オトナもコドモも、ダレデモ学校｜リアクション

オトナもコドモも、ダレデモ学校

「はい、ホームルームを始めますよ。皆さん席についてくださいね」
　先生がそう言うと、みんなはばたばたと自分の席へ着きました。
　先生はしっぽをフリフリしながら名簿を開くと、教卓の上に寝転んでいる猫の背中をひと撫でしてから、生徒たちの名前を呼んでいきます。
「桜井ラッセル君」
「はいっ」
「風の精晴月さん」
「はーい！」
　ラッセルは少し戸惑って、晴月を見ました。にこにこ笑って、楽しそうです。
「急にこんなとこに呼ばれてびっくりしたけど、あぶねーことはなさそうだな。せっかくだから楽しむか！」
「うん！」
　続いて先生はふたりのお隣、二人組へ目を向けます。
「佐藤英二君」
「はい」
「野々ののこさん」
「はいはいはい！」
「ふふふ、ののこさん、お返事は一回でいいですよ」
「はーいっ」
　英二はたはは、と苦笑い。いつも元気なののこには振り回されがちですが、それが楽しいとも思います。もちろん二人も楽しむ気、マンマンです。
「吉田熊吉君」
「オイッス！！」
「鴉天狗太郎君」
「へいっ」
「次はええと、ほしびとの……エルフィン・マジカさん」
「はいですわ！」
「元気がいいですね。次は、椎井莉鳥さん」
「……はい」
　また神魂の仕業？　と莉鳥は首を傾げます。机の上でくつろぐ猫が、にゃおんと機嫌良さそうに鳴きました。何だか奇妙な状況だけど、まぁいっかと思います。
「最後は、夢宮瑠奈さん」
「はいっ」
「うん、全員出席！　皆さん、ちゃんと学校に来てえらいですね」
　瑠奈はにっこり。伊達メガネをちゃき、と指で押し上げました。今日の瑠奈は、ちょっと優等生のフリ。
　不思議な現象は、何だかんだでいつものこと。危険な感じではなさそうだし、周りを見れば、先生は犬のあやかしだし。熊吉先生がちょこんと座ってるのも面白いし。妖怪とかほしびとがクラスメートなのも、わくわくしてしまいます。
「みんなで楽しく勉強しようね」
　瑠奈が振り返ると、ラッセルと晴月は揃ってうなずき、英二はののこに合わせて親指をびしっと立てます。莉鳥は猫をなでなでしながら、「ええ、そうね」と言いました。
「それじゃ、ホームルームはここまで、皆さん、今日も元気にお勉強しましょう。一時間目はこくごですよ。教科書は持ってきましたか？」
　ののこが、？？　と机の中に手を突っ込むと、そこにはぴかぴかのこくごの教科書がありました。ののこの瞳もぴかぴかと輝いて、英二は笑います。
「さあ、教科書の２１ページを開いて。今日は『おむすびころりん』を読みましょう。熊吉くん、読んでみてくれるかな？」
「オイッス！！　むかしむかし、ある村に働き者のやさしいおじいさんとおばあさんが……」
　猫がにゃ～と大きなあくびをして、クラスのみんなはきゃはは、と声を上げました。

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