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ワケアリ品はお安く、甘く
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「ケーキ、おだんご、チョコ……」
「クッキー、大福、プリンにカステラ♪」
歩くたびに足取りも心も弾む。向かう先に絶品スイーツが待っているというのも理由の一つ。けれどそれより何より、隣を歩む互いの存在あってこそだ。
「アウトレットスイーツかぁ、いいイベント見つけてきたねぇしばっち。誘ってくれてありがとー♪」
「うん……彩葉さんと一緒に、行きたかったから……」
志波 拓郎
と
高梨 彩葉
、恋人たちは手を繋ぎ寝子ヶ浜海浜公園へ。周囲には同じように会場へ向かうのだろう親子連れ、友人同士、そして数多のカップルたちが仲睦まじく歩いている。拓郎と彩葉もその流れに乗り特設会場へ向かう。
彩葉は製菓を嗜むし、拓郎は育ち盛りの男子高校生にして無類の甘党だ。やがてあたりへ漂い始めた濃密な香りに、否応なく期待は高まった。
「しばっちは何が食べたい? やっぱりケーキかなぁ、チラシに乗ってたフルーツロールケーキ、美味しそうだったよね~。いちご大福もいいよね、ああシュークリームとかエクレアもいいなぁ、ううーん迷っちゃうなぁ」
「……全部」
「えっ」
至極真面目な調子で紡がれた言葉に彩葉が振り向くと、彼氏は一部の隙も無いほどに真剣な眼差しで会場へ見据えつつつぶやいたのだった。きっぱりと。
「全部食べる」
各ブースには長い列ができていたが、いざ順番が回って来ればさっそく注文を飛ばして購入、はけていく者がほとんどだから回転は良い。店側もつり銭をあらかじめ用意し段取り良くオーダーをこなしている。時おりメニューを前に悩む客もいないではないが稀で、だからといって別に白い目で見られたり責められたりするでもなく空気感は和気あいあいだ。寝子島の人々の気性や気質が見て取れる。
おかげで行列に並んだ二人にもそう待たずに順番が回ってきた。
「全部ください」
「はい、かしこまりましたー」
「2つずつください」
「あ、はーい。2つずつですね、かしこまりましたー」
「ダメ!!!!」
つつがなくオーダーが進みそうであったところに彩葉はストップをかけた。あまりにも自然でうっかり流すところだった、危ないところだった。彼らが並んでいるのは星ヶ丘の洋菓子店『avec_toi』のキッチンカーであり、有名なフルーツロールケーキをはじめいくつかのロールケーキバリエーションがあったが、いずれも一本売りである。
「ねぇ拓郎さんや。まさかと思うけど、一人一本ずつとか言わないよね?」
「えっ」
彼氏は怪訝な顔をして首を傾げた。まさしくそのつもりであったらしい。
「この食いしん坊! だめだよ、ロールケーキ一本食い×数種類なんてお腹壊しちゃう! ていうか私そんなに食べられないし!」
「えっ。でも……いや、大丈夫。あまったら自分が全部食べ」
「私のも食べる気だった!? ダメ、彼氏の身体を心配する彼女権限で却下ですー」
「ううっ」
子犬のようにつぶらな瞳を潤ませる彼にも心を鬼にし、分量は一本を半分ずつにすることとした。半分だって大層な量だが注文を確定する頃には彩葉の感覚もいささかマヒしていたりした。まぁ余った分は持ち帰り、家族や友人にお裾分けというのもいいだろう。
その後も各ブースを巡り、必要以上の分量を購入しようとする拓郎へいくらかセーブをかけながらも、それぞれに食べたいものを一通り買うことができた。
フードコートも賑わいぎゅうぎゅうだが、どうにか二つ分の尻をねじ込むことができた。
「ゆ。夢みたいだ……」
「あはは、大げさだなぁ」
彩葉はそう言うが、テーブルの上は拓郎にとってワンダーランドでヘヴンでユートピアだ。まさしく夢の世界だ、こんなにもたくさんのスイーツたちがずらり共演だなんて感動ものだ甘味のビッグバンだ。何だかよく分からないが拓郎は喜びに打ち震え、隣で笑いをこらえる彩葉が肩を震わせているのにも気づかなかった。
「それにしても、これ……どこがワケアリ品、なんだろう……?」
ロールケーキ、団子にチョコレート。クッキー、大福、プリンにカステラとあれこれ買い込んだが、拓郎の目には良く出来た既製品と全くもって見分けがつかない。この滑らかなライン、つやつやのコーティング、鮮やかな色どりのどこが欠けているやら崩れているやら。
「う~ん。たぶん、ここかな?」
「え?」
菓子作りの経験からか、彩葉には違いが分かるようだ。細い指が差すところを拓郎は半ば睨むようにして覗き込む。
「ここがちょこっと崩れてる。そっちのプリンは気泡が目立つかな、ほんのちょこっとだけどね」
「それだけ……!? こだわりすごいな……」
「そうだよねぇ、味は全然変わらないのに。そういうところがプロのパティシエってやつなのかなぁ」
「物を作るって、大変だね……」
「そうなのだよ~、拓郎君。うむうむ」
とうなずきながらに彩葉がフルーツロールケーキをフォークですくい一口。
「んん~~~! 甘くて美味しー♪ 星ヶ丘のスイーツはやっぱりレベル高いなぁ。ほら、しばっちも食べてみなよ」
『Favoletta』のカップ入りチョコパフェをすくい、拓郎の口へと近づける。
「はい、拓郎。あーん」
彼女の手で食べさせてくれるのだからもっとこう頬を染めて恥じらいながらに口をつけるとか、瞳を輝かせたりありがたがるべきであろうが、拓郎の甘味欲も程よく頂点を極めようとしていたからすんなりと飛びついた。
「んんんんん……っ」
「ど?」
「美味い……!」
やっぱり子犬のようだ、と彩葉のほっこり微笑ましい目線をよそに拓郎のフォークとスプーンは大回転し、テーブルの上の一大ステージは見る間に平らげられていった。
「ってダメダメ拓郎、全部食べちゃう気!? 食べすぎだってば、彼女権限でドクターストップでーす」
「ああっ、物足りない……!」
それでもあらかたのメニューは制覇していたのだから、空腹男子の食欲と胃袋の容量恐るべしである。
「はーっ、食べたー! 美味しかったー!」
「全部、美味しかったね……欅家の大福も、Favolettaのチョコタルトも」
「サクサク生地と濃厚チョコの組み合わせが抜群だったよね。私はクッキーが気に入ったかな、軽いのに食べ応えもあって、ボリュームもいっぱいで」
潮の香りが甘い春風に紛れ込む。ゆるく二人の前髪をなぞり吹き抜けていった。それを機に二人、心地良い沈黙を堪能する。お喋りもいいがそれと同じくらい、何も語らぬ時間も大切だ。今は何だかそう思える。しばし何もない時を過ごした後、拓郎は感極まったように一語つぶやいた。
「……クッキー」
「うん?」
「俺も……食べてみたい、な」
一本売りのロールケーキなど大きなものは二人で共有しつつ、それぞれに思い思いの品を購入もしたから互いに被らないメニューもあった。食べに食べたがいささかの心残りもあったらしい。
しょぼくれた柴犬めいた表情に、彩葉が両手を合わせて言った。
「お互いにお土産を買おうよ、拓郎!」
「お互いに……?」
「うん。拓郎の一番好きだった味を、私に教えて。私も私の一番を拓郎に買うから」
「……実は、俺も同じこと……考えてた」
怪訝そうに目をしばたかせた恋人へ、拓郎は照れ臭そうに頭をかいた。
「彩葉さんに、自分の好きな味……知ってほしいから」
再び風が吹くと甘い香りは二人を取り巻き、渦となり包みこんだ。いざなわれるように歩き出す。自然と手を取り笑みがこぼれる。
そういえば、春だ。出会い、別れの季節でもある。彩葉は故郷で製菓の専門学校へ通う予定だから、これまでのように毎日顔を合わせることも難しくなるだろう。しかしながらにこやかに道を行く二人は悲観に暮れることもなく、心穏やかだ。
「今日はもう、お腹いっぱいだよね。日持ちする、チョコマドレーヌにしておこうかな」
「確かに今はキャパオーバーかも。でも帰ったら食べちゃうかもね、あはは」
思い出がある。色褪せない記憶が今日もまた一つ刻まれた。夜ごとにそれを電話で語り合ったりもするだろう。その日に何があったか、目新しい事件や昼食のメニュー、新しい出会いや日々の暮らしについて何かと言葉を交わし、心通わせ続けるだろう。だから、寂しくはなかった。
「俺も帰ったら、クッキー、食べるよ」
「少しずつにしといたほうがいいよー、ほっといたらぜーんぶ食べちゃうから、拓郎は」
「うっ。ぜ、善処します……」
「ふふふ、食いしん坊さんめ♪」
両手にいっぱいのワケアリスイーツを抱え、少々ふらつきながらにたどる帰路へも絶えることなく、甘い香りが満ちていた。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
ワケアリスイーツのお話でした。
地元でそういうイベントをやっていたらしく、その日の朝のニュースをシナリオにしてみました。
甘い物は脳の栄養補給にいいので、ちょくちょく食べます。
皆さんの好きなお菓子は何でしょうか。お勧めを教えて頂けたら嬉しいです。
それでは、また次回に。
網でした。
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担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
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NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年09月12日
参加申し込みの期限
2024年09月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年09月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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