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志波兄弟の日常 feat.KAZE
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いただきますと手を合わせ、まずはとばかりに2人揃って器を持った。
ずずっと透き通った出汁を味わえば、身体の深いところから幸せの吐息が漏れてくる。
「うっま! てか、やさしぃ~! こっちじゃナカナカお目にかかれない、あっさりめの!」
寝子島に来て以来、うどんといえば関東風が主流だった。しっかりした鰹出汁をベースに、色濃い醤油と合わされた、風味豊かなつゆ。麺は喉越しの良い細身のタイプで、それもそれで慣れれば味わい深かい。
けれど、やっぱり格別だと思うのは、生まれ育った故郷の味。関西風と纏められてしまうこともあるが、福岡のうどんはそれとも少し違っていて。
懐かしく思いながら、武道は箸を手に取り――そして思わず目を瞬く。
「これ、福岡の……あの、やわい感じの……!」
弱っている気持ちが、幻覚を見せているのではないか。そんな気持ちから箸先でうどんを遊ばせてしまうも、出汁を存分に吸ったふわふわの麺が武道の頬を緩ませてしまう。
「うどん……って言ったら、こっちだし」
これを再現するため、拓郎は1度麺を別ゆでし、出汁が染みるよう柔らかく煮込むという一手間をかけた。おかげで兄の喜ぶ顔が見られたなら、柔らかい麺と悪戦苦闘したのも悪くないと、拓郎は内心誇らしげだ。
お待ちかねと言わんばかりの顔で、武道はようやっとうどんをすする。
柔らかいうどん、優しい出汁。卵と鶏肉と葱がたっぷり浮かんだそれは、武道にとって懐かしいの一言では語れない。
幼い頃に風邪を引き、それを気取られまいとしていたって――母が体調不良を見抜いて用意してくれたうどんは、こんな味だった気がする。
ちょっと感動して、武道はメガネを直す素振りで目元に手をやった。
しかし伊達メガネは、寝る前にカワウソのぬいぐるみへ預けているまま。これでは、涙ぐみそうなのが拓郎にバレてしまう。武道は再度照れを誤魔化すようにして、食卓の七味唐辛子へ手を伸ばす。
「ソレじゃ、うどんと言えば……」
わざとらしく弾んだ声で手にしたそれは、瞬時に拓郎が取り上げた。
けれど、武道にとってはそれも想定内。カワウソのぬいぐるみのごとく、きゅるんとした瞳で「ダメ?」なんて後押しをして揶揄ってみる。
「喉死んでるのに、トドメ刺すな!」
咳き込みがようやく収まっただけで、今も声を枯らしているというのに。刺激物はまだ早いと真剣な形相で止めに入る拓郎は、なぜ武道が怒られているのに笑っているのかわからなかった。
「あはは……たー坊きびちー!」
このうどんには、ただ懐かしさがあるだけじゃない。
弟が作ってくれた、拓郎が一生懸命看病しようとしてくれたという思いが込められている。
それを嬉しく思わない武道でもなく……和やかな時間は、続いていく。
うどんをすする音と、スプーンが容器の縁を擦る音。
先に食べ終わった拓郎がプリンを食べ始めるのを見て、武道はホッコリと笑う。
「今日はごめんな……予定、あったんじゃないか?」
「いい」
すぐに返ってきたその声は、意外なほどあっさりしていて、けれどあたたかかった。
空になったプリンの容器をテーブルに置き、拓郎は「急ぎじゃなかったし」と前置きして切り出す。
「元気になったら……付き合ってもらう。今日より……いいプリンも、食べられそうだし?」
「おう、お代は弾むぜぃ! じゃあ……それまでに、しっかり治さないとな」
互いの胸のうちに、それぞれの想いが宿る。言葉には出さなくても、確かに近づいている『兄弟』の距離が感じられて、会話が途切れても気まずさはない。ただ、少し――拓郎には懸念が残っていた。
きっと武道は、体調が戻ったらまた無茶をする。それが、『武道としての気質』なら変えることは容易ではないけれど、もし『兄であるが故』なら、変えることは出来るのかもしれない。
「……眼鏡、かけてない武道は久々だな」
だから、拓郎は茶化したような口ぶりで名前を呼んだ。
いつもは『兄貴』と呼ぶことが多いけれど、そうやって武道を兄として武装させたくない。
頼りにしているし、認めざるをえない長所や機転もあって、確かに武道は兄だけれど――だからこそ、1人の男として、対等に見て欲しいと願ってしまう。
「そりゃあ、さっきまで寝てたし……あ! これから毎日たー坊がモーニングコールに来てくれたら」
「却下」
バッサリと冷たく遇われて、ケラケラと笑う。もちろん武道だって、本気でお願いする気は無かった。
ただ、気まぐれに呼ばれ始めた名前が、まだ少しだけむず痒くなってしまうときがあるだけだ。
「本当に……ありがとな、拓郎」
今度は揶揄いのない本音だと、伝わっているだろうか。
名前で呼ぶときはどう思っているのか――なんて、こっそりと伝えようとするところまで2人はそっくりだ。
武道が「ごちそうさま」と様々なものに感謝を込め手を合わせる。その仕草に、拓郎は言われるのも悪くないなと思いながら、きちんと食べてくれたことに安堵した。
「栄養とカロリー、大事だなぁ……。薬飲んだら、大人しく寝るよ」
ベッドへ戻りながら、武道はわざとらしく伸びをしてみせる。まだ話し足りないような気もするけれど、きっと焦らなくたって……こんな時間は、これから増えていくはずだ。
「じゃあ……俺は、片付けてから……帰るな」
甘えていい。これは、情けないことなんかじゃない。……そう切り替えるのは簡単じゃなくて、また失敗するときもあるだろう。けど。
「……おやすみなさい、拓郎」
「おやすみ……武道」
そうやって名前を呼べば、託せる気がした。
心強さは布団に潜り込んでも健在で、今日はもう悪夢に悩まされることはなさそうだ。
ほんのすこし、重なった足音。ほんのすこし、やわらかくなった距離。
兄弟のかたちも、きっと変わっていく。
ゆっくりと、でも確かに――。
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あとがき
担当マスター:
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから!
この度はリクエスト頂きありがとうございました、浅野です。
お返しまで大変お待たせしてしまい、申し訳ございません……。
武道さんが風邪を引く奮闘劇ということで、兄弟の絆がぐぐっと近くなる(で、良かったのかな……)
お茶の間コメディ!(……で、良かったのかな!?)
などと思いながら、楽しく執筆していました。
似ているけれど確かに違って、違っているけど確かに繋がっている。
そんな2人がお届け出来ていれば、とても嬉しいです。
これからも兄弟仲良く、ときに武道さんのハイテンション☆を窘めながら、仲良く過ごして頂けますように!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月08日
参加申し込みの期限
2024年11月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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