広々とした空き地で一人の男を大勢の男達が取り囲む。各々が手に物騒な得物を持ち、じりじりと包囲網を縮めていった。
「いくらなんでも大げさだろ」
囲まれた男は笑いながらも構えを緩めない。肌に感じる殺意を読み取るかのように方々へ鋭い視線を飛ばす。
「ここまできて命乞いは許さねぇ」
金属バットを持った一人が言った。
発した一言が連鎖反応を起こし、一斉に罵声が浴びせられた。
「俺の弟分の敵討ちだ」
「舎弟をボコボコにしやがって。死んで詫びろ」
「正義面した悪魔が!」
「走り屋を闇討ちしたこと、死んで後悔しろや!」
押し寄せる殺意を男は笑っていなす。首を何度か鳴らし、足場を確かめるようにステップを刻む。
「お前らが弱いからだ。ま、軽く返り討ちにしてやるよ。俺の女をあまり待たせると悪いからな」
「全殺しだ!」
誰かの叫びで一気に場が燃え上がる。囲みは崩れ、怒涛となって一人の男を呑み込もうとした。
「死ねや!」
振り上げた金属バットを男の頭部に振り下ろす。手と身体の動きでさばき、すかさず裏拳を放つ。後頭部を直撃した相手は仲間を巻き込んで派手に転んだ。もがく者達を男は容赦なく蹴り飛ばし、意識を刈り取る。
「その程度で俺をやれると思うなよ!」
男は旋回しながら周囲に鋭いジャブを放つ。打たれた者達の顔が撥ね上がる。何人かは鼻がひしゃげて鼻血が止まらなくなった。
「怯むな! 野郎は一人だ!」
メリケンサックを嵌めた一人が拳を高々と上げて鼓舞した。明らかに勢いが増した。
男は攻撃を躱し、足払いで反撃。転がった相手を躊躇いなく踏み付けた。
しかし、圧倒することは出来なかった。思わぬ反撃を食らい、唇を切った。殴りつける拳が腫れて何度も握り直す。その隙を衝かれてテンプルを拳で打ち抜かれた。
「ちょっとヤバイか」
男は頭を振りながら呟き、悪鬼の形相で笑った。
逃れられない死を前にしても男の心は折れない。
男だけではない。今日もどこかでひっそりと死は訪れる。
あなたも例外ではないのだ。
今回は逃れられない死の話になります。ですが、キャラクターがロストする心配はありません。
無限に広がる世界線の一つと考えてください。
+++ 今回の舞台 +++
寝子島になります。季節や場所の詳細、曜日や昼夜の指定はありません。
各PLさんが自由に設定してください。
期間は一日を想定しています。長患いによる病死も最期の一日を描きます。
+++ 死の種類等 +++
いろいろな死があります。事故死、突然死、撲殺、刺殺、自殺、病死、老衰など。
その中でPCに相応しい死を選択してください。
以下にPCの特徴を挙げて適した死を提示します。
例1:八十六歳の男性。立春を迎えた頃、自宅で亡くなる。とても安らかな死に顔で老衰と認定された。
例2:二十歳の女子大生。冬の沢登り中に滝壺へ落ちた子供を見つけて助け出すが、心臓マヒで帰らぬ人に。
例3:二十五歳、無職の男性。心が荒み、喧嘩が絶えない。仕返しにきた若者三人に襲撃されて亡くなる。
例4:小学1年生の女の子。下校時間になっても家に帰らず、駆け回って遊んでいた時に車で轢かれる。
+++ NPC&Xキャラ +++
猫ぴょんの日よりも前の関係性を加味して、
妥当と考えられる範囲でNPCを自由に設定できます(恋人、夫婦など)。Xキャラも同じ扱いになります。
逆に関係性がない状態での登場はマスタリングの対象になります。ご注意ください。
XキャラはXキャラ図鑑を参照します。書き込みがない場合はアクションで簡単にお伝えください。
説明は以上になります。
今回はPCさんに焦点を当てた死になりますが、同行するNPCやXキャラにも等しく死は訪れます。
看取る側になってもいいですが、数多ある世界線。らっかみ!で華々しく散ってもいいじゃないですか!
あなたらしい最期をお待ちしています(ぺこり)。