- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
マンガ×サウナ×ロボット
長期連載も極まると最新の流れを追うのはなかなか難しくなってくる。今やコミックスも100巻を越える長寿漫画にして国民的人気漫画であってもそうだ。完結してから一気に読もうっと、などと思っているうちにあれよあれよと連載は続き、そのうち全く流れについていけなくなるというアレである。
つまり、花厳 望春のことだ。
「途中まで読んでたんだけどなぁ……ていうかどこまで読んだっけ？ 最新話はたまにチラ見するんだけど……」
空の上に行った気がする。海底の人魚の国にも行った気がする。その後は……何だっけ？ 監獄に行くんだっけ。お菓子の国だっけ？ 非常に曖昧かつうろ覚えだがそんな望春を誰が責められよう。同じ思いを抱く者だって少なくないはずだ。会場にひしめく人々のどれほどが最新話までつつがなく追えているというのか。
「いやまぁ、誰に責められるわけでもないんだけど……」
そんなわけで『NYAN PIECE原画展』へ足を運んでみた。
今日は島のあちこちで様々なイベントが催されているそうだが、目についたという理由で特別な思い入れがあるというわけではない。それでも入り口付近に掲示されている原画の一枚を目にするなり、ぎゅうと心を掴まれたような感覚を覚えた。
「うわぁ、これ、連載第一回目の表紙だ！ 懐かしいなぁ」
洗練された現在の絵柄に比べて若干の拙さは感じられるが同時に、時の流れに感慨も覚える。登場人物たちも成長し、それを見守る読者もまた成長する。年を取ったというだけの話ではない、精神的にも成熟し確固たる己を自覚する頃合いになって初めてキャラクターの語るセリフが心に刺さる、なんてこともあるのだ。つまり原画を前に望春の胸へと去来する思いはそれが故にでもあるのだろう。
「あれ、このキャラ最近も見たような。ええ、こんな初期から伏線張られてたの？ すごいなぁ」
それに展示では貴重な原画がオーバーサイズに拡大されて掲載されているから、昔は気付かなかったような細部に新しい発見があったりもした。
「原画展じゃないとこのコマには気づけなかったなぁ。あー……」
望春のみならず。同じようにかつてニャンピにハマり、しかし連載の長期に及ぶが故に脱落してしまった、しかしこうして原画展へ足を運ぶような者たちにとってはきっと、抱く思いは同じであったことだろう。
「また、読みたくなってきちゃったな」
さてこのようなイベントに付き物なのが、物販コーナーだ。希少な品を購入できる貴重な機会であり、それを逃すまいとして多くの人々が行き交い品物も飛ぶように売れている。
「せっかくだから、記念に何か買っていきたいけど……」
在庫は十分にあるようだからしばらく悩んでもいいだろう。品物もすこぶる出来が良い。
「アクスタに缶バッジか、いいなぁ。欲しいかも。うわこれ、原作再現？ すごいなぁ、良く出来ててかっこいい……ええっ、何あれ？ すご！」
アクリルスタンドに缶バッジ。原画あるいはアニメセル画のレプリカ。彩り豊かなアートブック。手を出しやすいコラボ菓子類とか、高額商品になるとフィギュアなんてものもある。
そう、問題は価格である。素晴らしく素敵だからといって何でもかんでも全て買い揃えるというわけには残念ながらいかない。予算は有限だ。例えば一番上のいわゆる腐女子な姉ならば何を押しても購入し散財するも厭わぬのだろうが、望春はちょっとそうもいかない。
「でも冬姉ぇの気持ちもちょっと理解できるな。こんなの欲しいに決まってるもんね」
多少無理をして買い揃えることもできなくはないが、その後はいささか寒々しい懐にあえぐ日々となろう。その覚悟が果たして望春にあるだろうか？
「ん？」
……買っちゃえばいいと思うな～
……こんな機会めったにないよ～？
……買っても買わなくても後悔するなら、買って後悔したほうが良くない～？
「うわぁ。冬姉ぇの幻聴まで聞こえてきた気がする」
まぁ姉とは作品への触れ方というか嗜好が随分異なる気がしなくもないが、ともかくそんな脳内ボイスにうっかり後押しされてしまったもので、いたしかたなし。
「ええい、こうなったら……アクスタも缶バッジも、お菓子も買う！ フィギュアはちょっと無理だけど……！」
結局散財し望春の財布は逆さにしても何も出ないくらいに寒々しくなったが、心はあたたかだった。
なるほど、この春の陽気だ。身も心もあたたまるというものだ。
「う～ん……！ いい天気だなぁ」
大きく伸びをして、街を眺める。誰も彼も浮かれたように足取り軽く、歩みも弾んで見えてくる。望春も紙袋を手に提げて、そんな人波へと混じってゆく。すぐに帰って、買ったものを確かめつつ悦に浸るのも良い。どこかへ立ち寄り、例えば書店などでニャンピの第一巻をまずは購入して長い航海の第一歩とするのも良いだろう。
「ふふふ」
望春は微笑み、まさしく弾みながら歩き出した。
つまり、花厳 望春のことだ。
「途中まで読んでたんだけどなぁ……ていうかどこまで読んだっけ？ 最新話はたまにチラ見するんだけど……」
空の上に行った気がする。海底の人魚の国にも行った気がする。その後は……何だっけ？ 監獄に行くんだっけ。お菓子の国だっけ？ 非常に曖昧かつうろ覚えだがそんな望春を誰が責められよう。同じ思いを抱く者だって少なくないはずだ。会場にひしめく人々のどれほどが最新話までつつがなく追えているというのか。
「いやまぁ、誰に責められるわけでもないんだけど……」
そんなわけで『NYAN PIECE原画展』へ足を運んでみた。
今日は島のあちこちで様々なイベントが催されているそうだが、目についたという理由で特別な思い入れがあるというわけではない。それでも入り口付近に掲示されている原画の一枚を目にするなり、ぎゅうと心を掴まれたような感覚を覚えた。
「うわぁ、これ、連載第一回目の表紙だ！ 懐かしいなぁ」
洗練された現在の絵柄に比べて若干の拙さは感じられるが同時に、時の流れに感慨も覚える。登場人物たちも成長し、それを見守る読者もまた成長する。年を取ったというだけの話ではない、精神的にも成熟し確固たる己を自覚する頃合いになって初めてキャラクターの語るセリフが心に刺さる、なんてこともあるのだ。つまり原画を前に望春の胸へと去来する思いはそれが故にでもあるのだろう。
「あれ、このキャラ最近も見たような。ええ、こんな初期から伏線張られてたの？ すごいなぁ」
それに展示では貴重な原画がオーバーサイズに拡大されて掲載されているから、昔は気付かなかったような細部に新しい発見があったりもした。
「原画展じゃないとこのコマには気づけなかったなぁ。あー……」
望春のみならず。同じようにかつてニャンピにハマり、しかし連載の長期に及ぶが故に脱落してしまった、しかしこうして原画展へ足を運ぶような者たちにとってはきっと、抱く思いは同じであったことだろう。
「また、読みたくなってきちゃったな」
さてこのようなイベントに付き物なのが、物販コーナーだ。希少な品を購入できる貴重な機会であり、それを逃すまいとして多くの人々が行き交い品物も飛ぶように売れている。
「せっかくだから、記念に何か買っていきたいけど……」
在庫は十分にあるようだからしばらく悩んでもいいだろう。品物もすこぶる出来が良い。
「アクスタに缶バッジか、いいなぁ。欲しいかも。うわこれ、原作再現？ すごいなぁ、良く出来ててかっこいい……ええっ、何あれ？ すご！」
アクリルスタンドに缶バッジ。原画あるいはアニメセル画のレプリカ。彩り豊かなアートブック。手を出しやすいコラボ菓子類とか、高額商品になるとフィギュアなんてものもある。
そう、問題は価格である。素晴らしく素敵だからといって何でもかんでも全て買い揃えるというわけには残念ながらいかない。予算は有限だ。例えば一番上のいわゆる腐女子な姉ならば何を押しても購入し散財するも厭わぬのだろうが、望春はちょっとそうもいかない。
「でも冬姉ぇの気持ちもちょっと理解できるな。こんなの欲しいに決まってるもんね」
多少無理をして買い揃えることもできなくはないが、その後はいささか寒々しい懐にあえぐ日々となろう。その覚悟が果たして望春にあるだろうか？
「ん？」
……買っちゃえばいいと思うな～
……こんな機会めったにないよ～？
……買っても買わなくても後悔するなら、買って後悔したほうが良くない～？
「うわぁ。冬姉ぇの幻聴まで聞こえてきた気がする」
まぁ姉とは作品への触れ方というか嗜好が随分異なる気がしなくもないが、ともかくそんな脳内ボイスにうっかり後押しされてしまったもので、いたしかたなし。
「ええい、こうなったら……アクスタも缶バッジも、お菓子も買う！ フィギュアはちょっと無理だけど……！」
結局散財し望春の財布は逆さにしても何も出ないくらいに寒々しくなったが、心はあたたかだった。
なるほど、この春の陽気だ。身も心もあたたまるというものだ。
「う～ん……！ いい天気だなぁ」
大きく伸びをして、街を眺める。誰も彼も浮かれたように足取り軽く、歩みも弾んで見えてくる。望春も紙袋を手に提げて、そんな人波へと混じってゆく。すぐに帰って、買ったものを確かめつつ悦に浸るのも良い。どこかへ立ち寄り、例えば書店などでニャンピの第一巻をまずは購入して長い航海の第一歩とするのも良いだろう。
「ふふふ」
望春は微笑み、まさしく弾みながら歩き出した。
あとがき
担当マスター：
網 透介
ファンレターはマスターページから！
網です。
いろいろイベントありながらもフリーなお話でした。
どれも私が興味あるものでしたが、どれにしようかと迷った末に絞り切れず、結局全部入れてしまうことにしました。
幅広い遊び方ができてこれはこれで良いかと思いましたが、いかがでしょうか。
お楽しみいただけましたらこれ幸いです。
それでは、また次回に。
網でした。
いろいろイベントありながらもフリーなお話でした。
どれも私が興味あるものでしたが、どれにしようかと迷った末に絞り切れず、結局全部入れてしまうことにしました。
幅広い遊び方ができてこれはこれで良いかと思いましたが、いかがでしょうか。
お楽しみいただけましたらこれ幸いです。
それでは、また次回に。
網でした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2024年11月06日
- 参加申し込みの期限
-
- 2024年11月13日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2024年11月13日 11時00分
