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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
バトル・エアーが吹き荒ぶ
飛び交う弾丸。刻まれゆく弾痕。模型店は今や戦場と化した。そこらで小学生がチビ四駆やらカプセルギアやらでホビー漫画さながらの白熱バトルを繰り広げていたりするが、それもまた闘争の風の吹き荒ぶが故である。
「負けられないのよ、お姉ちゃんには！！」
「それは私も同じよ。蒼！！」
その拳銃は巨大にして重厚、蒼の手にはいささか大きすぎアンバランスにも映った。いわゆるひとつの「砂漠の鷲」、世界最強の自動式拳銃である。片や紫の持つのは軽量なプラスチック製、扱いやすさから多くの軍隊や警察機構に採用されている定番中の定番だ。どちらも映画やコミックなどでよく見る銃器界のスタンダードであり、二人の演じる銃撃戦はまさしくフィルム・ノワールのごとしであった。
まあ模型屋に置いてあるものだしエアガンなのだが、射出される単なるＢＢ弾もバトル・エアーによってその破壊力は実弾級となり、着弾すれば壁には黒々とした穴が開いた。
となれば恐れの一つも抱こうというのがごく普通のうら若き乙女というものかも知れないが、風の影響を差し引いても、姉妹はそれよりもう少し順応性が高かったようだ。
「そこよ！！」
「っと、危ない。やるね、お姉ちゃん！！」
「くっ。そっちこそ！ でも、ちょっと狙いが甘いわよ？」
「言ったな～！？」
プラモデルの陳列棚を遮蔽物に、トリガーを引き絞る。連射の応酬にニャンダムのプラモ通称ニャンプラたちが乱れ飛び、日本の名城や戦艦、飛行機にスポーツカーなどなど、多くの名作プラモたちが無惨にも弾丸に砕かれ散っていった。蒼は棚を乗り越えながらに掃射し次の遮蔽物へ。紫はスライディング、棚の下をくぐりながら三発。ラジコンカー越しの一発が蒼の髪をかすめ、応戦する蒼の弾丸は紫の腕に赤い筋を引いた。
双方、あらん限りの弾丸をぶっ放す。流れるようなリロードもあらぬほうへ飛んでゆく玩具たちも、頬を薙いでゆく弾丸のラインが目に見える程に周囲の全てはスローモーションとなり、蒼は「これがかの有名なバレット・タイムね」などとつぶやき、紫は消えぬ闘争の炎に胸焦がされるまま撃ち続け、いつしかその頬は緩んで笑みを浮かべていた。
発砲しながらに突撃を敢行、遮蔽から遮蔽へ、互いの距離は縮まっていき、やがては至近距離にて確実な一発を叩き込む。
撃鉄ががちりと鳴った。どちらもだ。
「っ、弾切れか！」
「こっちもよ。どうする、蒼？ ここらで引き分けってことにしておく？」
「じょーだん！ こうなったら……！」
グリップを離すと拳銃は一回転し、バレルを掴む。銃床で一打すれば、バトル・エアーが破壊的な威力をもたらすだろう。
「ほあたーっ、あちょー！」
「って、それはちょっと違うんじゃない？」
大型拳銃をヌンチャクめいて振り回す蒼に、紫は吹き出しながら応戦。こちらは両手に銃を持った二刀流だ。
密着しての乱打戦がしばし続いたが、研ぎ澄まされた二人の攻防は全力ながら、結局一撃とて互いをヒットすることはなかった。
風が収まったのは夕暮れ時だ。夕食の買い出しに忙しい主婦はゲームショップの店先でぐずる息子と拳を交わすこともなく、献立のリクエストを笑顔を浮かべ聞いている。女子高生はお目当ての品を手ごろな価格でゲットすることができたらしく、ほくほく顔でスキップだ。
姉妹はどうだろう？ いつのまにやらすっかり元通りとなった模型店を後にした二人は手を繋ぎ、足取り軽く弾んでいた。蒼が手に提げている紙袋にはエアガンの箱が二つ入っていたりするが、今後活用される時が来るだろうか。
「ふふふっ」
「どうしたの？ 蒼、楽しそうね」
「ううん、なんでもな～い。ねぇ、お姉ちゃん？」
「なぁに、蒼？」
「お姉ちゃん、大好き！」
妹は姉の腕を強く抱き込み、姉も微笑ましく妹の頭を一つ撫でた。
バトル・エアーは去った。激しい闘争は破壊をもたらしたがしかし、嵐は頭上にわだかまる雲の全てを強く吹き飛ばし、後に残されたのはどこまでも澄み渡り、まぶしく輝く黄昏の空であった。
「負けられないのよ、お姉ちゃんには！！」
「それは私も同じよ。蒼！！」
その拳銃は巨大にして重厚、蒼の手にはいささか大きすぎアンバランスにも映った。いわゆるひとつの「砂漠の鷲」、世界最強の自動式拳銃である。片や紫の持つのは軽量なプラスチック製、扱いやすさから多くの軍隊や警察機構に採用されている定番中の定番だ。どちらも映画やコミックなどでよく見る銃器界のスタンダードであり、二人の演じる銃撃戦はまさしくフィルム・ノワールのごとしであった。
まあ模型屋に置いてあるものだしエアガンなのだが、射出される単なるＢＢ弾もバトル・エアーによってその破壊力は実弾級となり、着弾すれば壁には黒々とした穴が開いた。
となれば恐れの一つも抱こうというのがごく普通のうら若き乙女というものかも知れないが、風の影響を差し引いても、姉妹はそれよりもう少し順応性が高かったようだ。
「そこよ！！」
「っと、危ない。やるね、お姉ちゃん！！」
「くっ。そっちこそ！ でも、ちょっと狙いが甘いわよ？」
「言ったな～！？」
プラモデルの陳列棚を遮蔽物に、トリガーを引き絞る。連射の応酬にニャンダムのプラモ通称ニャンプラたちが乱れ飛び、日本の名城や戦艦、飛行機にスポーツカーなどなど、多くの名作プラモたちが無惨にも弾丸に砕かれ散っていった。蒼は棚を乗り越えながらに掃射し次の遮蔽物へ。紫はスライディング、棚の下をくぐりながら三発。ラジコンカー越しの一発が蒼の髪をかすめ、応戦する蒼の弾丸は紫の腕に赤い筋を引いた。
双方、あらん限りの弾丸をぶっ放す。流れるようなリロードもあらぬほうへ飛んでゆく玩具たちも、頬を薙いでゆく弾丸のラインが目に見える程に周囲の全てはスローモーションとなり、蒼は「これがかの有名なバレット・タイムね」などとつぶやき、紫は消えぬ闘争の炎に胸焦がされるまま撃ち続け、いつしかその頬は緩んで笑みを浮かべていた。
発砲しながらに突撃を敢行、遮蔽から遮蔽へ、互いの距離は縮まっていき、やがては至近距離にて確実な一発を叩き込む。
撃鉄ががちりと鳴った。どちらもだ。
「っ、弾切れか！」
「こっちもよ。どうする、蒼？ ここらで引き分けってことにしておく？」
「じょーだん！ こうなったら……！」
グリップを離すと拳銃は一回転し、バレルを掴む。銃床で一打すれば、バトル・エアーが破壊的な威力をもたらすだろう。
「ほあたーっ、あちょー！」
「って、それはちょっと違うんじゃない？」
大型拳銃をヌンチャクめいて振り回す蒼に、紫は吹き出しながら応戦。こちらは両手に銃を持った二刀流だ。
密着しての乱打戦がしばし続いたが、研ぎ澄まされた二人の攻防は全力ながら、結局一撃とて互いをヒットすることはなかった。
風が収まったのは夕暮れ時だ。夕食の買い出しに忙しい主婦はゲームショップの店先でぐずる息子と拳を交わすこともなく、献立のリクエストを笑顔を浮かべ聞いている。女子高生はお目当ての品を手ごろな価格でゲットすることができたらしく、ほくほく顔でスキップだ。
姉妹はどうだろう？ いつのまにやらすっかり元通りとなった模型店を後にした二人は手を繋ぎ、足取り軽く弾んでいた。蒼が手に提げている紙袋にはエアガンの箱が二つ入っていたりするが、今後活用される時が来るだろうか。
「ふふふっ」
「どうしたの？ 蒼、楽しそうね」
「ううん、なんでもな～い。ねぇ、お姉ちゃん？」
「なぁに、蒼？」
「お姉ちゃん、大好き！」
妹は姉の腕を強く抱き込み、姉も微笑ましく妹の頭を一つ撫でた。
バトル・エアーは去った。激しい闘争は破壊をもたらしたがしかし、嵐は頭上にわだかまる雲の全てを強く吹き飛ばし、後に残されたのはどこまでも澄み渡り、まぶしく輝く黄昏の空であった。
あとがき
担当マスター：
網 透介
ファンレターはマスターページから！
網です。
戦うお話でした。
誰しも時には抑えきれない鬱屈なりこじれた愛憎なりを吐きだしたくなる瞬間があるものです。叫び散らしたくなったりするものです。
そんな時にこんな熱い風が吹いてくれたらいいのにな。そこらじゅう全部ぶっ壊しても怒られないようにしてくんないかな。
と思いながら書きました。
思うだけですよ。私は温厚で品の良い紳士ですので。それはもう。
お楽しみいただけておりましたら幸いです。
それでは、また次回に。
網でした。
戦うお話でした。
誰しも時には抑えきれない鬱屈なりこじれた愛憎なりを吐きだしたくなる瞬間があるものです。叫び散らしたくなったりするものです。
そんな時にこんな熱い風が吹いてくれたらいいのにな。そこらじゅう全部ぶっ壊しても怒られないようにしてくんないかな。
と思いながら書きました。
思うだけですよ。私は温厚で品の良い紳士ですので。それはもう。
お楽しみいただけておりましたら幸いです。
それでは、また次回に。
網でした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2024年04月18日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年04月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年04月25日 11時00分
