海上リゾート・ネコトピア　ねことにゃんことひととひと｜リアクション

海上リゾート・ネコトピア　ねことにゃんことひととひと

【またね、だニャア！】

　二日目の夜はしずかにふけてゆきました。
　大きなガラス窓の外は、海。水深は浅く、月明かりが溶けてぼんやりと明るく灯る水の中をゆったりと、悠然と、クジラが身をくねらせ泳いでいきます。大きなクジラと、小さなクジラ。親子でしょうか？　イルカたちもやってきて、きゅきゅ、と軽やかに歌を響かせました。なめらかな肌が月とネコトピアの光を照らし返して、きらきらきらり。
「わあ、かわいい！」
　イルカといえば、綾花の着込んだパジャマは黒地に青いイルカ柄。デフォルメされた愛らしいイルカたちに、綾花もほっこり。そういえば、レオといっしょにネコトピアを作り上げた、イルカのルフィは元気かな？　イルカの群れの遊ぶ姿に、彼へと思いを馳せました。
「はは。僕はなんだか、恥ずかしいな……」
「そんなことないです。かわいいですよ」
　珪さんの白いパジャマには、たくさんのクジラたちが描かれています。親子で泳ぐクジラ、潮吹きするクジラ、海面へ向かってジャンプするクジラ……綾花はやっぱり、ほっこりです。
「お茶会では驚いたね。もうひとりの綾花さんだなんて」
「はい。もうひとりの珪さんとも会ってみたかったです。きっとカッコイイでしょうね」
　アヤカやにゃんこたちと遊び疲れて、急に襲ってきた眠気に綾花は目をしぱしぱ。珪へしなだれかかると、彼を巻き込みぽすんとベッドへ。
「今日も楽しかったですね。おやすみなさい、珪さん……」
「うん。おやすみ、綾花さん。良い夢を」
　珪さんの胸の上で、ほどなく綾花はまさしく、ねこたちと仲むつまじく遊ぶ素敵な夢へと落ちていきました。

　明けて三日目。
「また来るニャ～、綾花！」
「うん……次のお休みにも来ちゃうかも」
「ニャはは。今度は学園長のオレも紹介するからニャア」
「本当？　楽しみにしてるね。元気でね、レオ」
　見送りにきてくれたレオをむぎゅっとして、ほっぺたにちゅう。ニャッハッハ、と彼はからりと上がった晴れ空に負けじと明るく笑います。
　名残り惜しいけれど、残念ながら寝子島へ帰らなければなりません。ネコトピアの端っこ、桟橋からカジキタクシーに乗り込んだら、寝子ヶ浜海岸までばびゅーん！　あっという間です。
「もーいっちゃうニャー？　さみしいニャー」
「クロワ……」
「まっ、またすぐ会えんだろ」
「そうですね！　ネコトピアでお待ちしていますから」
「テオ。ミラちゃん……」
　むぎゅっとして、ふかふかの毛並みをなでなでしていると、とたんに寂しさがこみあげてきて、綾花は思わず瞳をうるませます。その肩をやさしく珪さんが抱き寄せ、支えてくれました。
　桟橋にはアルクとお友だちの三匹や、仲良くなったねこたちが集まって、綾花をお見送りしてくれました。
　もちろん、もうひとりのアヤカも。彼女はちょっぴり眉尻を下げ、寂しそうにはにかんで、
「次にお会いするときは、私も……ケイさんと」
「楽しみにしてますね。頑張って！」
「はい！」
　わあわあにゃあにゃあ、ふにゃふにゃとにぎやかな声に後ろ髪をひかれつつもタクシーに乗り込み、綾花と珪さんはネコトピアを後にします。どぎゅーん！　っと、タクシーは寝子島目がけて一直線。
　潮風浴びてはためく綾花の髪を、少ししっとりとした頬を、隣の珪さんの指がやさしくなぞります。
「二泊三日、あっという間だったね」
「そうですね。でも楽しかったですね、珪さん。にゃんこたちもかわいかったです」
「うん。また来ようか」
「今度は、別世界のネコトピアにも行ってみたいな。すごく大きな図書館があるそうですよ！」
「へえ、それはぜひ見てみたいな」
　異世界の図書館だなんて、言葉だけでもわくわくです。
　寄りそうふたりを乗せたまま、快速タクシーは海を走ります。爽快な風を受けて、ふと振り返ると、
「あっ。みんな、まだ手を振ってる！」
　遠ざかってゆくネコトピア。愛らしい肉球を見せてぱたぱたと手を振るにゃんこたちへ、綾花もめいっぱいに手を振り返します。胸にはいつまでも、洋上の清々しい風の香りが残りました。

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷幽です。『海上リゾートネコトピア』、リアクションをおとどけいたします。

　ふたたびのネコトピア！　どんどんとこの世界が広がっていくのが、私も楽しいです。わくわくですね。
　なにやら新しいアトラクションも続々と作られてゆくようですし、まだまだお楽しみがいっぱいなようですよ。
　ぜひまた、おとずれてみてくださいね。

　それでは、今回もプライベートシナリオにご指名いただきまして、まことにありがとうございました！
　次のシナリオでまたお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
　お疲れさまでした！

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