【ホワイトデー】ホワイトメイドランド☆｜リアクション

【ホワイトデー】ホワイトメイドランド☆

☆シマエナガと一緒に

　御巫時子は、五十嵐尚輝先生を誘って寝子ヶ浜海浜公園へ向かいました。
「シマエナガグッズが揃ってるみたいなので楽しみです」
「そうなんですか。それで御巫さんは白い服を着てるんですか」
「ええと、シマエナガに合わせたわけではなくて……ドレスコードがあるみたいなので白いワンピースを着たんです」
　ちょっとピントがずれた発言ですが、尚輝先生が時子の服に目をくれたのは嬉しいことでした。
「ドレスコード！？　僕は白い服なんて……あっ」
　慌てた様子の尚輝に、時子は笑みを向けます。
「先生は普段着で大丈夫ですよ。白衣もＯＫです」
　そう、尚輝は今日も学校と同じ白衣を着ていたのでした。

　さっそく出店でシマエナガグッズを見つけ、時子は目を細めました。
「シマエナガのぬいぐるみが可愛いですね。愛くるしい表情と姿に癒されます」
「そうですね」
　頷く尚輝に、時子は言いました。
「まるで尚輝先生のようですね」
「……えっ？」
　目を点にした尚輝を、時子は見つめます。
「飽きずにずっと見てられます」
「……僕はこんなに可愛くありませんが」
「照れてるところも可愛いです」
　うっすらと頬を染める尚輝に、時子は心から言うのでした。
「これ、ください」
　シマエナガのぬいぐるみを購入した時子は、袋から出したシマエナガをそのまま抱っこして連れていきました。
　
　
「尚輝先生、もうすぐ花火が始まりますよ。ここに座りましょう」
　あまり人のいない場所を見つけ、時子は座った膝の上にちょこんとシマエナガを乗せました。
「可愛いですね。あっ、花火です」
　二人は寄り添いあいながら、打ちあがる花火を見上げました。
「わー、綺麗。白くて夜空に映えますね」
「ええ。とても見事ですね」
　この季節に花火が見れるなんて、と時子は思いました。
（先生にも楽しんでもらえてたら嬉しいです）

　花火も終わり、名残惜しく思ったとき。
　尚輝先生は鞄から包装された箱を取り出しました。
「これ、この間のお返しです」
「覚えていてくれたんですね。ありがとうございます！　開けてもいいですか？」
「はい」
　喜びつつも時子には、気になることがありました。
（ホワイトデーに贈るお菓子にはそれぞれ意味も違いますから先生の気持ちが分かるかも？）
　包みを開け、箱を見ると。
「クッキー？」
（クッキーの意味は、友達のままでいてください、です……）
　わかっていないなら教えてあげなくては、と思った時子ですが。
　よく見ると、箱にはキャラメルクッキーと書かれていました。
（キャラメルは「一緒にいると安心します」の意味ですね……）
　それは意味通りなのかもしれない、と時子は思います。
「どうかしましたか？　何か間違っていたでしょうか」
　心配そうに尋ねる尚輝先生に、時子は笑顔を向けました。
「いいえ、間違ってはいないですよ」
　そして、小さな声で付け加えました。
「……クッキーの意味は、今度教えてあげますね」

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