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未来の君に贈る言葉
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◆未来の君に贈る言葉
その女性は随分と年を召した人物だった。
綺麗にまとめられた白髪に、その顔には年齢と共に刻まれた優しい皺。腰は曲がってはないものの、片手には杖を握っている。上品な婦人の様相には、然して確かにあの写真の少女の面影が残っていた。
彼が名を呼ぶ。彼女が彼を呼んで答える。
花が舞った。暫し流れる小さな沈黙を、一同は固唾を飲んで見守る。
さらりさらりと散る桜色の中、やがてほっと息吐くように女性が——花が口を開く。
「本当に春義さんなんですね」
「うん、そうだよ。花ちゃん、花ちゃんなんだね。覚えていてくれたんだ」
「ええ。忘れませんよ。あれは本当に大切な約束でしたから」
——きっと、またいつか。この場所で逢いましょう。
思い出の糸を手繰り寄せるように、一歩、また一歩と二人の距離が近付く。
ふと、花がこちらを向いた。そういえばと言わんばかりの顔で、彼女は不思議そうに小首を傾げる。
「この方々は?」
「ああ、えっとね、協力してくれた人達だよ。どうしてもタイムカプセルに入れたかったものがあって、でも、場所がわからなかったからさ。一緒に探してくれたんだ」
「そうだったの。それはそれは、皆さん本当にありがとうございます」
そう頭を下げる女性に釣られて頭を下げる者もあれば、いいえと小さく首を振る者もあるだろう。そんな各々の行動を目に朗らかに微笑むと、花はまた春義に向き直った。
「入れたかったもの?」
「ああ、うん」
春義が掌を広げる。春の陽光を受けて輝くそれは、銀の指輪だった。
随分と古風なデザインだと思う者もあるかもしれない。然してどんなに時が経とうとも、錆も傷一つも入っていないそれは、美しい姿のまま、褪せる事ない彼の想いを具現化しているようだった。
「もう一度出逢えたらプロポーズしようと思ってて」
「まあ……」
「結局それは叶わなかったから。せめてタイムカプセルを君が開ける時に、指輪ごと僕の想いを渡せたらって。ねぇ花ちゃん……君は、幸せだった?僕は君をずっと待たせてしまった、きっと辛い思いをさせてしまった。いっそあの時約束しなければ、僕と出逢わなければそんな思いをさせなくて済んだのにって。ずっと、ずっと思ってたんだ……」
項垂れながら小さく「ごめん」と零す春義に、花は静かに首を振った。
差し出された指輪を彼の掌ごと両手で包み込むと、春の日差しのようなまろい笑みを浮かべる。
「いいえ。私こそ貴方にそんな思いをさせてごめんなさい……でもね、春義さん。私は幸せですよ。幸せだったじゃなくて、今も、昔も、ずっとずっと、貴方に逢えて幸せなんです。私はもうすっかりおばあちゃんになってしまったけれども、それでもまだ、こんなにも好きな人がいる事、貴方との思い出がこんなにも優しく胸をあたためてくれる事が嬉しくて仕方がないの」
「花ちゃん……」
「出逢ってくれてありがとう春義さん。愛してます、今も、昔も、ずっと、ずっと……」
さらり、さらり、花弁が舞う。ふさり、ふさり、桜色が彼らを包み、隠した。
ゆっくりと進む時の中、そのまま2人だけの物語の終わりを紡ぐように。
「……」
「綾花さん?」
綾辻が早川の手を繋ぐ。そのままそっと寄り添うように身を寄せる。目は、桜色の向こう側に居る二人を見つめていた。
彼らはきっと、もう、お別れなのだ。春義の体が、仄かに僅か、空気に溶けては透けていく。もう二度と彼らは逢えないのかもしれないと、そう思った瞬間に、どうしてだか隣の存在が酷く儚いものに思えてしまったのだ。愛しくて、大切で、大事で、かけがえのない宝物で——溢れる感情のまま、握った手を僅か、強く握る。早川は何も言わずふっと微笑むと、ただ、静かに抱き締めてくれた。
「おやおや、お熱いなぁ」
「三毛谷さん?揶揄っては駄目ですわよ?」
「ええ、ここはそっと見守るのが大人よ」
三毛谷が花咲と仙藤に軽く嗜められている側で、稲積とシオはふっと息を零す。
「ウォルターさん……」
「私も。あの人の声、聞きたいかも……」
大切な人がいる。愛しい人がいる。
もう二度と逢えない誰かを想い、いつか出逢う誰かを夢見、思いを馳せる。
恋の甘さや愛のまろさ、家族のぬくもり、やわらかくも切ない別れの痛みを、ここに居る誰しもが知っていた。ふっと溢るる、脳裏に焼き付いた思い出が、胸を優しくあたためる感情が、溢れて、満たして、止まない。寂しさに似たやわらかい切望を覚えれば、嗚呼、心が言葉を紡ぎ出す。
久保田はそっと携帯電話を取り出した。
開いた画面、目にした愛しいその名に胸がほっとあたたまる。
「もしもし?ああごめん、ちょっと声、聞きたくて————」
目の前で、春義の姿が一等儚い姿に変わる。
桜色の舞う中で聞こえた言葉は、未来の君に贈る言葉。
彼は言った。「ありがとう」「さようなら」
彼女も言った。「ありがとう」「さようなら」
それは、彼らの中で止まってしまった時を動かす魔法の呪文。永遠のあの日とさようならをする為の別れの呪文。
彼は還る。次の未来の世界へ。
彼女は進む。明日という未来の世界へ。
ありがとう。さようなら……きっと、またいつか。
幸せそうに微笑む春義は、そのまま静かに季節に溶けた————。
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あとがき
担当マスター:
盛見ざわわ
ファンレターはマスターページから!
ご参加誠にありがとうございました。盛見ざわわです。
初シナリオという事で、緊張や不安もありつつも、皆様の素敵なアクションに胸躍らせつつ、大変楽しんで執筆させていただきました。
春は、出会いと別れの季節に御座います。
このシナリオはあくまでそんな季節の1頁に過ぎません。
小さな花の芽吹きのよう皆様の心に何かしら感じるものが一つ、掌に零れ落ちた雫のように心に小さく残る欠片が一つあればと思います。
このシナリオの後、皆様がこれからどんな風に過ごされ、どんな風に羽ばたいていかれるのか、活躍に思いを馳せつつ、あとがきとさせていただきます。
尚、個別のあとがきは御座いません。
如何せんお一人お一人に掛けたい言葉が多く、文字がまとまりきらない為、書くのが憚られております。
シナリオの執筆にも慣れてきましたらその時はと思っておりますので、宜しければまた、どこかでお会いしたく存じます。
兎にも角にも、少しでもお楽しみいただけたのなら幸いです。
改めまして、ご参加誠にありがとうございました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
盛見ざわわ
シナリオタイプ(らっポ)
イエローシナリオ(50)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
10人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年03月18日
参加申し込みの期限
2025年03月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年03月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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