秋の味覚が大豊作☆｜リアクション

秋の味覚が大豊作☆

◆楽しいひととき

　とある休日。
　虎尾真白は大学の講義に出席するため、朝から間に合うように家を出た。しかし今日は特別講義のため午前のみで終了。平日と違って人もまばらだ。

（図書館での調べものはもう無いし……）

　お腹も空いてきたところで、そこでふと妹の虎尾花のことを思い出す。今日は父も母も仕事が入っていて、今は彼女が１人で家にいるはずだ。スマホを取り出すとメッセージを送る。

『今日の講義全部終わったからお昼食べよっか！』
『オッケー！』

　その返事を確認すると真白は帰路に着いた。家で合流すると、花はすでに出かける準備を済ませていた。

「おかえり」
「ただいま」
「すごいお腹空いた……真白にいお得意の食べ放題でも行く？」
「今日はサイゼリニャに行こうかなと思ってるんだ」
「いいよ。うちはいっぱい食べられれば何でもいい」
「それに今なら花の好きな季節限定メニューたくさんあるみたい」
「本当！？」
「同じ講義を受けてた人が『美味しかった』って話してたんだよね」
「楽しみだね」

　２人でどんなメニューがあるのか予想しながら歩くうちに、最寄りのサイゼリニャに着いた。テーブル席に案内されるとさっそく季節限定メニューを開く。

「とりあえず季節限定のものは全部頼むでしょ……それと……」
「花は気になるもの全部頼んじゃって」
「じゃあ、いつも食べるオニオングラタンスープ、生ハム、それからティラミス……」
「俺もレギュラーメニューのドリアとサラダと……」

　２人は食べたいという気持ちにブレーキをかけることなく注文する。

（なんか店員さん引いてる気がするけど大丈夫、絶対に全部食べるから。真白にいが）

　彼女は、兄が細めの体型に対して意外と大食いなことを知っている。だから、いざとなれば兄に任せようと考えていた。いろいろな話で盛り上がっていたら、いよいよ料理が運ばれてきた。
　季節限定メニューである牛肉と秋野菜のグリル、新じゃがの濃厚クリームグラタン、キノコたっぷりドリア、アサリのボンゴレ。一堂に会するとテーブルが華やぐ。

「ん～……限定メニューどれも美味しすぎ」
「やっぱりどれも美味しいな」

　２人とも空腹だったので会話もそこそこに食事を満喫する。ただ花は頼んだ分をそれなりに食べたところでだいぶ限界に近付いてきた。あとで来るティラミスがギリギリ入るだろう、と予想している。

「あとは真白にいが全部食べて」
「え、花はもういらないの？」
「うん、だいぶお腹いっぱい」
「じゃあ、俺が全部食べるね」

　真白は自分の分をほとんど食べ終えていた。彼もだいぶ食べているはずだが、花から受け取った分の料理もしっかり食べきった。最後にデザートでティラミスが運ばれてくる。

「真白にい、ティラミス一口あげる。はい、あーん」
「ありがと。うん、すごく美味しい」

　デザートも食べきって、ついに完食した。２人は体を休ませながら雑談に興じる。

「……そうだ、帰ったら真白にいの顔面貸してー。」
「お化粧の練習？　いいよー。」
「あと、新しい化粧水と乳液買ったからそれも使って感想聞かせてー」
「化粧水と乳液は今使ってるやつが終わってからの方が良い？」
「新しいほうを試してほしい」
「新しいの優先ね、オッケー。今夜使ってみる」

　そんな話をするうちにお腹も落ち着いてきたので会計を済ませて退店した。

「お手頃価格のサイゼリニャ、コスパ良すぎじゃね？」
「わかる。コスパが良くて助かるよなー」
「それに、やっぱり真白にいとご飯行った方が複数の食べたいものを少しずつつまめるから楽しいのよね」
「俺もいろいろ食べられるから楽しい」

　ふと真白がスマホを見ると、両親からメッセージが来ていることに気づく。

「花、今夜パパとママ外でご飯食べて帰るって。夜ご飯の買い物して帰ろっか」

　花は大きく頷いた。それから２人で晩御飯の献立を考えながらスーパーで買い物をした。

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