this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
あなたの最期
<< もどる
1
2
3
4
青山 絢
は十八歳で女優デビューを果たす。二十一歳の時に人気の戦隊シリーズでヒロイン役に抜擢されて世間の注目を浴びた。雑誌のインタビューやコスメのコマーシャルで起用されると呼び水のように次々と仕事が舞い込んだ。
映画やドラマでは主演を務めた。演技の幅を広げる為に悪役や脇役等、多くの役を演じて助演女優賞にも輝いた。
誰もが認める演技派女優として地歩を固めてきた。関係者の間では世界に羽ばたく逸材とまで謳われた。その最中、原因不明の体調不良に陥る。凄まじい仕事量もあって単なる疲労と考えていた。
忙しい仕事の合間に訪れた病院で病名を告げられる。ステージ四の膵臓ガンと。体中に転移して手術は出来ないと医師から説明を受けた。それから数か月が経過した。
絢は病院の個室のベッドに横たわる。側には
水谷 真優理
がいた。椅子に座って静かに最愛の人を見つめている。
「今日は体調がいいわ」
「そうみたいね。リンゴ、剥いてあげようか」
痩せて頬骨が出た絢に真優理が言った。
「今はいい。それよりも窓を開けて。少し風を浴びたい気分だから」
「寒くなったら閉めるからね」
真優理は窓に近付く。全開は出来ない構造で斜めの状態で開いた。
「これでいい?」
「……風を感じる。地方ロケのことを思い出すわ」
「映画撮影の時の話かな」
「そうね。棚田の畑があんなに綺麗だとは思わなかった。現地のボランティアの人達が作った郷土料理も美味しかったよ。山菜のてんぷらはサクサクで、少し苦味があって、日本酒とよく合ったわ」
儚げに笑う絢を見ながら真優理は椅子に座る。
「話を聞くだけで美味しそう。お腹が鳴りそうで困る」
「話を続けたら真優理さんが凄い勢いでリンゴを食べそう」
「お見舞いのリンゴを食べないよ。それに持ってきたのは私だからね」
「そうでした」
絢は血色の悪い舌を出して笑った。目にした真優理も目を細めた。
五分程の沈黙を経て絢が口を開く。
「去年の今頃はドラマ撮影をしていた気がする。違う。写真集の撮影が先かも。真優理さん、覚えている?」
「どうだったかな。電話で聞いたような気がするけど」
「一年も前の話だからね。普通は忘れるよね……私も世間から忘れ去られたのかな」
「そんなこと、ないと思うよ。華々しいデビューだし、受賞だってしているし。私がいるからね。絶対、忘れるなんてないよ」
泣きそうな顔で力説する真優理に、ごめんね、と絢はか細い声で言った。
「そこは、ありがとう、って言うところよ。台詞を間違えたらダメ。絢は女優なんだから」
「そうね。ありがとう。あと、いつまでもチャーミングな真優理さんでいてね」
「四十四歳のおばさんに、その言葉は厳しいって」
「私だって三十一歳だし」
絢は窓の方に頭を傾ける。遠くを眺めるような目でぽつりと口にした。
「もう一度、女優として……」
最後は聞き取れなかった。真優理は聞き返さず、そうね、と潤む目で言った。
二人は延々と話を続けた。吹き込む風が冷たくなってきたので窓を閉めた。
穏やかな時間の中、揃って夕焼けを眺める。
絢は横目で真優理を見つめる。
「真優理さん……今日は疲れたから、もう寝るね。また明日、逢いましょう」
「それがいいわ。まだまだ時間はあるし、話したいこともいっぱいあるからね」
にっこり笑うと真優理は絢の頬にキスをした。
その約束が果たされることはなかった。享年、三十一で絢はひっそりと息を引き取った。
悲しみに打ちひしがれる時間はなく、真優理は葬儀の手配や会葬者への対応に追われた。メディアの取材にも真摯に答え、自身の仕事にも決して手を抜かない。
目まぐるしい一か月を乗り越えた。迎えた休日、マンションの一室で呆けたような状態でソファーに座っていた。
横に手をやると誰もいない。横に倒れて頬を押し付ける。温もりを探すように頬擦りしてすすり泣く。
「絢ちゃん……寂しいよ。私、一人に、なっちゃったよ……」
頭を優しく撫でる感触が忘れられない。耳の奥には声が残っていて、真優理さん、と呼び掛けてきた。
抜け出せない悲しみの日々が続く。一人を意識すると目に涙が浮かぶ。
その中、真優理は決断した。孤独ではなかった頃を思い出し、文章として書き綴った。
絢は蘇った。活き活きとした姿で女優業に打ち込む。落ち込んだ時は真優理が励まし、共に手を取り合って生きた。
思い出の中で真優理は絢と愛し合った。励まされた。共に泣き、困難に立ち向かった。
膨大な文章で想いを綴る。公開されることのない話を自分の為に書き続けた。
明るさを取り戻した真優理は絢の関連会社の飲み会に誘われた。そこで大いに呑み、故人について大いに語った。綴った文章についても語り、出版社の耳に入った。
編集者を交えて推敲を重ね、ついに出版の時を迎えた。各書店で平積みにされた。帯留めには『十三年間の愛の物語』と書かれ、著名人が絶賛するコメントも併記された。
反響は凄まじく短期間で増刷を繰り返し、出版から僅か半年で十版を超えた。
その初版本が小さなテーブルに置かれていた。百合椅子に座った真優理が目尻に笑い皺を作って眺める。
「……今でもね。古本屋さんで見るのよ」
ゆらゆらと揺らしながら穏やかな口調で語る。真優理は枯れ木のように細くなった手で手櫛を入れた。白髪が指に絡み付く。振り払うことなく静かに受け入れた。
百合椅子の動きが小さくなる。ゆっくりと瞼が下りてきた。
「絢ちゃん……私がこんなおばあちゃんになったこと。きっと向こうで、びっくりするかも、しれないわねぇ……」
動きが止まった。閉じた瞼が開けられることはない。
真優理は老衰で七十四年の人生を終えた。
<< もどる
1
2
3
4
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
亡くなることが確定したシナリオとなりました。
ただ悲しいだけではなくて、そこには個々の生きざまが反映されました。
書きながら涙腺が緩み、何度も目を拭いました。
内容はここでは伏せて置きます。読んで、大いに感じて下さい。
胸いっぱいの気分で、ご参加、ありがとうございました。
皆さんの死に触れてとても悲しく、そして力を貰いました。
どちらかと言えばコメディ寄りのシナリオが多い私ですが、このような話もいいのでは、
と考えています。次作に反映されるかはわかりませんが、頭に入れて置きます。
それでは、また!
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
あなたの最期
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
NPC交流
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月29日
参加申し込みの期限
2024年12月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年12月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!