あなたにプレゼント！｜リアクション

あなたにプレゼント！

☆いつかペアリングを

　綾辻綾花は、早川珪と商店街でデートしていた。
「あっ、あのリング素敵です」
　大小二つの指輪……シンプルなデザインのシルバーのペアリングだ。
「ペアリングって恋人同士でつけるものなんですよね？」
「そうだね」
（私もいつか珪さんとペアリングつけてみたいな。まだ教師と生徒ですけど……）
　そう口に出す代わりに、綾花は聞いてみた。
「珪さんはアクセサリーは苦手ですか？」
「そういうわけじゃないけど、教師だからね」
　外見がホストっぽいと言われる珪だが、赤と黒のコーディネート以外は実は質素だ。
　あまりアクセサリーを付けている印象がない。

「苦手なら他の物で考えますけど、大丈夫そうなら……いつか一緒につけませんか？」
　語尾を上げたが、質問ではなくお願いだ。
「綾辻さんには猫のリングとか似合いそうだね」
「可愛いですけど……二人でつけるならシンプルなほうがいいですよね。私は右手の薬指につけるつもりです。珪さんがつけやすくて邪魔にならないデザインで選んで試着もしてみませんか」
「今かい？」
「購入してもまだつけないです。ペアリングは教師と生徒の関係じゃなくなって恋人になったらつけるものだから、その日を楽しみにしてます」

　二人はリングを試着して、お互いの指のサイズを把握することができた。
　珪の視線の先の値札を見ると、結構いいお値段だ。
「今日は予約だけで十分ですから」
「そうだね。他の店も見てから決めたほうがいいかもしれない」　

　店を出て、綾花は呟いた。
「ペアリングつけてたら告白されにくくなるかな？」
「えっ？」
　聞き返した珪に事情を話す。
「最近、告白されることが何度かあって、ちゃんとお断りしてるんですけど心苦しくて」
「そうか……大変だね。指輪だけで諦めてくれるかはわからないけど」
「今まで告白されたことなかったから慣れないです」
（そういえば、珪さんもリングをつけたら告白されにくくなるでしょうか）
　だったらなおさらつけてほしいな、と思う綾花であった。