「参ったな。迷っちまったぜ」
京極 花音はいつのまにやら、見知らぬ民家の庭へと迷い込んでいた。
広い庭では住人がガーデニングをしているようで、色とりどりの花々が整然と、見事に咲き誇っていた。
「ん? こりゃ、なんて花だ……?」
不思議なのは、庭園に咲く花たちの名前を、花音がひとつとして知らないことだ。彼は花屋でアルバイトをしており、花の名前には詳しいはずだが、どれも見たことがなかった。
と。
「……なんだあれ」
家のほうからとことこと歩いてくる、犬か猫のような何かが見えた。一匹や二匹ではない、たくさんだ。
いや、それは、生き物ではなかった。言うなれば、
四本の足がついた花瓶、あるいはティーポットのようなものだ。おなかの部分は透明のガラスで、水やお茶が満たされていたり、あるいは花や植物の種などが詰まっていたりした。
足のついたティーポットが身体を揺らしながらやってきて、自分のおなかに満たした水を庭の花々へと注いでやり、空になるとまた家のほうへ歩いていく。小さなポットが運べる水量はほんのわずかで、庭の花たちへまんべんなく水をやるには、何度も往復しなければならないようだ。
足のついた花瓶が花音を見つけて、なんだか嬉しそうに、小走りにやってきた。
「お、おい……?」
花音の足元にすりすりと身体をすりつけたり、ぴょんと飛び跳ねるところは可愛らしいが、中身がこぼれてしまわないかとちょっと心配になる。
そのうち花瓶は駆け出して、何度も花音を振りかえり、花壇へと誘った。
「なんだ。手伝ってほしい、って言ってるのか」
花音がそう口に出すと、尻尾があれば勢いよく振りそうなくらいに喜んだ。
見上げれば家はまるで、魔法使いでも暮らしていそうな雰囲気だ。
ポットたちが空いた花壇の土に水をかけると、ぽこんぽこんと芽が出る。さらに水をやると、ぐんぐん育って、やがて花が咲いた。
ここはどうやら、魔法の庭らしい。
住人は今は留守にしているようで、歩くポットや花瓶たちが花々の世話をしているが、手が足りていないようだ。
花音はつぶやいた。
「ふむ。少し、手伝ってやるのもいいかもな? 俺もここの花に興味があるし」
美しい魔法の庭園で、ひと時現世を忘れて、ゆったりと過ごすのもいいかもしれない。
天音まなです、よろしくお願いします。
京極 花音さん、ガイドへご登場いただきありがとうございます。
概要
不思議な魔法の庭で、ガーデニングのお手伝いをしたり、お茶会をしたり、
ゆっくりまったりと時を過ごすシナリオです。
庭に建つ家は、いかにも魔法使いが暮らす家といった雰囲気で、
中ではひとりでに動くホウキが埃を掃いていたり、動く絵が飾られていたり、
多種多様な薬草や花弁や、それらから作られたと思われる、
魔法のポーションが満たされたフラスコが並んでいたりします。
庭は広く、どこまで続いているのか分からないくらいですが、
戻りたいと心に思えばいつでも、家の周囲へ戻ってくることができます。
庭には、几帳面に仕切られた区画ごとに、
寝子島では見たこともない花々が咲いています。
光を放つ花、葉や花弁を揺らして踊る花、歌う花など、様々です。
家の住人は不在のようで、庭を管理運営しているのは、
四本足がついたティーポットや花瓶のような、マジックポットたちです。
マジックポットはたくさんいて、形はいろいろ。
おなかが透明なガラスで、中に水やポーション、花弁や種が詰まっているのが見えます。
それらを運び、花たちに与えることで、庭を維持しているようです。
マジックポットたちは働き者ですが、小さな身体ですので、一度にこなせる仕事は限られています。
手伝ってあげれば喜んでくれるでしょう。
お礼にお茶やクッキーをご馳走してくれるかも。
ポットたちのお手伝いをするのも良いですが、魔法の庭で自由に過ごすこともできます。
不思議な花たちを眺めて楽しんだり、誰かと一緒に見物して回ったり、
お好きなアクションでお楽しみください。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、
PCとXキャラの2人あわせて「1人分」の描写なので、無関係の行動などはお控えください。
※Xキャラだけで1人分の描写とすることも可能です。
その場合は、PCさん自身は描写がなく、Xキャラだけが描写されます。
Xキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるようにご記入ください。
※Xキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
以上です。
ご参加をお待ちしております!