山のふもとの古民家カフェ『CIRCOLO』｜リアクション

山のふもとの古民家カフェ『CIRCOLO』

●初めてのお店で

「ウォルターさん、もしお時間あれば一緒に行きませんか？　この間、散歩の途中で見つけたお店が気になってまして」
　気分転換に九夜山付近を散策していた時に、倉前七瀬は古民家カフェ『CIRCOLO』を見つけた。
　立ち寄ろうとしたが、初めてのお店はウォルター・Bと一緒にと思い、彼を誘い散歩がてら立ち寄ることに。
　春になり日中は次第に暖かくなってきているが、朝晩はまだ肌寒い。古民家カフェに行く前に九夜山付近を散歩している今も少し肌寒い。
「古民家カフェっていいですよねぇ。なんというか温かみがある気がします。落ち着く、というか」
　着いたら温かいものを飲みたいですねと話しているうちに、お目当ての古民家カフェに辿り着いた。
「旧市街はこういうお店が多くて楽しいです。僕、結構レトロなものが好きなのかも？　ウォルターさんは好きですか？　レトロなもの」
　築100年くらい経っている木造古民家という外観をじっくり見て、ウォルターはイギリスの田園都市みたいでいいねぇと言った。好きそうだと思った七瀬は、誘って良かったと胸を撫で下ろす。
「七瀬が見つけたお店の中、どんな感じなんだろうねぇ。早く入ろう」

　和の趣ある外観と異なり、店内は梁と欄干はそのまま使っているものの現代風ダイニングに近い作りになっていた。
　内装は現代風だが、木製のカウンターテーブルと厚みある木製のテーブル。木目が特徴のアンティーク感漂うチェアは古民家に合った雰囲気を醸し出している。
　空いている席に着き、2人は一緒にメニューを見る。
「さて……何にしようか迷いますねぇ」
「そうだねぇ」
　何にしようか迷ったが、七瀬はパンケーキとコーヒーに決めた。
「ウォルターさんはどうされますか？」
「僕は懐かしのナポリタンにするよ」
「あ、それ僕も気になってたやつです」
　ウォルターは店員を呼び、ふわふわパンケーキと懐かしのナポリタン、コーヒーを２つを頼んだ。
　
　先に運ばれたのは、ウォルターが頼んだナポリタン。
「あ、それ気になってたやつです。……僕のパンケーキが来たら一口交換しません？」
「いいよ」
　一口食べると、子供の頃に食べたことあるかもといった感じにさせる懐かしい味がした。
　ウォルターの口元にケチャップがついたので、七瀬は紙ナプキンで拭く。
「ありがとう。あ、七瀬のパンケーキが来たみたいだねぇ」
　運ばれたパンケーキを見て、七瀬は美味しそうです……とナイフで一口サイズに切って一口。
「パンケーキ、ふわっふわで美味しいですー。ちょっと待っててくださいね」
　食べやすい大きさに切り分けてから、ウォルターにどうぞと勧める。
「ふわふわで美味しいねぇ。今度来た時は、これを頼もうかなぁ？」
「その時は、僕はナポリタンにしますねぇ」

　食後のコーヒーを飲み終えた後は、お土産品の木彫りの人形を見る。
「ふむん……なんだかこのキツネさん、ウォルターさんっぽい気がします。こっちのヒツジくんは、なんだか眠そうな顔していて僕に似てるかも……？」
「キツネは僕っぽいかなぁ？　ヒツジは七瀬に似ている気がするねぇ」
　互いの顔と木彫りの人形を見て、似ているかなぁ？　と楽しみつつ、他の人形を見たり触れたり。
　そろそろ出ようか、という前に、七瀬はキツネの木彫りの人形を手にしカウンターへ。会計を済ませると、紙袋に包まれたそれをウォルターに手渡す。
「はい、どうぞ。今日、付き合ってくれたお礼と記念です」
「ありがとう。大切にするねぇ」
　それじゃあ僕も、とウォルターはヒツジの木彫りの人形を買い、七瀬に僕からのお礼と手渡した。
「このヒツジくん、大切にします……。ありがとうございます……」

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