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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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【修了式】明日に向かってジャンプ！
【夢から花咲く未来は】
「あ～、」
有沢 茉奈から、のび～っとした安堵の声が響き渡る。
長い一年だった。ようやくこの長い一年を終えたという実感の湧く修了式だ。それを肌で感じれば、声と共に胸を撫で下ろせば、そこにあるのはホッとした一息のみでも何らおかしくはないであろう。
しかし、それを強制的に感じさせられるのもどうかと思う。
修了式での校長先生の、長い会話などは最たるものだ。
「まずは、この学園の教育理念としまして、『自立と自由と、絆』という――」
これは完全にキマった。こうなってしまえば、話が長くなる事は必定だ。
当然そのようなものに茉奈が付き合う義理はない。若かりし青春も恋も思いも有限なのだから。そこでさっそく思い浮かべるのは、自分の最高の彼氏――現在、木天蓼大学1年生の閑野カノンとの、幸せな春休みの過ごし方。
春休みはどこで過ごそうかな、何処かに旅行？ でも、綺麗に花の咲くところでピクニックなんて素敵極まりない――！
もう、脳内に校長先生の話が入り込む余地はない。茉奈の中では、もう思考は格好良くて愛しい彼一色なのだから。
幸せな想像に耽る乙女は強し。恐らく、この校内で相対性理論を限界までフル活用させて、校長先生の話を乗り切ったのは茉奈一人に違いない。
修了式が終わればホームルームが待っている。
担任の先生から渡された成績表は、世界史を中心に我ながら中々にしてランクが輝いている成績群ではないか。
「（ふふ、あたしって優等生じゃん）」
それは、自画自賛だと世間一般では呼ばれるだろう。だが数値という客観評価が加われば、それはもう自賛ではない、事実である。と胸を張っても許されるはずだ。
それから、成績表をしまいながら、茉奈の上機嫌のままに大掃除が開始された。
以前の始業式などは、大掃除となった際には荒れに荒れた――主に茉奈が。
黒板消しクリーナーの電源が入らず、窓から外に叩くしかない苦行を強いられていると言うのに、そのくせ男子は掃除を放棄し遊びまくっている――これだけならば、よくあるものだ。しかし、筋金の入っている自覚がある『か弱い女子』として、この状態にはブチ切れざるにいられなかったのだ。
「おい野郎ども！ オス同士で乳繰り合ってんじゃねえよ！ そんなのは物置でこっそりやるもんだ！ わかったらとっとと物置へ行け！」
この一言が、もはや猛者を通り越した『神』であったのは目にするだけでも明らかであっただろう（実は当時怒鳴りつけられた男子には、未だに語り継がれている説話と化している）
だが、今の茉奈は黒板消しクリーナーの電源も調子よく、成績も良ければ憂いも無い。慈悲に溢れた女神は、今回も懲りずに、溢れ返っている遊びサボる男子生徒にすらも慈愛と云う名の許しを与えたのである。
――それらの条件が揃っていなければ、血の雨が降っていたかも知れない。だが、少なくともこの場の男子生徒は、偶発的にその回避に成功したのだ。命拾い、とは主にこういう時に使われるのかも知れない――
自分の机も、次の世代に渡せるよう全てを綺麗に片付けて、茉奈は自分の荷物が入った紙袋を片手に、一瞬の名残惜しさに引かれながらも、教室を出た。
ここから待っているのは、過去の見送りと未来の話。
学食で、友人の水上 桜が待っているのだ。残りの時間は、やはり気心知れた友人と共に過ごすもの。
「やっほー」
「あ、来たきた」
学食のテーブルでは、既に桜が茉奈の席も一緒に確保しているところだった。流石、こういう所は手際が良い。
頼んだ料理は、茉奈がカレーライスで、桜はミートスパゲッティ。
目の前に、修了式後の料理が並ぶと、軽いお祝いの気持ちが感慨深く滲むと言うもの。
それを胸に抱きながら、こちらと桜で、さっそく、ペットボトルのお茶を傾けて。合図は、こちら茉奈の方から音頭を取る。
「乾杯ーっ」
そしてお互いに、ペットボトルをコツンと合わせた。
桜にも何か思う所があるのだろう、想い深く一瞬の表情を見せてから、
「今年もお疲れ様ー」
と、こちらに合わせて微笑んだ。
桜がペットボトルに唇を触れさせながら、しみじみと呟く。
「来年は三年生だね。受験……」
こればかりは、成績問わず直視ばかりは避けられない。
「あたしは彼氏と一緒の大学受験するけど、学部とか何も決めてないんだよね。桜は？」
「進学――なんだけれども、匠さんどうするのかなって。就職と進学悩んでるって言ってたから」
「やっぱり彼氏って気になるよねー……！」
そうして、来年の花は咲く。
その花は、きっと綺麗なものに違いない。
「あ～、」
有沢 茉奈から、のび～っとした安堵の声が響き渡る。
長い一年だった。ようやくこの長い一年を終えたという実感の湧く修了式だ。それを肌で感じれば、声と共に胸を撫で下ろせば、そこにあるのはホッとした一息のみでも何らおかしくはないであろう。
しかし、それを強制的に感じさせられるのもどうかと思う。
修了式での校長先生の、長い会話などは最たるものだ。
「まずは、この学園の教育理念としまして、『自立と自由と、絆』という――」
これは完全にキマった。こうなってしまえば、話が長くなる事は必定だ。
当然そのようなものに茉奈が付き合う義理はない。若かりし青春も恋も思いも有限なのだから。そこでさっそく思い浮かべるのは、自分の最高の彼氏――現在、木天蓼大学1年生の閑野カノンとの、幸せな春休みの過ごし方。
春休みはどこで過ごそうかな、何処かに旅行？ でも、綺麗に花の咲くところでピクニックなんて素敵極まりない――！
もう、脳内に校長先生の話が入り込む余地はない。茉奈の中では、もう思考は格好良くて愛しい彼一色なのだから。
幸せな想像に耽る乙女は強し。恐らく、この校内で相対性理論を限界までフル活用させて、校長先生の話を乗り切ったのは茉奈一人に違いない。
修了式が終わればホームルームが待っている。
担任の先生から渡された成績表は、世界史を中心に我ながら中々にしてランクが輝いている成績群ではないか。
「（ふふ、あたしって優等生じゃん）」
それは、自画自賛だと世間一般では呼ばれるだろう。だが数値という客観評価が加われば、それはもう自賛ではない、事実である。と胸を張っても許されるはずだ。
それから、成績表をしまいながら、茉奈の上機嫌のままに大掃除が開始された。
以前の始業式などは、大掃除となった際には荒れに荒れた――主に茉奈が。
黒板消しクリーナーの電源が入らず、窓から外に叩くしかない苦行を強いられていると言うのに、そのくせ男子は掃除を放棄し遊びまくっている――これだけならば、よくあるものだ。しかし、筋金の入っている自覚がある『か弱い女子』として、この状態にはブチ切れざるにいられなかったのだ。
「おい野郎ども！ オス同士で乳繰り合ってんじゃねえよ！ そんなのは物置でこっそりやるもんだ！ わかったらとっとと物置へ行け！」
この一言が、もはや猛者を通り越した『神』であったのは目にするだけでも明らかであっただろう（実は当時怒鳴りつけられた男子には、未だに語り継がれている説話と化している）
だが、今の茉奈は黒板消しクリーナーの電源も調子よく、成績も良ければ憂いも無い。慈悲に溢れた女神は、今回も懲りずに、溢れ返っている遊びサボる男子生徒にすらも慈愛と云う名の許しを与えたのである。
――それらの条件が揃っていなければ、血の雨が降っていたかも知れない。だが、少なくともこの場の男子生徒は、偶発的にその回避に成功したのだ。命拾い、とは主にこういう時に使われるのかも知れない――
自分の机も、次の世代に渡せるよう全てを綺麗に片付けて、茉奈は自分の荷物が入った紙袋を片手に、一瞬の名残惜しさに引かれながらも、教室を出た。
ここから待っているのは、過去の見送りと未来の話。
学食で、友人の水上 桜が待っているのだ。残りの時間は、やはり気心知れた友人と共に過ごすもの。
「やっほー」
「あ、来たきた」
学食のテーブルでは、既に桜が茉奈の席も一緒に確保しているところだった。流石、こういう所は手際が良い。
頼んだ料理は、茉奈がカレーライスで、桜はミートスパゲッティ。
目の前に、修了式後の料理が並ぶと、軽いお祝いの気持ちが感慨深く滲むと言うもの。
それを胸に抱きながら、こちらと桜で、さっそく、ペットボトルのお茶を傾けて。合図は、こちら茉奈の方から音頭を取る。
「乾杯ーっ」
そしてお互いに、ペットボトルをコツンと合わせた。
桜にも何か思う所があるのだろう、想い深く一瞬の表情を見せてから、
「今年もお疲れ様ー」
と、こちらに合わせて微笑んだ。
桜がペットボトルに唇を触れさせながら、しみじみと呟く。
「来年は三年生だね。受験……」
こればかりは、成績問わず直視ばかりは避けられない。
「あたしは彼氏と一緒の大学受験するけど、学部とか何も決めてないんだよね。桜は？」
「進学――なんだけれども、匠さんどうするのかなって。就職と進学悩んでるって言ってたから」
「やっぱり彼氏って気になるよねー……！」
そうして、来年の花は咲く。
その花は、きっと綺麗なものに違いない。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年09月08日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年09月15日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年09月15日 11時00分
