俺だけを見ろよ☆｜リアクション

俺だけを見ろよ☆

『実行（ラン）38101終了。リプレイ検証を開始しますか？』
「いいや。もう必要ない」
　28241番ポッドが開いてゆくこの瞬間と、太陽が適切な働きでもって地表を正常にあたため始めた時節が重なり合う奇跡に、修はとうに忘れたはずの祈りや願い、希望といった言葉をようやくにして思い出しました。かつてはそんなものが、この地上にもあったのだと。
『サバイバー/No.28241の繭化解包処理を開始します。この処理は中断できません。実行しますか？』
「ああ。やってくれ」
　するりするりと絹糸の一本一本をほどくように、アームたちが繊細な処理を施してゆく間、修は霜の張りついた窓の向こうに登る朝日を見つめ、目を細めます。霜は少しずつはがれ、やがていくつかの水滴となって窓を伝い、修の足元へぽとりと落ちました。
『現時刻をもって、プライマリシーズンからセカンダリシーズンへ移行。Kuya I最終氷期の終了を確認。外気温は１９度、湿度は７５％。北北西の風、風速４m/s……』
　最後の繭がほどかれ、白い肌がのぞくと、修の胸は弾みます。
『ハイバネーション全行程の正常終了を確認。サバイバー/No.28241、覚醒します』
　息を止めて待つうち、彼女はぱちりと目を開き、ゆっくりと身を起こします。差しこむ陽光に照らされる横顔が、眠たげに幾度か瞳をまたたいて、緩慢に首をめぐらせやがて修の姿を見つけると、浮かべたのはとろけるような、ふにゃりとゆるんだ微笑み。
「……おはよ、修くん」
　頬を伝った熱い雫を拭いもせず、修はいつまでも、いつまでも、彼女を見つめました。

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷幽です。『俺だけを見ろよ☆』のリアクションをお届けいたします。
　いいタイトルでしょう？

　執筆も楽しく、またそのうちやりたいな～と思っていたおまかせシナリオですけれど、まさかプライベートシナリオでご指定いただけるとは。
　今回も、私自身もわくわくしながらアクションを拝見し、執筆させていただきました。
　お楽しみいただけておりましたら幸いです～。

　それでは、今回はプライベートシナリオにご指名いただきまして、まことにありがとうございました！
　また次のシナリオでお目にかかれますことを、心よりお待ちしております～。
　お疲れさまでした！

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