ダツ☆ゴク　―命がけ脱出SHOW！―｜リアクション

ダツ☆ゴク　―命がけ脱出SHOW！―

＞モニターの前にて／モニターの向こうにて

　タルトは一つのモニターを見、どこかへと内線を繋ぐ。その様子をふしぎに思うシオであったが、それよりも脱獄囚紹介の方が興味深かった。
「ふーん……。　じゃ、そっちはよろしく～」
　それだけ言うと、タルトは内線を切りオレンジジュースに口をつける。そしてシオと共にポップコーンに手を伸ばした。
「何だったんですか？」
「何でもないよ～。そ・れ・よ・り・も！　今回誰か脱獄成功させちゃうかな？」
「どうなんでしょうねぇ」
　シオはポップコーンを食べながら意気込みを語る脱獄囚に注目する。ちょうどアリサが独房のドア越しにインタビューを受けていた。
　すべての脱獄囚がインタビューを受けた後、タルトは楽し気に目を細めながら司会者に注目する。
「なんだか楽しそうですね」
「今回は、ちょっと趣向を変えて『囚人がペアで協力しないと切り抜けられないミッション』を用意したんだ」
　シオの問いかけに、タルトは口元を綻ばせながら答える。
「へぇ～、面白そうですねぇ」
「でしょー？」
　シオとタルトは頷き合い、その上でタルトは別のモニターに目線だけ向ける。
「評価とかあるんですか？」
「うーん、結果がすべてだから脱獄できるかどうかなんだけど。僕的には『仲良く脱獄』より『脱落した恋人を思って涙する』ほうが好きかな～？」
　ドラマあるよね☆　とウインク１つ。
　相槌を打ちながらも、シオは過去の『脱獄SHOW』に思いを馳せる。
（この間は暑さで脱落しちゃたなぁ～。あの時は天気良すぎで日差しが過酷だったよー……）
　まぁ、その時のファイトがあって模範囚にまできたのだが。
　シオはアイスティーを飲みながらしばし脱獄囚から目を離さなかった。

　インタビューが終われば、後はスタートするだけだ。
　アリサは深呼吸するとその瞬間を待った。
（予想外よね、ペア協力ミッション。……まずは『誰』とペアになるかよね）
　そう言いながら、参加する脱獄囚の数を振り返る。自分を合わせ１１人……つまり、ペアを作れなかった時点で脱落なのだ。
　脳裏に過るのは、今回の参加者達。みんな、普段の刑務作業などで知っている。その中で一番利用できそうな者とペアを組むか。それとも、信頼できる相手と？
（うかうかしていたらペアを作れずリタイアよ。迷っている暇はないわ）
　アリサの目がちらり、と左隣に向く。そこにいる囚人の少年は確か何度も『脱獄SHOW』に参加しており、しかも視聴率を上げる動きを狙うタイプである。
（賭けになるけど）
　アリサは真っ先にその少年とペアになる事を決めた。他の囚人達よりも早く彼とペアになる、と。
　そして、スタートの合図が鳴らされる。一斉に独房の鍵が開き、脱獄囚たちが外に出る。
「ねぇ、私とペアにならない？」
「ん？　まぁ、いいけど……」
　アリサは誰よりも早く少年に声をかける。彼は不思議に思いながら了承し、二人は早速ペア認証される。今回はペア成立すると腕章に同じ模様がでる仕組みになっているようで、二人の腕章に星のマークが浮かんだ。
「よろしく」
　少年が小さく笑いながら言えば、アリサも笑顔で頷く。だが、脳裏ではどのタイミングで裏切るか、それとも共に脱獄するか考えているのだった。

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