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寝子島高校
音喫茶『琴線ムーシカ』
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人間が聞けば意外そうな顔を浮かべることだろうが、あやかしにも交流がありネットワークというものがある。顔の広いあやかしなどは霊界から寝子島にまで足を伸ばし手を広げ、市井に紛れて暮らしている者や生業を持つ者だっている。
ヴィーゼ・ベルンスタイン
が星ヶ丘地区にこの程オープンしたという新しい喫茶店を訪れることになったのも、そうしたつながりあってのことだ。ヴィーゼの勤める霊界カフェのオーナーが、ここの店主と古い知人であるらしい。
「ああ、あった。ここね」
ヴィーゼも時折寝子島を訪れる。クールな吸血鬼も街並みに紛れてしまえば、モデルばりのスタイルと美貌で道行く人々を振り返らせる一人の女性に過ぎない。熱い視線に気づくと振り返り、ぱちりとウィンク。悪戯っぽく笑みを残してから店の扉をくぐった。
「いらっしゃいませ、お客様。ああ……ベルンスタイン様ですね。お待ちしておりました」
燕尾服を完璧に着こなした老紳士の一礼に、ヴィーゼもふわりと微笑む。音喫茶『琴線ムーシカ』のスタッフらはいずれもあやかしなのだ。ヴィーゼにとってそれが縁となった。
「店主のバートラムと申します。以後お見知りおきを」
「あなたは……付喪神なのね。いいえ、皆がそうなのかしら」
「慧眼にございます。わたくしは年経た蓄音機の付喪神でして、こちらが……」
「シャーロットですわ、お嬢様」
しゃなりとカーテシーを披露したメイドのシャーロットは、チェロの付喪神だという。その隣に控える少女もまた付喪神で、彼女はリコーダーだそうだ。
「桐乃よ。よろしくね、お姉さん」
いささか跳ねっ返りらしいメイド少女を加えて、三人の付喪神が切り盛りする純喫茶だ。店内の落ち着いて上品な意匠、緩やかな時間感覚。控えめなBGMもその格調高さを演出する。ヴィーゼは一目で気に入った。店も彼らも、何と素敵なことだろう。
「それでは、お席へご案内いたしますわ。あちらでよろしいでしょうか?」
「ええ、構わないわ」
浮かぶように、滑るように歩くシャーロットの優雅に感心しながら席に着くと、早速メニューを開く。
「コーヒーと、何か軽食をいただきたいんだけど、お勧めはある?」
「でしたら、ランチセットはいかがでしょうか。本日はハムとチーズのホットサンドに、サラダとコーヒーが付きますわ」
「あら、いいわね。じゃあそれをお願いするわ」
注文を済ませると、取り出した文庫本を開いて一息つく。心落ち着く穏やかな空間に身を預け、心委ねる。湯気の立つホットコーヒーを一口。気になっていた小説の続きを焦ることもなく急かされることもなくゆったりと堪能する。
(我ながら、贅沢な時間よね)
ヴィーゼも霊界カフェのウェイトレスだ。いつもは特技を活かして忙しく注文をさばき、テーブルを片づけホールを掃除し、忙しく立ち回っている。その合間に自身も店自慢のコーヒーを味わったり、手が空いた時なら訪れるあやかしたちの話し相手になってやり、時に悩み相談に乗ってやることもある。当然ながらそれは仕事としてであり、ヴィーゼとカフェとのこれまでの関係性はあくまで雇用者と従業員、利用客を繋ぐ場としてのものに留まっていた。自らが客としてもてなされる立場になることは、これが何とも新鮮な感覚だ。
それにこの、店内を彩るBGMが実に心地良い。絶妙にして軽妙、心踊るも客の過ごし方を邪魔することなく静かに、しっとりとそこに在る。控えめながらに存在感を主張する様子は確かに、音喫茶の名にふさわしい。
肩を揺らしふと聞き入っていた、その時だった。
「……あら? この曲は」
天井付近に据えられたスピーカーの音色が変調し、ヴィーゼの耳へ届いたジャズミュージックのメロディにはどこか聞き覚えがあった。どこかで、いつだったか……確かに耳にした覚えがある。遠い昔に、あるいは近年に、定かではないが確かにどこかで。どこだっただろうか。ヴィーゼは首を傾げた。
「この曲をご存じですか」
気が付くと老紳士はカウンターの向こうでカップを拭う手を止め、聞き入っていた。
「古い曲です。今ではご存知の方もあまりいらっしゃらないことでしょう」
「そう……でも確かに、どこかで聞いたことがあるの。はっきりとは思い出せないけど」
耳を澄ませていると、シャーロットが音もたてずにコーヒーのおかわりを注いでくれた。桐乃は空いた皿を片づけてくれたがその所作は少々たどたどしく、擦れて軋みを立てる。
執事は静かに、穏やかに、そっと告げた。
「人も音も、一期一会。しかしふとした時に懐かしい顔と再び巡り合う幸運とて、無きにしも非ず。そんな巡り合わせがお客様の記憶を想起する、そのお手伝いをわたくしどもにさせていただけたなら、幸いにございます」
「そうね。漠然とだけど、たぶんどこかのお店で……うちの店かも? コーヒーを飲みながら聞いた曲、だったような。きっともう何十年も昔のことね。でも、思い出せなくてもいいの。少なくとも今、この曲を聞きながら飲むコーヒーは、とても味わい深くて美味しいものだから」
軽やかなジャズに聞き惚れながら、心行くまで読書を堪能した。
いつかまた、この曲と出会うだろうか。それともこれっきりだろうか。未来は分からず、だからこそこの一時を、この一瞬をヴィーゼは大切に胸へと抱く。再び味わえるとは限らないのだから。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
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網です。
音楽にまつわるカフェのお話でした。
絶対どこかで聞いたことあるんだけど、何の曲だったか分からない。思い出せない。喉まで出かかっててもう少しで思い出せそうなんだけど、出てこない。分からない。
そんなことありませんか。私はよくあります。
この前もふと頭に浮かんだメロディーが何であったか思い出せなくて、繰り返し繰り返し頭に流れても分からなくて、ずっともやもやしていて、CMが流れてはっとして思い出しました。「○雲(お線香)」でした。
それではまた次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年06月28日
参加申し込みの期限
2025年07月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年07月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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