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For Your Eyes Only
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【そこには浪漫が】
「わー、活字がこんなにも!」
文字、文字、文字。
今、
倉前 七瀬
の視界には、ただひたすらに海の波のように押し寄せる黒墨で染められた『あふれんばかりの文字の群れ』があった――
ここは横浜に構えられた、とある印刷工房。本日は、七瀬が当選した『活版印刷』――インクの付いた凸面の『活字』と呼ばれる文字を並べ、それを纏めたものを紙に押し付けることで文字列として印刷する、旧きとも言える技術――が体験できるというイベントが開催されていた。
今ではデジタル技術に取って代わられ、衰退するのみの技術である活版印刷だが、恐らく文化としては途切れることはないであろう。その一際に特筆すべきは、一枚一枚の刷り上がりによる異なる風合いや、もはや完全なるオリジナリティとも言えるその制作の手間にある。
今はデジタル造形した版を用いる事が多いが、過去の時代の活版印刷は使用する一文字一文字を『活字』と呼んで、それを組み合わせて版を作るという、気が遠くなるような技術があった。
活字は、その一文字ごとに鋳造により刷りに長く耐えられる鉛合金で作られることが多い。『欧文』と呼ばれる英文は全てアルファベットのみで済むが、日本では漢字やひらがな、カタカナやそれらに馴染むアルファベットに至るまでが文体の『和文』一セットとして作成された。
その為――異常なまでに数が多い。博物館クラスになれば、現存するだけで一文字の言葉一つに活字を数百個ほど所有しているという。ここにはそれだけのものは無いが、目に見える範囲だけでも『馬(うま)』と呼ばれる大棚に、活字の字面がずらぁっと向けられ並べられた光景が。
「おおぉー……!」
「………………」
その光景に、七瀬は楽園を目にしたかのように文字通り翠玉の瞳をきらっきらと輝かせて感嘆の声を隠さず。同時に、同席してイベントに参加していた
ウォルター・B
の様子は絶句を通り越してげんなりを極めに極めきっていた。
非常に分かりやすい比較である。これが性格や、文字というものに対する日常からの情熱の現れというものであろう。七瀬にしてみれば、ここは天上の雅な演奏が流れてきそうな楽土そのものであり、ものぐさなウォルターにしてみれば、これからの作業は思うだけでちょっとした無間地獄なのである。
かなり広い屋内で気にはならないが、人の数はそれなりにある事が窺えた。何しろ活版印刷を一からともなれば、恐ろしい手間が掛かる。その為、このイベントは一日掛かりで、インクの乾燥時間以外は専門のスタッフが付き添うかアドバイスの為に待機しているという、かなり大掛かりなものなのだ。
七瀬の場合は、事前にしっかりと打ち合わせのやり取りをした上で、両面印刷と乾くインクの時間を考慮し、今回が一泊二日の小旅行の時間であることをフル活用して取り組む事にした。
その時には既に
ウォルター・B
も同行する事が決まっていたので、むしろ時間は持て余すどころか退屈しないに違いない。
そうして七瀬とウォルターは、本日世話になる担当のスタッフから説明を聞き、年代を感じさせる木で出来た『文選箱』と呼ばれる箱を受け取ると、早速事前に用意された内容を目に、必要な活字を選ぶ為、圧巻の一言である文字の並びに足を向けた。
「……こんな文字の中から選ぶのを、活字を『拾う』というのは、凄くよく分かりますね。好きです」
七瀬が、これと決めた文体の中から活字の一つに指をやる。カツリ、と音を立てる金属の響きが本当に文字が奏でる音のようで。跳ねるように胸が高鳴り、とても好ましく感じられて仕方がない。
「それじゃあ――いざ!」
そして、まるで本を読むように、七瀬は心が一番伝わりそうな文体の活字を探し始める。
今回、活字は自分の指で触れ選べる。自分の指で活字の重さに触れ、そして文選箱に置かれるその重さに感動すら覚えてしまうのだ。
――これで、愛しい人に想いを届けられる。それは何と素晴らしい事だろう。
拾い始めた先、ふと。傍らに先程まで他の所を目にしていたウォルターが、こちらに歩み寄る気配を感じ取った。
「ねぇ、七瀬はどんなものを作るのかなぁ?」
「シンプルなメッセージカードにしようかと思いまして……本当は文字びっしり、としたいところなのですが――」
『多分、読んでもらえない可能性が』――活字を拾うその感覚に半分夢中になりながら、何とはなしにそう続けかけた七瀬は、それを渡す当事者が目の前にいる事に気づいて、慌ててその目から活字を拾う参考へとする薄い書面をそっと見えないように指で丸く折り曲げた。
「あ、こちらは見せるまで内緒で……」
「見せるまで、ってねぇ……君は、時々本当に天然でそういうところだなぁと思うよぉ――まあ、後で見せてもらえるならいいかぁ、僕もちゃんと探さないとねぇ」
ウォルターという人物は、その仕草と言葉ひとつからも、もうメッセージカードの対象が自分だと全く疑わず、そして何ひとつ間違えることはない。
とは云え、恥ずかしいがその通りであり、返す言葉ひとつ見つかりもしない。
「ウォルターさんはどんなのにしましたか?」
「んー、僕はさっき選ばせてもらったけれども、メアリ宛にねぇ。日頃の感謝としてメッセージカードを贈ろうと思って~」
「おお、メアリさん宛のメッセージカード。よかですね〜、きっと喜ばれますよ!」
「そうかなぁ……ずぅっと苦労掛けてきたからねぇ。ちょっと、今更な感じしちゃうかなぁって」
ウォルターが、日頃の様子とは少し異なる表情の色を見せて。視線を僅かに下へと落とす。
「そんな事ありません。大切な人からの贈り物は、いつでも、ちょっとしたものでも嬉しいものですから」
「……うん、そうだねぇ」
七瀬の言葉に、ウォルターは横浜から来てずっと、何か思う所があるのを払うように、僅かに瞳を細めて七瀬に目を向けた。
コトン、と文選箱に最後の活字の音がした。
ここからは、まるで田んぼに作物を植えるように文字を並べる『植字』の作業。七瀬は、文面が簡単に読まれてしまいそうなこともあり、ウォルターとは少し離れた場所で植字の作業に入る事にした。
ここで、メッセージに思いの丈を――『文字をびっしり』にしなかった事を、七瀬は別の意味でも良かったと思い至る事になる。
活字――それは、印刷時に左右が反転するために鏡像状態で文字を浮かし彫りにしたものだ。その為、七瀬は普段追いかけ続ける文字とは同じでありながらも似て非なる、まるで違うものをひとつひとつ組版ステッキと呼ばれる台の上に並べ組んでいく。
うめき声こそ上げずに済んだが、文字を湯水のごとく浴びる事を好む七瀬には、非常に楽しくもなかなかの苦行というジレンマが襲いかかった。
「……これは短くしておいて良かったです……」
それでも、七瀬の手の中にはかなりの活字が今も植えられんと待ち焦がれている。ふと、ウォルターの方を目にすれば、向こうはアルファベット限定にしていた事もあるが、それ以上にサクサクと文字を置いて、既に活字の行間や文字間を調整する為のインテルや込め物と呼ばれるアイテムを組版ステッキの中に収め込んでいた。
ウォルターは面倒なことが嫌いと言うだけあって、こういう所での本人スペックの効率の良さは隠さない。七瀬も慌てて文字を並べつつ試行錯誤する。
すると、声が聞こえた。
「七瀬~、ゆっくりでいいよぉ。間違いなく僕よりは文字が多いんだろうからねぇ」
「はい……!」
その様子では、ウォルターはかなりシンプルな物を作っているようだ。こちらはそれに比べたら、確かに長い類のものになるに違いない。
出来上がった版を教わった通りに糸で一括りに縛り、その高さをならす為の木を置いて上から木槌で整える。それを更に印刷機に取り付ける為の金属枠に収めて、更に位置を整える――気の遠くなるような作業だが、七瀬には手を抜く理由は無い。
何故ならば、これらの文章は、己の想いを確かに伝えてくれる、とても大切なものなのだから――
「おぉ、面白いようにインク版にインクが延びていきますね」
そして、厚さ調整からインク量、紙質までのチョイスをスタッフの全面協力の元にして、手フート印刷機という印刷機を使ってプレスして完成――ただ、七瀬とそれに合わせたウォルターは両面印刷の為、インクが乾くまでの数時間の空きの時間で、再び活字を拾いに向かい、今度は反対側の印刷をする。
――もう、これだけで一日の殆どが暮れていた。今度は反対側のインクが乾く時間がある為、最初の打ち合わせで完成品は郵送か翌日取りに向かうかの打診を受けたが、そこは一泊二日の小旅行だ。良い機会だからと、明日の午前中に受け取ってから、二日目の目的を果たすことに決めていた。
「七瀬、活版印刷はどうだった?」
「楽しかったとです。出来も、多分大丈夫だと思います」
七瀬はふむ、と考え込みながら本日の所感をウォルターに告げる。
「そう言えば……――ここに来る前に言っていた『夜の楽しみに付き合って』というのはどういう意味です?」
そう、ウォルターは一泊二日の旅行の始まりに、七瀬にやりたい事は何かあるかと聞かれ、しばし考えた後にそのような事を答えていた記憶があるのだ。
「ん~、そのままの意味だよぉ。やだなぁ、七瀬ってば恥ずかしい事を聞くんだぁ」
「……誤魔化されませんよー?」
「うん、知ってるぅ」
けせらせらと、ウォルターがそう告げ笑ってみせる。
「七瀬は面白みがないなぁ。そこがいいところなんだろうけれども――それじゃ帰り際に、ホテルへの持ち込み用に何か買いにコンビニでも寄ろうかぁ」
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担当ゲームマスター
斗々
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月15日
参加申し込みの期限
2024年06月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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