ダツ☆ゴク　―命がけ脱出SHOW！―｜リアクション

ダツ☆ゴク　―命がけ脱出SHOW！―

＞静かなるトウソウ

（始まったか）
　一人最短距離であるダクトを抜け、『緊急連絡用』の梯子を上っていた真深は今まさに死線を潜っていた。
「囚人番号005233発見、直ちに確保します」
「決して逃がすな」
「麻酔銃用意！」
　打ち出される麻酔針をどうにか回避し、確保に来る看守を足蹴りにして落とし、近くのパイプへと飛び移る。
「パイプを登るつもりだ！」
　ここを上り切ったら、ダクトに戻れる。彼女は看守に捕まれそうになりながらも必死にパイプを上り、ダクトを目指す。
（監視カメラさえ壊せたらいいのだけど）
　脱獄をショーとして放送するこの刑務所は、あちこちに監視カメラがつけられている。それは最短距離のここも例外ではなかったようだ。それが気になった。
（もしかしたら、ここも放送されている……？）
　嫌な予想が脳裏に浮かびながらも、真深は止まらない。彼女は看守が向ける麻酔銃の針をかわすとダクトへと潜り込んだ。
　ダクトは狭くて暗く、息苦しい。しかし、まだ真深の身体はダクトにつっかえることなく通る事が出来た。
　時折開いている穴から外が……看守たちが『脱獄SHOW』に挑む脱獄囚を捕まえようとする様子が見えた。
（こんなふざけた刑務所からはおさらばだ）
　彼女は外を睨みつけるとダクトを上り続けた。

　その頃、アリサは少年とトラップに挑んでいた。
　ここに来るまでに、すでに３人ほどリタイアしている。アリサは持ち前の明るさで少年と打ち解け、なんとかコミカルなテンションで中盤まで生き残る事が出来た。
　二人で同時に踏まないと開かないドア。しかし、片方が足を離すとすぐに閉まってしまう。
（まだ切り捨てるには早いわね）
　アリサは少年を先に行かせてドアを押さえてもらうと、素早くドアの中へ駆け込む。どうにか滑り込もうとした彼女だが、少年が手を滑らせドアが閉まり……靴が片一方脱げた状態で入室する。
　扉の向こうには、尖った砂利が引いてあり、裸足だと辛そうだ。
「リアクションを楽しむためかしら？」
「さあ？　僕の靴貸してあげるからおんぶしてくれる？」
「別にいいわよ～」
　アリサはまだこの少年と手を組んでおこうと考えながら軽口に付き合うのだった。

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