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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
バードワールド！ 木天蓼花鳥園へようこそ
〇フクロウを楽しむ〇
「柚春」
稲積 柚春が木天蓼駅を出ると、背後から聞き間違えようのない声がした。振り返ると、笑顔のウォルター・Bが立っている。心が通じ合った二人だが、卒業までは寝子高の誰かに知られるわけにはいかない。
その為、別々の車両に乗っていたのだ。
「ワット」
「じゃあ、行こうか」
ウォルターがそっと手を握ってくる。それをきゅっと握り返し、柚春は微笑んだ。
大花園には春の花々が咲き誇っていた。ちょうど桜が咲く時期であり、五分咲き程度ながら咲いた桜に囲まれ、白やピンク、黄色や紫の――菫の花を楽しめる。
「ねぇ、この菫の前で写真を撮らないかい？」
「あ、いいね！」
ウォルターの提案に乗り、スマホのシャッターを切る。
「菫と僕達のピアスの色って親和性があると思ってねぇ」
「確かに、青系と紫だからね」
今日はお互いの瞳の色のピアスをつけてきている。柚春は青色、ウォルターは藍色だ。二人の耳の間で揺れるピアスの間で、紫の花弁が沢山見える。菫の奥にはシロツメクサも咲いていて、もしかしたら四つ葉のクローバーも紛れているかもしれない。
その後、林側へも行き、設置されている巣箱や餌箱を目的にやってきた野鳥を観察し、二人はガラスハウスに向かった。
まんまるの瞳の、大人しそうなフクロウが銘々に寛いでいる。
「可愛いねぇ」
ウォルターの瞳も、いつもよりも少し大きくなっている気がする。フクロウを間近にして、テンションが上がっているようだ。生き物を見るときの彼は、柚春にはちょっと子供っぽく見えた。
（わくわくして、目をキラキラさせて……大人だって忘れちゃう）
フクロウも可愛いけれど、普段は見られない彼の笑顔の方に目が行ってしまう。
（僕の前だから油断してくれてるのかな？ だったら嬉しいな）
脇の下をくちばしで繕っている灰色のフクロウを眺めながら、ウォルターが言う。
「腕に乗せたりはできるのかねぇ」
「聞いてみようか」
スタッフが持ってきた分厚いグローブに片腕を入れる。見た目は可愛くても、爪が鋭かったり握力が強い為、腕に乗せるにはグローブが必須だ。
「慣れていないと、食い込んだ爪が外れなくなって大怪我したりするんですよ」
笑顔でそう説明した後で、スタッフは手の形を教えてくれた。
「足に腕を近づけてください」
フクロウは、よいしょという動作で片足ずつ腕に乗ってくる。
「うわぁ、結構重いね！」
「ずっしりとしてるねぇ」
ウォルターは驚きつつも嬉しそうだ。柚春がピンセットで抓んだ餌を持っていくと、フクロウはぱくっと咥えて飲み込んだ。
「ご機嫌を損ねないうちに、ワットも餌をあげてみて」
「そうだねぇ」
閉じた両翼をワキワキとするフクロウに、ウォルターも餌をあげる。
「もっと大きい子はショーに出てるんだよね、楽しみだな」
「うん、この後はショーに行ってみようか」
フクロウを丁寧に止まり木に戻し、二人はショーを観に行った。
「フクロウって賢いんだね！ 可愛かった！」
ショーの感想を話しながら、柚春とウォルターはショップを訪れた。鳥の羽を使ったグッズを色々と見る。
「キーホルダーや栞、お守りとかもあるんだねぇ」
「綺麗に抜けた羽まで、こうして有効に使っているなんて凄いね」
色々な鳥の羽が使われているから、カラフルだ。でも、今日の記念というならフクロウの羽かな、と思う。
「そういえば、さっき解説に書いてたな……」
「解説？」
何のことかという顔をするウォルターに、柚春は苦笑する。
「もしかしてワットは生き物に夢中で解説まで読んでなかったかな。フクロウは『福が来る』や『不苦労』っていって縁起がいいんだって」
「へぇ、それは知らなかったなぁ」
「ね、このフクロウの羽のお守り、お互いに選んで交換しない？」
「良いねぇ」
柚春は茶色の羽がついた赤いお守りを手に取って渡す。
ウォルターは、灰色の斑点が少し入った白い羽がついた青のお守りを選んだ。布袋にはフクロウの刺繍が入っている。
「ふふ、ありがとう。どんな福が来るか楽しみだな」
柚春はいつか聞いたことのある逸話を思い出す。
「……フクロウはね、自分の羽をプレゼントして求婚するんだって」
お守りを見詰めて、自分の未来を想像する。将来、結婚を決める場にいる相手は、きっと――
「だからね、ワットと贈り合うことができて嬉しいな」
微笑みかけると、ウォルターはびっくりしたような瞬きしてから笑みを浮かべた。
「僕も、嬉しいよ」
「大事にしながら待ってるから……ちゃんと、福を連れてきてね？」
「柚春」
稲積 柚春が木天蓼駅を出ると、背後から聞き間違えようのない声がした。振り返ると、笑顔のウォルター・Bが立っている。心が通じ合った二人だが、卒業までは寝子高の誰かに知られるわけにはいかない。
その為、別々の車両に乗っていたのだ。
「ワット」
「じゃあ、行こうか」
ウォルターがそっと手を握ってくる。それをきゅっと握り返し、柚春は微笑んだ。
大花園には春の花々が咲き誇っていた。ちょうど桜が咲く時期であり、五分咲き程度ながら咲いた桜に囲まれ、白やピンク、黄色や紫の――菫の花を楽しめる。
「ねぇ、この菫の前で写真を撮らないかい？」
「あ、いいね！」
ウォルターの提案に乗り、スマホのシャッターを切る。
「菫と僕達のピアスの色って親和性があると思ってねぇ」
「確かに、青系と紫だからね」
今日はお互いの瞳の色のピアスをつけてきている。柚春は青色、ウォルターは藍色だ。二人の耳の間で揺れるピアスの間で、紫の花弁が沢山見える。菫の奥にはシロツメクサも咲いていて、もしかしたら四つ葉のクローバーも紛れているかもしれない。
その後、林側へも行き、設置されている巣箱や餌箱を目的にやってきた野鳥を観察し、二人はガラスハウスに向かった。
まんまるの瞳の、大人しそうなフクロウが銘々に寛いでいる。
「可愛いねぇ」
ウォルターの瞳も、いつもよりも少し大きくなっている気がする。フクロウを間近にして、テンションが上がっているようだ。生き物を見るときの彼は、柚春にはちょっと子供っぽく見えた。
（わくわくして、目をキラキラさせて……大人だって忘れちゃう）
フクロウも可愛いけれど、普段は見られない彼の笑顔の方に目が行ってしまう。
（僕の前だから油断してくれてるのかな？ だったら嬉しいな）
脇の下をくちばしで繕っている灰色のフクロウを眺めながら、ウォルターが言う。
「腕に乗せたりはできるのかねぇ」
「聞いてみようか」
スタッフが持ってきた分厚いグローブに片腕を入れる。見た目は可愛くても、爪が鋭かったり握力が強い為、腕に乗せるにはグローブが必須だ。
「慣れていないと、食い込んだ爪が外れなくなって大怪我したりするんですよ」
笑顔でそう説明した後で、スタッフは手の形を教えてくれた。
「足に腕を近づけてください」
フクロウは、よいしょという動作で片足ずつ腕に乗ってくる。
「うわぁ、結構重いね！」
「ずっしりとしてるねぇ」
ウォルターは驚きつつも嬉しそうだ。柚春がピンセットで抓んだ餌を持っていくと、フクロウはぱくっと咥えて飲み込んだ。
「ご機嫌を損ねないうちに、ワットも餌をあげてみて」
「そうだねぇ」
閉じた両翼をワキワキとするフクロウに、ウォルターも餌をあげる。
「もっと大きい子はショーに出てるんだよね、楽しみだな」
「うん、この後はショーに行ってみようか」
フクロウを丁寧に止まり木に戻し、二人はショーを観に行った。
「フクロウって賢いんだね！ 可愛かった！」
ショーの感想を話しながら、柚春とウォルターはショップを訪れた。鳥の羽を使ったグッズを色々と見る。
「キーホルダーや栞、お守りとかもあるんだねぇ」
「綺麗に抜けた羽まで、こうして有効に使っているなんて凄いね」
色々な鳥の羽が使われているから、カラフルだ。でも、今日の記念というならフクロウの羽かな、と思う。
「そういえば、さっき解説に書いてたな……」
「解説？」
何のことかという顔をするウォルターに、柚春は苦笑する。
「もしかしてワットは生き物に夢中で解説まで読んでなかったかな。フクロウは『福が来る』や『不苦労』っていって縁起がいいんだって」
「へぇ、それは知らなかったなぁ」
「ね、このフクロウの羽のお守り、お互いに選んで交換しない？」
「良いねぇ」
柚春は茶色の羽がついた赤いお守りを手に取って渡す。
ウォルターは、灰色の斑点が少し入った白い羽がついた青のお守りを選んだ。布袋にはフクロウの刺繍が入っている。
「ふふ、ありがとう。どんな福が来るか楽しみだな」
柚春はいつか聞いたことのある逸話を思い出す。
「……フクロウはね、自分の羽をプレゼントして求婚するんだって」
お守りを見詰めて、自分の未来を想像する。将来、結婚を決める場にいる相手は、きっと――
「だからね、ワットと贈り合うことができて嬉しいな」
微笑みかけると、ウォルターはびっくりしたような瞬きしてから笑みを浮かべた。
「僕も、嬉しいよ」
「大事にしながら待ってるから……ちゃんと、福を連れてきてね？」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年07月31日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年08月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年08月07日 11時00分
