this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム /
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
夏盛り、一篇の恋を携えて。扉がひらく、ふたりの頁へ。
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
豊かな漁場の条件を満たす海流に恵まれ、大きなシケの来ない大型内湾も持つ青森県は、魚介類の宝庫だ。駅から少し歩くだけでも、たくさんの居酒屋や和風レストランが並び、昼時の賑わいを見せている。
そんな中、4人が訪れた割烹は落ち着いた佇まいだった。不用意に店を覗いていく観光客もいなければ、格式張るような威圧感があるわけでもなくて……受け入れてくれそうな、そんな店。
お店選びはご両親の好意にお任せしていたけれど、綾花が緊張しないようにと気遣ってくれたのだろう。案内された2階の座敷から一望できる陸奥湾に、ちょっとだけ寝子島の様子が重なる。
「素敵なお店に招待してくださって、ありがとうございます」
見える景色も潮の香りも違うけれど、なんだか見守ってくれるような心強さに自然と微笑んでいた。綾花の気持ちが緩んだ姿に目を細めた珪の両親は、「さて」と仕切り直すように、にんまりと珪を見る。
「珪はいつまでだんまりなの?」
「水を差さなかっただけで、別に黙ってたわけじゃ……」
そっと珪の様子を窺った綾花と目が合い、珪はばつが悪そうに口を噤む。今日、綾花は両親と初顔合わせだというのに、まだ大事なことを『言っていない』からだ。
事前に軽く話はしていたし、今日だって綾花が自己紹介した折にでも紹介できた。なのに珪は、あえてタイミングを逃したかのように先送りしたのだ。
どこか期待した目が3人から注がれ、珪の言葉を待っている。それでも珪は、言葉を選ぶように拳を握った。
絶妙なタイミングで汁物と前菜が運ばれ、3人の視線は自然と珪から食材へ移り変わる。まず目に飛び込んできた刺身の盛り合わせは、深浦マグロやマイカにサザエと旬の鮮魚が並び、隣の小鉢ではホヤと山菜がさっぱりと和えられていた。汁物の土用しじみも随分と身が大きく、エキスを吸った出汁の香りが心地よく漂って食欲をそそる。けれど――やっぱり3人は、箸をつける前にもう一度珪へ視線を向けた。
さすがの珪も、今言わなければ始まらないと覚悟を決めて、お茶で喉を潤し一呼吸。一瞬だけ柔らかな笑みを綾花に向けてアイコンタクトを取ると、しっかり両親へと向き直った。
「……改めて紹介するね。お付き合いさせて頂いてる、綾辻綾花さん。大学で、司書の勉強をしているんだ」
恥ずかしそうに微笑んだ綾花が、「よろしくお願いします」と両親へと会釈して、緊張気味に様子を窺っている。しかし両親はポカンとしながら珪を見て、しげしげと綾花を見た。変な間が空く前に智子は雅貴を小突き、慌てた雅貴は居住まいを正して綾花に問う。
「大学生……?」
「はい、今年から珪さんの母校の木天蓼大学へ通っています」
「なら珪とは、大学のイベントか何かで?」
「それは……」
少し思いとどまって、綾花は珪を見上げる。彼がどこまで話してくれているのか、話して良いと思っているかわからなければ、踏み込むべきではないと思ったからだ。
テーブルの下で、珪が綾花の手を掴む。これから話すことは全てではないけれど、嘘はないと誓うように。
「とりあえずさ、食べながら話そうよ」
呆れたような息を吐いて、珪は食事を勧めた。特に2人が食べ始めないと綾花も食べられないだろうと冗談めかし、自分も率先して汁物に手をつける。
「すまないね、綾辻さん。珪には驚くなとだけ言われていて……まさか、こんなに若い方とは思わなくてね」
もう少し説明してくれていればと訴える雅貴の目線は、関係を咎めるものではなかった。その優しい目線が、珪に申し訳なさを募らせる。
結局、前もって綾花のことを多く語らずにいたのは、どこかで否定されたらという不安があったからだ。事前の印象で見定められたくない、なんて建前で押し通したけれど、認めてほしい人たちだからこそ、誤解なく伝え知ってほしかった。
「彼女は、勤め先の生徒だったんだ。卒業しても、慕ってくれて……それで、この春から」
いつから惹かれていたのかは、今は言えない。どんな3年間を過ごしていたのかも、まだ。
変な勘ぐりを入れられないように、心配をかけないように。両親を気遣う傍らで、綾花も不安にさせないようにと言葉を選ぶ珪の懸念は、もうひとつあった。
浮いた話ひとつ持ってこず、数々の見合いも断っていた息子が、ようやく交際相手を紹介してきた。両親だって少なからず期待があるだろうし、自分だって綾花に不誠実なことをするつもりはない。だからこそ――今は、これ以上綾花を気に入らないでほしいとも思う。矛盾を自覚しながら、珪は綾花に苦手な物はないかと声をかけつつ両親らの反応を伺った。
「なによ、隠そうとするからとんでもないとこで会ったのかと心配したじゃない」
ケラケラ笑う智子は、綾花の純朴そうな雰囲気からあえて例を挙げなかった。綾花も元生徒だという隠し事がひとつ減って、安堵の息を吐いている。
こうやって綾花の人となりを知ることで、打ち解けてほしい。けれどもし、『こんな若い子捕まえて、結婚まで考えてるの?』なんて聞かれたら、最適解はすぐに出てきそうにもなく、珪は愛想笑いで誤魔化した。
少しでも色よい返事をしてしまったら、親が乗り気になってしまったら――綾花は逃げられない状況になる。
(望んでくれるのと、選択肢がなくなるのとは……きっと違う)
濁さず答えるほどの覚悟はないし、関係を一気に重くしたいわけでもない。幸せを望んでいるから言えないのだと正当化する自分が、もの凄く卑怯な気はしたけれど他に術はなかった。
「まあ……そういうのはさ、恥ずかしいから機会があればってことで。こっちの見所でも教えてよ」
できるだけ不自然にならぬよう会話を切り替えて、珪は良からぬ話題に逸れないよう舵をとる。今日のところは、まだ初対面。話題はいくらでもあるはずだと、和やかな食事会が始まった。
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
夏盛り、一篇の恋を携えて。扉がひらく、ふたりの頁へ。
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月07日
参加申し込みの期限
2025年08月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年08月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!