛くるしいお芝居だった。
「にゃんこ！ かわいいなあ……！」
「ははは、みんないい演技をしているね」
リキッド大陸に伝わる童謡を下敷きとした劇で、登場キャラクターはすべて猫。たどたどしいセリフ、ぎこちない振り付け、時には転んでしまう子もいたが、健気に演技をがんばる彼らの姿に観客は釘付けだ。アヤカの胸もきゅんきゅんと揺れる。いつか自分にも子どもができたなら、あんなふうに愛らしい姿を見せてくれるだろうか……なんて考えてしまう。
それが思わず、口をついて出た。
「もし、子どもができたら……」
「……えっ！？」
「もし、ですよ？ にゃんこの着ぐるみでも着せてあげたいなって。きっと可愛いと思いますから」
早とちりか、彼はたいそう驚いたらしく、しばしむせていた。そんな彼の背中をさすってやりながら、珍しく慌てた顔がなんだかおかしくて、アヤカはくすくすと笑みをこぼした。
波間をモチーフとした回廊が白砂の上へと寝そべっていた。壁には色とりどり、パステルカラーの花たちが飾られ、その合間にコミカルな画風の踊る魚たちやタコやイカ、サメにクジラがにこやかに、仲良く遊んでいる。回廊は放射状にいくつか伸びており、その中央には窓のついた青いドームがあった。高級リゾートの中で、どうやら子どもたちのためにもうけられたスペースであるようだが、アヤカ（プレイヤー：綾辻 綾花）はこの空間をいたく気に入った。
「ふふ、可愛いですね。あっ、見てくださいケイさん！ ここに浮き輪で泳ぐにゃんこもいますよ！」
「本当だ。はは、可愛いね」
ケイ（プレイヤー：早川 珪）は微笑み、アヤカの真横でそれをのぞき込む。素肌の肩と肩がぴたりとくっついて、アヤカは小さく跳ねた。恋人となってしばらく経とうというのに、いまだに慣れず、いつまでも新鮮な恋心が胸の内を揺らした。
いつもリキッド大陸で会う時には甲冑やローブを着込み、剣に杖に魔法書と装備を整え冒険へ出かけるものだが、
今日のところは武具のたぐいとはお別れ。水着に着替え、常夏の楽園パナーシェのバカンスをめいっぱいに満喫するのだ。
「砂浜のほうも歩いてみようか。珊瑚礁がすぐそばにあって綺麗だそうだよ」
「はい、いってみましょう」
浮き輪にゃんこに手を振って、白砂の上を歩む。まばゆい日の光を浴びてきらめくビーチは美しく、そして幻想的だ。じんわりと多様な青がにじみ合う空と、深いブルーの海はたがいに溶け合うかのようで、まるで巨大なキャンバス。浅瀬に見える珊瑚礁がきらきらと瞬かせる光は、神さまが気まぐれに塗り散らしたラメ入り絵具のよう。
「…………」
思わず言葉を飲んだ。黙したまま自然と、たがいの手と手が求め合い、絡み合う。舞い散る光の中でしばし、波間に揺らぐ虹を見つめた。
「ダイビングもできるそうだよ。やってみるかい」
アヤカのふたつ返事で、参加してみることにした。ちょうど出航するところだった船へ飛び乗り、沖合へ。
短時間の呼吸効果を付与してくれるという泡の魔法をスタッフにかけてもらい、ケイと手をつないだまま一面の青へ飛び込む。
（わああ……！）
目を見開く。間近に見るパナーシェの珊瑚礁はあたかも、夜空に浮かぶ星空のようだ。よくよく見れば珊瑚の合間をすいすいと泳ぐ魚たちの鱗にも光が灯っており、ＳＦ映画で宇宙船がステーションをゆきかうさまなど連想してしまう。それくらいのきらびやかで賑やかな海だった。
つんつん、と肩を突かれて振り向くと、ケイがこぽこぽ泡を吐き出しながらに指を差していた。
（あれは……？）
不思議な生き物が、優雅にブルーを泳いでいる。体長は１メートルくらいだろうか。アシカかトドのような頭部に、ぱちくりとつぶらな瞳。身体はなんだか丸っこくでっぷりとしている。アヤカたちを見つけると、小さな胸ビレを手のようにたたいて、出会いを喜んでいるように見えた。
（可愛いですね、ケイさん！）
アヤカの意図が伝わったか、彼はこくこくとうなずいて親指を立てた。
沿岸に暮らす＜パナーシェラッコ＞という種だという。身体に青や赤の燐光をまとわせながら、ゆったりと緩慢に海をゆく姿は神秘的でありながら、同時になんとも穏やかで牧歌的だ。きゅうきゅうと鳴き声は赤子のようで、歌っているようでもある。
（遊んで、って言ってるのかな？）
くるりくるり、アヤカたちの周囲をめぐるパナーシェラッコと、泡の魔法が切れるまで追いかけっこをして楽しんだ。隣には少年のようなケイの笑顔。まるで夢のようなひと時だった。
夜はディナーショウがあるというので、夕食がてら見学することにした。テーブルに並ぶ豪勢なフルコースはフレンチかイタリアンをイメージしているようで、すさまじいボリュームの肉盛り合わせやら巨大魚の姿焼きやら、とにかく大迫力だ。
周囲には客たちが同じく卓についており、ステージの始まりを待ちわびている。
「どんなショーなんでしょうか」
「さて。楽しみだね……おっと、始まるみたいだよ」
歌にダンス、漫才やコントなど『LIQUID』をネタとしたお笑いに、飛び入り参加アーティストの初々しい演奏。どれも熱い夏のリゾートを盛り上げてくれたが、ことにアヤカの目を引きつけたのは、
「……！ こ、これはっ」
ネコミミ型カチューシャをつけた子どもたちの、愛くるしいお芝居だった。
「にゃんこ！ かわいいなあ……！」
「ははは、みんないい演技をしているね」
リキッド大陸に伝わる童謡を下敷きとした劇で、登場キャラクターはすべて猫。たどたどしいセリフ、ぎこちない振り付け、時には転んでしまう子もいたが、健気に演技をがんばる彼らの姿に観客は釘付けだ。アヤカの胸もきゅんきゅんと揺れる。いつか自分にも子どもができたなら、あんなふうに愛らしい姿を見せてくれるだろうか……なんて考えてしまう。
それが思わず、口をついて出た。
「もし、子どもができたら……」
「……えっ！？」
「もし、ですよ？ にゃんこの着ぐるみでも着せてあげたいなって。きっと可愛いと思いますから」
早とちりか、彼はたいそう驚いたらしく、しばしむせていた。そんな彼の背中をさすってやりながら、珍しく慌てた顔がなんだかおかしくて、アヤカはくすくすと笑みをこぼした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2025年07月10日
- 参加申し込みの期限
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- 2025年07月17日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2025年07月17日 11時00分
