山のふもとの古民家カフェ『CIRCOLO』｜リアクション

山のふもとの古民家カフェ『CIRCOLO』

●恋人との幸せな時間

　稲積柚春とウォルター・Bが両想いになって1年半近く経った。
　寝子高を卒業し、やっと彼と恋人になることができた。翌月には結婚を前提に交際、婚約したのでより一層、その思いが強い。
　県外デートも多かったので、今日の初夏寝子島デートはウォルターの九夜山付近の新規開拓、お勧めのお店探しをしようというプランに。
「新規開拓？　お勧めのお店？　楽しみ！」
「そう言ってもらえると嬉しいねぇ。まずは神社に行こうか」
「今まで見守っていてくれた感謝と、これからもお願いしますってお参りしよう」
　寝子島神社に行き、賽銭箱にお賽銭を入れ、鈴を鳴らして二拝二拍手一拝してから神様に「ありがとうございます」と感謝を。
　その後は、耳福池で水鳥や季節の植物を眺めながらゆったりと散策。その時、柚春はあるお店を見つけた。
「……古民家カフェ？　ワットはあのお店、知ってた？」
「知らないなぁ。あのお店で休憩していこうか」
　新規開拓できたと楽しむウォルターは、ここでお茶しようと提案。

　古民家カフェの外観は年季が入って味わい深い木造だが、店内は現代風ダイニングに近い。
「外側は古民家だけど、中は懐かしい雰囲気がするお洒落なカフェだねぇ」
　好奇心旺盛なウォルターは、さっそく店内を見回す。
「木彫りの人形があるよ。これ、お土産に買っていかない？」
　この調子だとまったりするより、土産物を見たり店内を見るのに夢中になるかもしれない。
（……デート、だからね？）
　柚春は心の中でぼやきつつ、空いている席に着こうとウォルターをカフェスペースに連れて行く。

　席に着いた2人は、メニューを見て何にしようか考える。
「古民家カフェだから甘味処なイメージあったけど、洋食も多いんだね」
「そうだねぇ。あれもいいし、これもいいし……」
　メニューを決めかねるので、こういう時はお店の人にお勧めを聞いてみよう。
　意見が合ったところで、柚春が店員を呼んで聞いた。
「今日のお勧めのデザートってありますか？」
　本日のおすすめは三色パフェです。いかがですか？　と言うので、柚春はそれにすることに。
「ワットは何にする？」
「そうだねぇ。僕はふわふわパンケーキとコーヒーにするよ」
　注文した後、柚春は店員に撮影してもいいかと確認してから写真を撮ることに。
　カプセルギアのворをテーブルにある木彫りの動物の側に置き、位置を調整してから撮影。
「このメニュー立てなんかも店長さんの作品かな？　温かみがあって素敵だね」
「木でできているねぇ。お店の雰囲気に合っていると思うよ」

　注文した三色パフェとふわふわパンケーキが運ばれてきたので、それも撮影。
　撮影した後、柚春はチョコアイスを一口。
「美味しい……」
「ふわふわパンケーキも食べてみるかい？　美味しいよぉ」
　そう言って、ウォルターは一口サイズに切り分けたパンケーキを柚春に食べさせる。
「うん、美味しい。この美味しさ、ワットと分け合いたいな」
　どれが食べたい？　とウォルターにチョコ、バニラ、ストロベリーから食べさせるアイスを選ばせる。
　柚春は本来、ウォルターは食べ物をシェアすることを好まないことを思い出だした。
　幸せは分け合いたい。
　柚春がそう言ったことで、シェアすることに徐々に慣れてくれた。だから今日もウォルターと食べさせ合い、美味しいものと幸せ分かち合う。
（やっぱり幸せ……彼も幸せだといいな。好きだよ、ワット）
　他の客や店員に聞かれたくないので、柚春は心の中でそう言った。

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あとがき

担当マスター：カターレ
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カターレです。
古い日本家屋をリノベーションした味わい深いカフェ、いいですよね。
木の柱、梁、欄干といった昔ながらの建築様式と現代風のインテリアとメニュー。
和と洋、両方の良さを取り入れたお洒落な雰囲気を楽しんでいただけたのであれば幸いです。
お土産品の木彫りの人形も気に入っていただけたら、と思います。

皆様が古民家カフェでのひと時、楽しんで書かせていただきました。
ご参加、ありがとうございました。

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