山のふもとの古民家カフェ『CIRCOLO』｜リアクション

山のふもとの古民家カフェ『CIRCOLO』

●雰囲気を楽しみ、味わう

「コーヒー、美味しいですね」
「香りだけでなく味も良いね」
　味わいながらゆっくりと飲む珪を見て、綾花はお誘いして良かったと安心した。
「珪さんがコーヒー飲んでる姿も絵になりますね」
「そうかい？　普段と変わらないと思うけど」
「そんなことないです。静かで落ち着きのある雰囲気にぴったりです」
　珪さんはいつもかっこいいですけど、というのは心の中で付け加え。
　そう思いつつ、ナイフで食べやすい大きさに切り分けたパンケーキにメープルシロップをかけてから一口。
「ふわふわで幸せな甘さです……」
　すごく美味しそうに食べながら、こんなパンケーキを作って、それを珪に食べてもらいたい。
　美味しいと言ってもらえるよう、頑張らないと。
　そう思いつつ、綾花はパンケーキの味を覚えようと味わって食べる。

「うむ、美味しい！」
　ナポリタンを食べるなり、文也はそう言った。
「今度から、昼はここに食べにくるのもアリだな。次に来た時は日替わりランチにしてみよう」
　デザート類も美味しそうなので、これも頼もうと次に来た時のことを考える。

　コーヒーを飲み終え、パンケーキを食べ終えたので店内を見てみることに。
　カフェコーナーだけでなく、お土産品の木彫りの人形が並んでいるショップコーナーも和の趣がある内装だ。
「愛嬌が可愛いです」
　目についた木彫りの鳥を手にし、古民家カフェのことを教えてくれた友達に買っていこうと決めた。
　一旦手にした鳥を戻すと、その側に置かれていた木彫りの猫が気になった。
「あっ、木彫りのにゃんこですよ。可愛いですね。丸まって寝てる姿が可愛いです。色違いとかもありますよ」
　猫だけでなく、他の人形も色違いのものがある。
「珪さんはどれがお気に入りですか？」
　これはどうだい？　と珪が選んだのは白い木彫りの猫。それは綾花は可愛いと言った猫と同じものだった。
「あ、お揃いですね。これ、買っていきませんか？」
「いいね。買っていこう」
　お揃いの木彫りの猫。綾花の友達のお土産に木彫りの鳥を買うことに。
「にゃんこ、どこに飾りますか？」
「どこに飾ろうか」
　カウンターで会計を済ませ、古民家カフェを出てから二人は歩きながら飾る場所について話していた。

　食事を済ませた文也は、会計を済ませると木彫りの人形が置いてある棚に近づいた。
「木彫り人形も売っているのか。ふむふむ……なるほど、これはいいね」
　その中で特に気に入ったのは、ちょこんと座って本を読んでいるクマ。
「本を読むクマなんて、うちの店にピッタリだ。愛らしくて可愛いし」
　買って帰り、インテリアとして置かせていただこうかな、と手にしてじっくりと見る。
　気になるのは作製に相当な時間がかかっているのでは？　ということ。完成させるのは大変だっただろう。
　じっくり見ていると、店の様子を見に来ていた店主が「その子、気に入ったご様子ですね」と話しかけた。
「ここの店主さんですか？　この人形を作った人はどなたですか？」
　そう尋ねると、それは木彫り作家である夫が丹精込めて作ったものだと教えてくれた。
　人形を見てくれた人の心が安らぎ、和んでくれますよう。木のぬくもり、優しさを知ってほしいという思いも込め、ひとつずつ丁寧に作っているのだとか。
「……なるほど、それはすごい」
　文也も店が暇な時間は店内の本を読んだり裁縫したりしているので、その時間を利用して木彫りに挑戦してみようかな？　と思った。
　店主に教えてくれてありがとう、と礼を言った後、クマの人形を買う。
　店に戻るなり、そのクマをカウンターテーブルに置く。これは良いマスコットになるだろう。

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