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志波兄弟の日常 feat.KAZE
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転んでも泣きたくなかった。
それは、「偉かったね」とか、「格好良いね」とか言う言葉で褒められたかったわけじゃない。
ただ弱音を、誰にも見せたくなかっただけなんだ。
自分の中で勝手に取り決めをして、何が最善かを考えて。考えに、考えて……こうあるべきと貫いただけ。
そう、これは――ただの、自己満足だ。
間違ってないけど、報われる保証もない。自分が「いいひと」でありたいだけの、欲に濡れた指針。
他人からみれば滑稽で、相手から見れば『ウザい』と言われる、どうしようもない押しつけと思い込み。
和紙に滲みる墨が止まらないように、一滴の疑念はじわじわと広がる。
最善は、もっと別にあったんじゃないか。本当は、間違ってたんじゃないか。遠くの方から絶え間なく聞こえるヒソヒソ声は、己を嘲っているように思えた。
重く暗い気持ちにのしかかられ、どろりとしたものに取り込まれて――武道は、息を詰まらせる。
(あ、これ……)
存在しないはずの悪意と蔑み。直感的に、これは悪夢を見る前兆だと理解した。……けれど、それだけだ。
身体が重くて逃げることは叶わず、喉が干からびていて声も上げられず。
いや、それができたとしても……きっと、助けを求めるなんてできなかっただろう。
(……やだなぁ)
得体の知れない不安で、押しつぶされそうになる感覚。何度経験しても慣れないし、慣れたいものではない。
だからせめて、これが悪夢だと認識できるうちに身構えた。大丈夫だと言い聞かせて、ぎゅうっと強く目と歯を食いしばるように閉じれば、きっとやり過ごせると信じるしかない。
そうして、深呼吸をひとつ。
すると、武道は全身の力が抜けていくのを感じた。
鼻をくすぐる懐かしい香り。
熱とは違う温かさが、じんわりと心の中に染み入る。程よい湯船に浸かって息を吐き出すのとは、また違う心地よさだ。無意識のうちに浮かべた小さな笑みに連鎖してか、武道はゆるりと幸せな気配にまどろむ。
(ん……)
誰かに頭を撫でてもらったような、大丈夫だよと言われたような。
――独りで頑張らなくていいんだと、優しい気配は強ばってた心身を解きほぐしてくれる。
(夢にも、匂いってあるんだなぁ……)
おかげで、今回は悪夢を見ずに済みそうだ。呼吸が穏やかになり、安堵した気持ちで再び眠りにつこうとした武道は、もう1度すぅっと胸いっぱいに香りを吸い込む。
「…………いい匂い?」
はて、と薄く目を開くと、コトコトと鍋の煮立つ音がする。続いて小さく「あっ」と呟く声が聞こえ、ようやく武道は意識を覚醒させて状況を確認した。
窓から茜色の光が差し込み、良い匂いも消えていない……と、いうことは。
「たー坊!?」
ドタドタと足を絡ませつつ、慌てて台所へ駆け込めば、キョトンとした顔の拓郎がいる。
さっきの声はなんだとか、まさか本当に今まで付きっきりだったのかとか。聞きたいことは山ほどあるけど、とにもかくにも元気そうな弟の姿を確認した武道は、力が抜けたように座り込んだ。
「よ、良かった……」
「……? なんだよ。……変な夢、見てた……のか?」
突然起き上がって大丈夫なのかと問いたいが、答えて貰うにも今の武道には苦しいだろう。拓郎はコンロの火を止めると、片付け途中で勝手を覚えた戸棚からグラスとストローを取り出し、常温で濃いめに作っておいたスポーツドリンクを冷蔵庫の冷水で割って差し出した。
「…………あ、俺? 俺の?」
まだ夢見心地なのだろうか。おっかなびっくりグラスを受け取る武道に、冷やかし混じりで拓郎は続ける。
「声、酷いから……1口だけでも、飲んどけ」
あれだけ声が枯れていたなら滲みるはずだが、汗をかいてる以上は水分補給は必須だ。そういうときに相応しいドリンクなのだから、多少は我慢してもらうほかない。
「……甘いな」
ぽつりと漏らしたその声は、苦手なのにと嫌がる素振りではなかった。少しずつ口内を湿らすように、ゆっくりと味わって飲む武道は、いつもより少しだけ、安心しているようにも見える。
その様子を確認し終えると、拓郎は2杯のうどんを器によそった。ふわりと立ち上る湯気と出汁の香りに、武道は今更のように驚いて、器を指差す。
「え、これ……作ったの? え? 拓郎が?」
「……他に誰がいんだよ」
少し片付けられた食卓に、洗ってあるカット葱のパックや肉のトレー。そして、少々不格好ながらも優しく麺を覆っている黄色――それらを総合すると、寝ぼけ眼の武道でもメニューはわかった。
「うどん……え、かきたまうどん?」
胸を張ってそうだと言えれば良いのだが、スープは昆布やいりこが入っているとはいえ市販の素だし、鶏肉も葱もカット済みのものを使った。けどその代わり、うどんにはこだわりの仕掛けを施してある。
まあ、最後の最後で流し入れた溶き卵は、ふわりと黄色が上手く広がったことに油断をした結果、白身がところどころ固まっている。……が、ご愛嬌で許されるだろう。
「腹……減ってる、よな? 食える、よな?」
もう少し寝かせてやるべきか、とも思ったが、それなら栄養を摂ったあとでも遅くはないはずだ。
何よりここ数日、武道がまともに食事をしていない証拠は挙がっている。食欲が無いと言ったとしても、数口は咀嚼するまで許すものかと、拓郎が睨み据えた。
「そんな顔しなくたって、食べる食べる☆」
喜び勇んで器を食卓に運ぼうとし、「座ってろ」という一言共に手をはたき落とされる。
そんな和気藹々とした空気が、少しだけ武道の調子が戻ってきたような気がして、拓郎はこっそりと胸を撫で下ろした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月08日
参加申し込みの期限
2024年11月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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