マジックポットたちと、不思議な魔法の庭｜リアクション

マジックポットたちと、不思議な魔法の庭

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　八神修と七夜あおいの目の前に広がるのは色とりどりの花園。
　いつの間にか、不思議な庭園に招かれていたみたいだ。
　その時、あおいが何か気づいた様子を見せる。

「あれ、あのポット達って？」

　家のほうからとことこと歩いてきたのは、四本の足がついたマジックポッド達だった。
　マジックポッド達は修とあおいを見つけると、嬉しそうに小走りにやってくる。二人の足元にすりすりと身体をすりつける様は何かを願うようだ。

「何か言っているみたいだよ」
「ふむ」

　修は状況を整理しながら、マジックポッド達の動きに着目した。
　マジックポッド達と意思疎通を試みるために取った方法。それは……。

「花の世話をしているんだな？」

　修の質問に、マジックポッド達はこくこくと上下に身体を揺らした。

「作業は間に合っているの？」

　あおいの問いかけに、マジックポッド達は悲しげに左右に身体を揺らす。そして、足で追いついていない作業を地面に描いていった。
　その結果、今一番追いついていない作業が判明する。

「水やりが間に合っていないみたいだ」
「じょうろ、どこにあるのかな？」

　あおいの疑問に、マジックポッド達は足でじょうろがある場所を地面に描いていく。

「じょうろ、不思議な形をしているな」
「うん。そうだねえ」

　必要な道具を探し出すと、二人は分担して楽しく花の世話をしていった。

（見覚えのある花はあるかな。未知の花もあるだろうか）

　修が見つけたのは淡く光る花々。

「見て、あおい。光る花だ」
「わ、ホントだ。綺麗だね！」

　あおいの笑顔は甘やかな色彩に彩られる。
　それはまるで幸せいっぱいの花のようで、修は喜びを噛みしめるように笑む。
　花と幸せが咲き広がる瞬間。あおいの髪が揺らぐ様さえも愛おしく感じられた。　

「この花はどんな感じかな？」
「せっかくだから、一緒に触ってみる？」

　修の提案に、あおいは間を置かず頷いた。
　二人の手が重なる。花に触れると、ふわりと景色が変わった。
　二人が見たのは同じ幻。
　ふわりと輝く花弁が舞い上がる。
　仄かに輪郭を染める花弁はゆっくりと回転しながら二人のもとに降り注いだ。

「素敵だね」
「ああ。ここの花には、不思議な力があるのかもね」

　その言葉に添えたのは心からの喜びであった。
　水やりの作業が終わり、修とあおいはお茶をしてまったり。窓の外からは、色とりどりの花々が咲き誇っているのが見えた。

（ここの主はどんな人だろう）

　修は視線を巡らせて想いを馳せる。

（まるで魔法使いが暮らしているような屋敷だな）

　内部を観察して色々推察したりしていくうちに話してみたい気持ちが強まる。
　だが、マジックポッド達によると、しばらくは帰還する予定はなさそうだ。
　もしいつか、その人物と会えたら、意図せず侵入してしまったことへの詫びを入れたい。花の用途やこの場所が何なのかを聞いたりして話に花を咲かせたい。
　修がそう思っていた時、マジックポッド達が外に来てほしいと誘ってくる。足で地面に描いた絵を示した。

「もしかして、お土産を渡したいのか？」

　修が推察すると、マジックポッド達は上機嫌で上下に身体を揺らした。

「そうだな。あおいがゆっくり寝れて幸せな夢が見れるものを希望するよ」
「あ、ありがとう、修……くん」

　修がそう告げると、あおいの柔らかな頬が桃色に色づいていた。

「ごめんね。まだ恥ずかしくて」
「俺はいつでも待っているよ。あおい、いつか言えるように……指切りしないか？」

　修が左手の小指を差し出した。あおいはその指に自分の小指を絡ませる。

「約束。修くんも幸せな夢が見れますように」

　指切りをすると、あおいは花笑むように微笑んだ。

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