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ワケアリ品はお安く、甘く
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祖父母がどこか浮かれているのは孫とひ孫と連れ立っての散歩であるからというのが大きかろうし、一応保護者や後見人としての立場もある。
梓 智依子
だって甘味は楽しみながら、娘が突撃癖を発揮してあっちへふらふらこっちへふらふらとさまよったあげくに母の手を飛び出し迷子に……放送にて「楓ちゃんのお母さま、迷子センターまでお越しください」、なんてことにはなるまいかと気を配らずにはいられない。よってこの場を最も純粋に楽しんでいるのは当の愛娘、楓であろう。
「ママ、いーっぱい食べようね!」
「ママはそんなにたくさん食べられないかも……楓もお腹壊さないようにしなきゃね」
「えー、大丈夫だよ! ねー、おじいちゃん、おばあちゃん! ねー、なに食べるー?」
「ははは、そうだなぁ。じいちゃんはあんこが好きだなぁ」
「楓ちゃん、おばあちゃんたちの好きなお菓子、見つけてくれる?」
「うんー! まかせなさいっ」
大張りきりな楓に智依子も、祖父も祖母もにこにこのデレデレであった。
型崩れや余剰品の高級スイーツ特売会とのことだ。我が子に美味い物を食べさせたいシングルマザー智依子にはありがたい催しである。学業のかたわらアルバイトにも精を出し、それなりの蓄えもできて時には楓に好物の一つや二つ買ってやることもあるが、さすがに星ヶ丘の有名菓子店になど頻繁に通いつめたりはできない。今日はそんな制約を一たび外し、娘にはお腹いっぱい甘味を堪能させてやりたいものだ。
とはいえ小さい身体で食べられる量にも限度があろうから、いかにしてセーブさせるかも大切だが。
「おや、こりゃぁ賑わってるねぇ」
「すごーい」
祖父が楓の頭へ手のひらを乗せながらに言った。そうして智依子および祖父母のいずれかが楓を捕まえていることで、迷子の事態も防ぐことができるはず。
海浜公園には春先と思えない人いきれが満ちていた。格安スイーツの呼び込みには誰しも抗えまいと見える。漂う甘い香りがまたみなの期待をかきたてた。
「智依子、あそこじゃない? ほら、『欅家』って」
「本当だ。のぼりが出てる」
祖母の指さすほうにははためくのぼりとおびただしい行列、それにともなう行列が渦を巻いている。
「楓、少し並ぶけど大丈夫? 退屈しちゃわない?」
「むぅー、大丈夫だよー」
このところの楓は時おりこうして、子ども扱いに不満をもらすことがあった。ならば頬を膨らませるのはやめたほうがいいと思うが、そんな様も愛らしいので言わずにおいた。祖父母と共にくすりと笑う。
行列は長いがほとんどの客が同じものを買っていくようで、回転は早い。そう待たずに買えるだろう。
「ここが最後尾ね」
「いちご、たのしみだね、ママ!」
「ええ、そうね。すっごく美味しいって評判だものね」
取り止めないおしゃべりを交わしつつ、智依子はあたりを見回す。海浜公園の広場全体が会場となっているらしく、広大な面積を人波と甘い香りが埋めている。
そういえば、とふと思い出す。先日ここを訪れた際も、これほどにではないが人々が集った。耳目を集めたのは他ならぬ智依子であり、楓であり、それにたまたま居合わせた著名人であった。
(……スカウト、されちゃったのよね)
親子のダンスが認められたのは素直に嬉しくも、しかしそんな成り行きまでも想像してはいなかった。かの大物モデルにして多様な肩書きを背負う女性は自ら主宰するという舞台へ、智依子らを誘ったのだ。
唐突なことに、決断はまだ先送りにしたまま。祖父母ともよく相談すべきだろうし、智依子自身も戸惑いの渦中にある。楓は……好奇心に満ち物怖じもしない娘は即断即決だろうが、責任を持つのは他ならぬ智依子だ。いましばし、もう少し慎重になるべきだろうと思う。よく考えて、納得がいったなら返事をしよう。
「……ママ、ママ! じゅんばん!」
はっと我に返ると、列の先頭で楓がぐいぐい袖を引いていた。
「あ、ごめんなさい。いちご大福詰め合わせ、お願いします」
祖父は『avec_toi』のフルーツロールケーキを。祖母は楓が「これ!」と指さした中華菓子の名店『翠風苑』の月餅を選んだ。みなそれぞれに分け合っていただくことにする。
「いただきまーす!」
「はい、いただきます」
包んだいちごは確かに不揃いながら、些細なことだ。もちもちの生地に包まれたあんこの甘さをいちごのほのかな酸味が引き立て、さらにいちご本来の甘みが相乗効果を生み出し満ち満ちた。
「ふわぁ……!」
一口で楓は目をきらきらさせているし、智依子の口の中も蕩けるようだ。
「美味しいねぇ。ママ、美味しいねぇ」
「うん、本当に美味しいわ、これ。しかもこの値段でこんなにたくさん……お得だわ」
ちょっと買いすぎてしまったかもしれない。こんもりと積まれた魅惑のスイーツ山に楓は大喜びだが、気をつけないと食べすぎてしまいそうだ。といったあたりを智依子が思案していると、祖父母がいいことを言ってくれた。
「これならママが春休みの間、ずうっとお菓子を楽しめるわね。楓ちゃん」
「そうだなぁ。一度に食べてしまったらもったいないから、少しずつ食べような」
「うんー!」
何とも、二人には感謝が尽きない。
にこにこ顔の頬にくっついたあんこを拭ってやる。自分に、娘にどんな未来が待っているかは分からないが、少なくとも今、智依子の胸はどこまでも晴れやかに澄んでいた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年09月12日
参加申し込みの期限
2024年09月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年09月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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