オトナもコドモも、ダレデモ学校｜リアクション

オトナもコドモも、ダレデモ学校

　帰りのホームルームにて、先生が言いました。
「皆さん、今日も一日お疲れ様でした。お勉強、頑張りましたね。おんがくでは素敵な歌を聞かせてもらいました。ずこうで皆さんが描いた絵は、宝物のようですね。ドッジボール対決も白熱したし、試合を通じて皆さんもより仲良くなることができたと思います」
　そしてみんなをぐるりと眺めて、一人一人の顔を見つめます。
「今日も、明日も、かけがえのない日が続いていきます。皆さん、今日の思い出を忘れず、真っすぐに生きていってくださいね。それでは、ホームルームを終わります。校門を出たら、真っすぐに歩いていってくださいね。そうすれば、ちゃんとお家に帰れますからね」
　校門のあたりには、霧が出ていました。霧の向こうは真っ白で見えないけど、鴉天狗君は空を飛んで、エルフィンさんは魔法を使って、みんなへ「さよーなら！」と手を振りながらびゅーんと帰っていきました。
「さぁみんな、帰るぞー。後ろは振り返らずに、真っすぐに歩くんだぞー」
　そう言って先導する熊吉君に続いて、ラッセルも晴月も、莉鳥も、英二とののこも、瑠奈も、みんなで手を繋いで歩きます。
　おしゃべりをしながらてくてくと歩いていたら、霧が晴れて……みんなはいつのまにか、見慣れた寝子島に立っていました。
「それじゃ、みんな、さよーならー」
「うん、さようなら。また明日」
「またね、ばいばい」
　それぞれの道を歩いて、家路を急ぎます。
　みんなの頭の中にはずうっと、先生の言葉が浮かび続けていました。今日の思い出を忘れずに、真っすぐに。
　青く晴れた空にうっすらとオレンジがかかり、夕方のぬるい風が、みんなの背中を押すように吹きぬけていきました。

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