ショートドラマは突然に｜リアクション

ショートドラマは突然に

◆マタ探を広めよう

　龍目豪が休日に外出していたら、偶然友人の笹川帆太を見かけた。

「よおパンダ、また配信してるのか」
「豪さん！　違いますよ、ショートドラマです！」
「ショートドラマ？」

　疑問を浮かべる豪に、帆太はスマホを開いて適当なショートドラマを見せる。しかし豪はあまり関心が沸かなかった。

「それよりマタ探の宣伝しようぜ！」
「えー……」

　帆太は豪の提案にあまり乗り気ではなかった。
　彼はマタ大探検サークル、通称『マタ探』の撮影担当として同行している。しかし映画のような冒険や、未知への挑戦が毎度あるわけではない。だから帆太が『映え』の無い探検に飽きているだろうと、豪は感じていた。
　だが豪からすれば、探検のたびに見どころが出てくるとは限らないし、そのほうが当たり前だった。

「それに豪さん、マタ探をただ宣伝したってつまらないでしょ」
「そりゃそうだが、１分程度でどれだけアピールできるんだよ」
「俺が聞きたいくらいですよ」
「可愛い子でもいればいいんだが……まあいい、俺がやる！」

　豪はその場で宣伝に使えそうなものが無いか探す。
　しかし休日に外出していただけで、これといったものがない。

（しょうがないか。まあ１分くらいならなんとかなるだろ）

　帆太が構えたスマホの前に立つと、豪は語り始めた。

「通称マタ探……いや、探偵サークルじゃなくて探検だ。マタ大探検サークル。自由な大学生活、家と学校の往復でいいのか？　九夜山、鈴島、鼻岬洞窟……寝子島には不思議がいっぱいだ！　俺たちと一緒に探検しようぜ！」

　思いつくままに、とにかく語った。そして最後に豪がガッツポーズを決めたところで帆太は録画を止めた。

「なんとか１分で収まったか」
「ギリギリですけどね」
「バックには今まで撮った探検の動画を流してくれよ」

　そう言われて帆太は過去データからマタ探サークルに同行したときのものを引っ張り出す。懐かしさを覚えつつ、使えそうな映像を探していると女子たちの水着姿が流れた。

「っておい、誰が水着女子の海水浴を流せと言った！　ここは真面目なサークルなんだぞ！」
「偶然ですよ！　あれ、こっちのは……」
「あ、これは俺がこけた時の……やめろ！」

　２人で色々言い合いながら、どうにか使えそうな場面を探してショートドラマとして投稿した。

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