this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
For Your Eyes Only
<< もどる
1
2
3
4
【貴方の目だけに焼き付けて】
「あ~。一泊二日なんてあっという間だねぇ」
寝子島――星ヶ丘駅に到着して改札を出たウォルターは、星が瞬く時間の夜空に向けて大きく伸びをした。
後に続く七瀬も、振り返れば吹き抜ける風のようにあっという間だった旅路を思い遣る。
あっという間――これが夢なら、愛しい人と過ごした時間はもう終わる。
此処からの帰りは別の方向へと歩き出すことになる。
終わりを告げる、七瀬はその名残惜しさを引き止めるように、本来ならば電車の中で渡そうと考えていたメッセージカードをバッグから取り出した。
活版印刷で作成し、大切に持ち運んでいたメッセージカードには、微塵のよれも皺も存在していない。
「ウォルターさん」
「ん、あぁ。そうだったねぇ、僕宛だった。忘れてたよぉ」
一般人であれば、最初に自分へのメッセージなのだと見抜いておいてその言い草は、と思っても何らおかしくないところではあるが、ウォルターと付き合いの長い七瀬にとってはあまり気にするところでもない。
ウォルターの手に渡ったのは、彼と同じ瞳の色をした淡い青色の少し厚手のしっかりとしつつも柔らかな触れ心地の紙。そこに僅かな凹面として刷られた黄緑色が、駅から届く電灯の照明だけでもその発色の良さがよく分かる。
そこにある文字は『For Your Eyes Only』――
「……さて、これは」
これは、少し特殊であり、そして同時に有名な文言でもある――
まるで、そこにある文字の意味を探るように。興味深く目を細めたウォルターはそっと折りたたまれたメッセージカードを開いてみせた。
============
いつもありがとう
大好きな人
あなたが幸せでありますように
============
それを目にしたウォルターの表情に驚きの色は浮かばない。隠しているのか、それとも潜めているのかも分からない。
だが――ウォルターは、その文字を少なくとも驚きではない感情で長く長く凝視してから、ゆっくりと瞳を閉じた。
無意識に、そのメッセージカードをほんの少しだけ胸元に引くように。
その仕草を、七瀬はずっと見つめ続けていた。
好き、と何度告げ続けても。足りない。
この感情は、自分の中で、もはや届くか届かないかというものですらないのだ。
『気持ちを知っている』――そういう意味では、もう七瀬の心はウォルターには届いている。
だが、受け取ってもらえるかは別問題であり、それはもちろん七瀬にとって『受け取ってもらえなくても、構わない』ものだ。
むしろ、忘れられていてもいい。捨てられていてもいい。それならば、何度でも伝えるだけだ。
何しろこの想いは――幾ら伝えても、何度伝えても。胸から溢れて止まらないものなのだから。
「楽しい二日間でした。終わってしまうのは寂しいです」
「七瀬……君はねぇ、君のような若人が、僕なんかの為に、まだまだ青春にも近い感情を費やすだなんて勿体ないよ? ――『なんか』なんて言ってしまうと、本当に天国で獅子堂にぶん殴られてしまいそうだけれどもねぇ……!」
嫌われた訳では無い、だが少しだけ持て余した感情を呆れに変換させたのであろうことが伝わるウォルターの言葉に、ふと七瀬は違和感を覚えて改めて相手の表情をそっと見つめた。
「『僕、なんか』……ウォルターさんは、ご自身の事が嫌いなんですか」
これは、七瀬にも分かっていたような気がした問いだ。故に、それは『これから』の事象確信の為の行為にも近かった。
だが――やはり、七瀬には答えは分かりきっていたのだ。
七瀬の言葉に、ウォルターの雰囲気が、そのようなものを発する事を知る人がいるかも分からない程に、静かに、薄氷の如く凍り付く。
「……好きに、見えると思う?」
ウォルターの、七瀬を見つめる瞳が据わっていた。正面から受ければ、七瀬も内心では動揺を隠せないだろう。
だが、きっとこれまで『好き』と言い続けて、全部受け止めてはもらえなかった。どこかで何かをはぐらかされてきた理由は、きっとこれなのだ。
――だから、ウォルターを見つめる瞳の色を変えてはならない。どのような彼を見つめたとしても『それは、自分の目の内にある彼』なのだ。
「……僕はね、七瀬。自分以上の大きなものを犠牲にして、踏み台にして――今は、それを糧にして呼吸して生きている。結果、纏め上げれば、そんな駄目人間なんだよ?」
「好きです。獅子堂さんは、きっと自分を犠牲にしたなんて思っていません」
「君に獅子堂の何が――!」
初めてウォルターから発せられる怒号に近い声。
殴られても文句の言えない程の至近。
しかし――七瀬が怯むことはない。
七瀬は……『獅子堂という男と会い、彼本人を知っている』のだから。
「先生言ってくれましたよね、うちを『自慢の教え子』って。なら、獅子堂さんは――願いを……自分の存在を『託した』だけだと思います。ウォルターさんは……うちにとっても、立派な先生で……今、いてくれている事が『自慢』です。
教え子のうちを否定したら、獅子堂さんを否定することになってしまいますよ、良いんですかっ?」
「……! っ……七瀬の、くせに――! もう、言う……じゃないか……」
ほんの少しまで狭まっていた距離。
先から、しおれるように覇気の抜けたウォルターは、とん、と自分よりも背の低い七瀬の肩に首を下ろすように額を寄せた。
瞬間、七瀬はその時初めて目に止めた。
いつもは飄々とあっけらかんとした彼の表情が、泣きそうに崩れ愛しそうに微笑み七瀬を見た事を――
「……獅子堂は――あの時ほぼ即死だった。だから、最後に言葉を交わす機会すらなかった。もちろん、僕たちにその資格があるはずもなかったのだけれども」
しばらくして、そのままの仕草でウォルターが語り始める。
七瀬は、ただ、それを黙って聞いた。
「でもね……親友は……代わりに、僕の命と、そんな僕に教師という目標を分け与えてくれた。こんなメッセージまでくれる、君という存在まで得る機会をくれた――でも、ね」
そっとウォルターが、七瀬の肩に顔をついたまま、片手で軽く身を寄せて、空いたもう片方の手で、こちらの頭を強く撫でた。
「今は『これが、精一杯』なんだ――どんなに言葉をくれても、今はねぇ……頑張っても。はは、まるでどこかの映画みたいになっちゃったねぇ」
「十分です。十分すぎる話です」
これ以上に、交わせる言葉が思いつかなくて、七瀬もそっと相手に手を回す。
親愛の域を出なくとも、その身に触れる手はとても温かかった――
それが、別れの挨拶の代わり。明日からは普通の生活が待っている。
別れ際、ウォルターは先程の件で少しよれてしまったメッセージカードを目に、七瀬に軽く謝りながら手の中のメッセージを見つめて告げた。
「僕も、何か文字にするなら、七瀬へのお返しに何か考えてみようかなぁ……」
一息の沈黙。答えは、互いの重ねてきた山程の思い出の中で、既に決まっていたのかも知れない。
「『いつも……ありがとう』――七瀬。この言葉だけでも、許してくれる?」
了
<< もどる
1
2
3
4
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
斗々
ファンレターはマスターページから!
倉前 七瀬様、この度は、プライベートシナリオご申請のほど、誠に有難うございました! この度MSをを努めさせていただきました斗々と申します。
この度は、プライベートシナリオ『For Your Eyes Only』ご参加有難うございます…!
まずは、活版印刷にて制作していただいたメッセージカードの表面が、タイトルであったことが本当に嬉しく思われました…! 活版印刷については、今回の機会で知るもの知り得たもの、全てを出来うる限り文章にて再現しましたが、もしも「ここは違う!!」等ございましたらご容赦をいただけましたら、と……情けなく申し訳ございません……!
今回はご依頼をいただきまして、本当に常日頃ではございますが、いつも以上に緊張しながらの執筆となりました。
こちらで様々…と云うのもなんでございますので、是非続きは個別あとがきに引き継がせていただきたいと思われます。
それでは、この度は発注いただきまして有難うございました! 少しでもお楽しみいただければ幸いでございます。それでは……!
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
For Your Eyes Only
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
斗々
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月15日
参加申し込みの期限
2024年06月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!