あなたにプレゼント！｜リアクション

あなたにプレゼント！

☆特別のプレゼント

　木天蓼大学法学部に合格した佐藤英二だったが。
「野々さん、これからどうするのかなあ」
　受検に落ちた野々ののこの進路について頭を巡らせていた。
「野々さんみんなにプレゼント配ってるって聞いたけど、それどころじゃないと思うんだけどな……」

「一人で考えていても仕方ないか。ちょっと店でも見てみようかな」
　何かヒントになるものがあるかも、と気晴らしにシーサイドタウンに繰り出した。
　ついフィギュアの店に足が向いてしまう。
　そこで見つけた。
「ジェットニャガー！　野々さんが好きそうなフィギュアだ」
　ジェットニャガーは怪獣ゴアラ映画に登場した、アゴと頭と目が尖った悪役顔ながらヒーローとして活躍するロボットだ。
　一部で熱烈なファンが存在していて、ののこもその１人である。
「手頃な値段だし、出来も悪くないな」
　確認すると、英二は即購入を決めたのだった。
「進路の件は今回は一時忘れて、早速野々さんにプレゼントしよう」
　ののこのが喜ぶ顔が見たくて、英二はニャインでメッセージを送った。

「やっほー英二くん！」
　飛んできたののこに、英二は笑顔を向ける。
「早いね野々さん……」
「いいものが見つかったって言うから。気になるじゃーん」
「これ、プレゼント」　
「えっ、開けていい？」　
「もちろん」
　包みを開けたののこの瞳がキラキラ輝く。
「ジェットニャガー！　ありがとう、英二くん！　嬉しい～！」
　飛び上がらんばかりに喜んだののこの満面の笑みに、英二も満足した。
「どういたしまして。喜んでもらえて嬉しいよ」
「何かお返ししたいなー」
「気にしなくていいのに。でもそういえば野々さん、みんなにプレゼントを配ってるんだって？」
「うん。部屋を片付けてたらいろんなものがたまっててね。みんなにおすそ分けしたいなって。でも」
　ののこは英二を見つめる。
「英二君には、もっと特別なものをあげたいな」
「えっ」
　なんだかドキドキしてきた。
（いや、考えすぎだよね……）

　ののこは手に下げたバッグから、ラッピングされたプレゼントの箱を取り出した。
「はい、英二くんのために用意したプレゼント」
「いいの？　開けていい？」
　頷くののこ。
　開けながらふとデジャヴを感じる。
（これって……）
　出てきたのは、ゴアラシリーズ最新作に出てくるゴングのミニフィギィアだった。
「ありがとう！　これでゴアラとゴング２つ揃ったよ！　本当に嬉しい！！」　
（ちょっと余計なことを考えそうになったけど、十分に特別なものだよね）
　と思う英二だった。

このページにイラストを設定する