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【風吹き抜ける景色の中で】
朝、そのまま夜ふかしを全力決行した七瀬とウォルターが、分かりきっていた半寝不足状態でホテルを出て、印刷所からインクが乾いた『世界で一枚の、完成された活版印刷のメッセージカード』を受け取った。
それを大事に保管しながら、そのままタクシーで目的地の墓地へと向かう。
「アツシ……もとい、敦さんのお墓が日本にあるなんて正直驚きました」
「うん、誰にも言っていなかったからね。留学先の出来事だったから、ご両親の意向で日本に埋葬したんだよ」
「本当に僕もついていっていいとですかね……僕も敦さんのお墓参りはしたいですが」
――いつか、どこかで。
七瀬はウォルターという名の親友を持つ一人の少年――昨日、重ねて確信を持った生前の『獅子堂 敦』らしき人物と会話をしたことがある。
だが、当然それも今は生きてはいない人物だ。どんな不可思議な事象さえ起こす寝子島に於いても、その事実を話したとしてもウォルターが信じるとは限らない。むしろ信じない可能性の方が高いであろう。
『死人は二度と会えずに生き返らない』それは事実であり、それを礎にウォルターの理性と正気は構築されて来た。これが可能性であろうとも会える存在に置き代われば――過去、悪魔との交戦を見てきた七瀬には、そのウォルターの精神に新たな負荷と試練が課せられる事は想像に難くない。
語りたくはある。だが、決して語ってはならない事もあるのだろう。これは、その類のことなのだ。
「それじゃあ、引きずってでも連れて行くよぉ。今回の僕の目的は『これ』なんだからねぇ」
「――?」
それ以上をウォルターは語らない。
車で抜ける横浜の街並みはどこも整っており、まさに異国情緒という言葉に相応しい風合いをしているのが目に入った。
そして――辿り着いたのは、驚くほどに敷地のある大きな墓所。地元では景観で有名な墓所であると道中ウォルターが話をしていた。
『死んでしまったら、最後に残された世界に見える景観は、一般的にはこれだけだからね』――と。
近くで買った小さな墓前に飾る為の花を買って、小さな虚無を語りながら。
「……着いたよ。ここが、そう」
そこは、海が一望できる高台だった。日本ではあまり考えたくない金額を出さなければ手に入らない一等地。
そこに、『獅子堂 敦』と刻まれた墓石があった。
ウォルターがまるでそこに必要であったかのように、その情景に違和感のない純白の花を置く。
僅かな沈黙。それがウォルターの短い黙祷だと知り、慌てて七瀬もそれに倣う。
潮風が、ざぁっと駆け抜けた。
「(正直、こんな形であなたと再会したくなかったです。でも、また会えてよかった)」
瞳を開ければ墓石と、そこにはウォルターの姿しかない。
だが――七瀬は確かに、そこに何かを感じ取った。例えるならば、今のまだ季節冷たい潮風が吹く光景にはそぐわない『温かな、違和感』――
形ではない。例えるならば、人間という物理的な形を消した、雰囲気というべき空気。
それと同じものを――七瀬は過去に、確かに知っていた。
七瀬はウォルターの様子を見やる。ちょうど、閉じていた瞳がゆっくりと瞼を開け、青い空のような目が墓石を映し出すところだった。
邪魔しないように――そう思った矢先、ウォルターはへらりと表情を崩して墓石に向かって語り始めた。
「やぁ、獅子堂。こうしてここに来るのは何年ぶりだろう? んー……十数年ぶり?」
「そんなに来てなかったんですかっ?」
「うん、一回大学生になって日本に渡って真っ先に来たんだけどねぇ。もう恥ずかしいくらいボロッボロに泣いて、お墓の管理人からメアリへ連絡行くくらい……3日間? 離れられなかったんだよねぇ」
「………………」
本人は笑いながら話す。だが、そこにはどれだけの慟哭があった事だろう。今のウォルターからは想像もつかない程に壮絶であった事は想像に難くない。
「もぉう、本当に大騒ぎ。あれははずかしかったなぁ……」
「……どうして、」
七瀬は思う、当然の疑問を切り出せない。
本土とは言え、ウォルターならば、ここにいつでも行くことが出来て、そして今回近場だからとはいえ『行かない』という選択肢もあったはずだ。その様な経緯があったならば尚の事。
続く疑問を察するように、ウォルターは七瀬を改めて目にして微笑みかけた。
まるで、その存在を『愛おしい』と呼ぶかのように。至福、そう定めるのにふさわしい表情を浮かべて。
「……獅子堂、紹介するよ。
倉前 七瀬
――『教師になった僕』の『自慢の教え子』だよ」
墓石に向かい、ウォルターが語りかける。
その言葉に、一片たりとも嘘は存在していなかった。
「……!」
七瀬は、驚愕のあまり、言葉無くウォルターを、そして彼が語り掛ける墓石を交互に見やった。
七瀬は警官志望であったウォルターが教師になった理由を知っている。その意味も、理由も、全て目の前の親友にある事を知っている。
とっさの言葉は何ひとつ出てこない。そのような七瀬を無視はしないが置いていくように、ウォルターは、今確かに彼にとっては『此処にいる親友』に向かって話し始めた。
「君が普通の一般人だったら『どの面下げて』と言われそうだったから黙っていられるかなと思ったんだけれどもねぇ――君ってば、逆に言わない方が怒りそうじゃない?『どうして黙っていたんだ!』って。君死んでるのに、天国から怒られるなんてごめんだし」
そう告げて、伏し目がちにウォルターは微笑んだ。冗談めいた言葉は本心で、七瀬に読み取れるそこに添えられた一抹の悲しみも、きっと本心で。
「だから、紹介しにきたんだ。今、僕が住んでいる寝子島は少しおかしなことになっていてねぇ……もしかしたら、本土もおかしくなっているのかも知れないけれども……まあ、それはそれもあって――……『もう僕は大丈夫だから、天国で安らかに眠ってて』なんて、僕はきっと死んで君に謝罪するまで言えないけれども。でも、」
ウォルターにとって涙など、とうに枯れ果てているのだろう。だからこそ流れていないほうが不思議な雰囲気の中で、静かにその言葉は綴られていく。
「……だからこそ、墓地なんてめんどくさいところに来てでも、君に逆に伝えなくちゃと思ったんだ」
ウォルターが『親友』に向ける言葉は、思いのままに綴られた徒然で。未だに心には思いと矛盾に近いものすらはらんでいて。
それでも尚、ウォルターは一呼吸を置いて、これだけはと、確かな事実を言の葉に紡いで墓前に捧げた。
「……君のおかげで、僕は教え子に恵まれた。『七瀬のように、僕を支えてくれている子がいる。だから僕は――少なくとも、死ぬまでは生きていけそうだよ』」――と。
「それじゃあね。またね、獅子堂。――今度は、もっと早くか僕が死ぬ頃にでも」
そう告げて。ウォルターは七瀬に「挨拶は済んだかな?」と確認を取ると、からりと笑って愛しそうに、獅子堂の墓石の光景を目に焼き付けるように瞬きをしてから背を向けた。
後は、寝子島に帰るだけ。
「(アツシは……幸せでしたか?)」
その後を追うように、七瀬も側から足を返そうとしてその空間を見やる。
遠い高台。そこには誰もいない。しかし、強くも温かな雰囲気が、確かに笑ったような気がした。
それと同時に、もう振り返らないウォルターは、少し困ったように情けなさそうな顔をして。何がとは言わず、微笑みながら帰り際の正面に顔を向けるままに七瀬に告げた。
「……まだ……まだ、いたんだねぇ――次に会う時には、僕も『とっとと天国で待ってろ』と言えるくらいに強くならないといけないなぁ」
どこを見るともないその瞳。耳にした言葉に唖然とする七瀬を他所に、しかしウォルターはそれ以上は何も語る事無く高台を降りていった。
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担当ゲームマスター
斗々
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月15日
参加申し込みの期限
2024年06月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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