ダツ☆ゴク　―命がけ脱出SHOW！―｜リアクション

ダツ☆ゴク　―命がけ脱出SHOW！―

＞あれから、３日後。

　脱獄に失敗したアリサは、ペアになった少年と共に罰として浴室掃除をやっていた。
「くーやーしーいー！　次はやってやるんだから～！！」
「はいはい」
　少年はアリサの声に相槌を打つ。
　あれから、二人はなんだかんだでつるんでいる。
　そもそも少年はアリサが裏切るのも計算に入れた上で協力していたらしく、さほど気にしていなかった。それにあっけにとられたアリサではあったが、こうして少しでも警戒しなくていい人間が増えたのは僥倖だと思えた。
「次もやるんでしょ？」
「あたりまえよ。こんなとこ、さっさとおさらばしてやる」
　少年の言葉に、アリサはデッキブラッシを動かしながら頷いた。

　一方、その頃。脱獄を成功させた真深は政府の車に乗せられていた。
　最初罠だとおもった彼女であったが「脱獄成功の証明が取れました」と言われ、脱力した。
　ついた先で入浴し、清潔な衣服と温かな食事を与えられた彼女に提示されたのは……大金と、隣国へのパスポート。
「貴方は自由です。一般市民として、隣国で新しい人生をお送りください」
　なんでも、脱獄を成功させたご褒美というのは経歴の改変も入っているらしい。真深は話を聞きながらも、心のどこかでは警戒を解いていなかった。
（なんか、……怪しすぎる）
　微笑みつつも考えていると、一人の男が別の書類を持ってくる。それには『契約書』と書かれていた。
「貴方の脱獄の腕を見込み、仕事を依頼したい。……隣国にも地下強制労働施設があるらしいのだが、その実態を調査してもらえないだろうか？」
「……え？」
　これは別に断っても得た賞金や自由を奪われるものではないという。しかし、真深にはその眼差しから『何が何でも請け負ってもらう』という意思を感じていた。

　とある日の昼食時間。食堂にいたシオは一人昼食を食べていた。
「ねー、シオさん。最短距離コースで脱獄成功した人知ってるー？」
　看守のタルトがのんびり声をかけてくる。シオは一礼してから小さく頷いた。最初はその情報に驚いたものの、先日まで刑務作業を共に行っていた相手がいなくなっているのを見、じわじわと実感がわいていた。
「……本当に、自由になれたんでしょうかねー」
「どーだろねー。ただの看守だしわからないんだよね」
　タルトは首を傾げ、ちらりとカメラに目を向ける。彼女はにっこりわらって何かのスイッチを入れた。
「次の『脱獄SHOW』は少し長めに時間を取って３か月後の予定だよ！　脱獄囚になりたい人は鍛えてまっててねー」
　そういいウインク１つすると、その映像を見た囚人達の声が聞こえてくるような気がした。

（終）

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